【完結・R18】メイドは夜の仕事でお疲れです。本命は、執事長ですがなかなか関係に持ち込めません!

BBやっこ

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異文化のお客様

森の使者

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「森の王、エルフ族。その交易ですか。」

私とジュディアン様が領主様に呼ばれ、告げられた内容。閉鎖的な森の民がこの領地に訪れる。
気まぐれもお出掛けと称される出来事も、交易相手になれば彼らの叡智の一端を手に入れられるかもしれない。

その相手として選ばれた事も、周囲への自慢になる。
領主様は気負った様子はないものの、新たな商売相手になるかもとお喜びだ。

領主様に感じるには無礼な感情かもしれないが、ご成長されたなと思う。

「礼儀作法やその信仰を授業では不十分でしたかな?」
「久々の授業、だと?」

領主様の教育係をしていた頃の戯れだ。ジュディアン様のお年を召した。
スッと伸びた背筋、気迫はそのまま。刻まれた皺。
立派に領主となられている様子に目を細めるのは、本人の前ではないものの。まだ教え導く者としての姿勢を貫く。

とても好ましい。微笑ましい関係と言うと怒られてしまうから。
ジュディアン様の声を荒げたところを見た事はないが。


普段いる書庫の部屋へ一緒に向かう。今日は森の民についての本を調べるのだろう。
夜更かしなされないようにしていただきたいが、今日は寝てくださるだろうか?

そう思いながら私も森の民となった女性の手記を読む。マナーや禁忌としている物のことが書かれている。
以前に読んだ記憶を頼りに、見返す。

そうしながらも、私は領主様方の呟きを思い出していた。

『彼の方達は、不老だという。』



「不老の術を、女性は欲しがるものですよね?」

私に問いただすような物言いをなさる、ジュディアン様。

「私は貴方様と一緒に過ごす時間が、欲しいのです。」

書庫でのひと時。この場所でなら、私はこの方に侍られる。
それが本心で望んでいる事と伝えている。

「奇特な事で」

「あら、ジュディアン様に言っていただけるとは。」

執事でありながら、教育係。その教え子が辺境の領主となる時、付き従う事を決めた。
“奇特な”と皆から言われて。


この私の想いに、共感は要らない。ただ、お側に居られる事を許して欲しい。
そんな私達にも共通しての誇りを持つ。

お客様を迎える準備を。
入念に。


筒がない滞在をしていただきましょう。
その点は、似た者同士と言われているらしいですよ?


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