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異文化のお客様

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「手を触れられる関係になりました!」

メイの報告に、少し止まる。
そこはメイドの休憩室で、辺境に元から住んでいて雇われた女性たちと、
メイレス様という令嬢にここまで付き従ってきた側仕えの女性たち3人。

子供も結婚し、夫には先立たれたのでメイレス様に着いていくと
この辺境まで忠義で着いてきた。

年齢が近く、すでに打ち解けている。そんな面々なので
メイの報告も

“付き合い始めた子供じゃあるまいし”と思って見てしまう。

年齢を重ねたご婦人たちの情報網と息子や娘の経験もあって頼りになる。
誰がくっつきそうだ、あれはだめだと話しに登るのは辺境でも同じ内容はだった。

おばちゃんは強い

共通認識であり、事実だ。

その面々を仕事上はメイド長としてまとめているものの
まだまだ若輩者。


このメイも恋する年齢。しかし、お相手はここの領主さまに仕える老齢な執事長らしい。

「流石に年齢差がありすぎじゃないかねえ」
何度言われてもメイの答えは、ほのけだった。

「もうメイドできた頃からベタ惚れですよー。」

領主の館で働く若い子にも、その認識だ。
すでに、騎士と結婚しているメイドも増えた。


可愛い女の子が多い人気職であるはずが、メイド長のメイはまだ恋人もいない。
ずっと、執事長ジュディアスにアタックしている。


その年齢差に驚かれ、メイを恋人にと狙う男もいるのだが
大体がその態度の違いに心が折れて諦めていく。

「執事長さまからじゃなく、メイが一方的でね」

ジュディアスしか見ていないが、仕事はしっかり役目を果たしている。
権威のある男からの無理矢理ではと心配も出たが、

どちらかというとメイは眼中にない様子。
仕事上の話しかせず、プライベートも接近した話も出ない。

おばさま情報網で確認済みだった。

「他の男を紹介しようか?」も否しかない。
「意気の良いのが揃ってるんですけどねえ」

よりどりみどりじゃないが、有望な若者が増えた。

「騎士の訓練を受ける若い男にぃ」
「狩人として変わり者でも、イイ男も来るもんね?」

辺境が整備され、森の恵を危険を承知で踏み入る狩人。
魔物から領地を守る騎士も増せた。


それでも、メイはジュディアスに真っ直ぐ
その心を射るために日々精進している。


「執事長様と言っているけど、
ジュディアス様は後進の育成をしつつ、今後は書籍の管理の方に映られるのよ。」

年齢から後進に譲り、相談役として書庫にいることが多くなる。


「このチャンスを!受け入れていただくために、接近をっ」

熱の入りようが怖いけど、今はまだお茶をする間柄でとても健全。
それ以上なんてあるのか、疑問視されている。

「どう頑張るの?」
「美味しくいただかれるためじゃないかなあ。」


メイド達は見ていて楽しい。
本当にあの眼光鋭い執事長様と関係を深められるのか?

密かに、大ぴらに賭けもされていた。

「そういう方面でも積極的にいきましょう!」

お側に侍るところから入る!メイの努力は弛まなく続いている。


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