上 下
30 / 41
変化する辺境

*控え室

しおりを挟む
とにかく、水をしっかり飲んでおかないと。
一応、淑女教育の一環で各種の耐性は作られています。

当初、何その教育?って思ったのですけど、本当に役立ったので感謝しなければ。
お酒には強い方らしいですけど、毒物は縁がなかったですからね。


それが綺麗なドレスを着て、毒に縁がある煌びやかな場所に。足を踏み入れてしまいましたね。

誰も来ない部屋でドレスを脱ぎ、はしたない格好ですが胸元を緩められた。
それが良かったのかもしれない、ふかくいきができる。

(心蔵の音が落ち着きませんが。疲れのせいかしら?)

手筈は整っているので後は、まっすぐ歩けるくらいに回復させなければ。
もう一杯、水を飲み少し扇ぐ。

(毒の症状なのでしょうか。他には異変はありませんけど。)
ぐったりとカウチに体を預け、少し目を瞑っていましょう。

コンコンッ…

(ノック音ですね。頼んでいた服でしょうか?)
人払いされている区画の部屋にノックする理由が他にありません。
「どうぞ」


現れたのは…

ジュディアン様?!

メイド服を持ってきてくださったらしいです。
「具合はどうですか?」


平然とされるのも、釈然としませんが!
せめて、前を閉じて体を丸めます。

いつものジュディアン様なのが、悔しいのか恥の上塗りにならないのか?
混乱している私の反応に、近づいてきて

「熱がありますか?」

そっと額に添えられる手を触れ
「ヒャっ?!」

何故か、変な声が出てしまいます。
「すいません、わざとではないのですが…」

「ふむ。」

ついっと顎に添えられる手も心地よい
もっと触って欲しい。

すいっと彼の手に擦り寄る。扇状的な格好で私は意中の方にしなだれかかる。
変わらない表情は残念ですが、思いきってしまいましょう。

あられもない格好なのも、部屋に誰も来ないのも
「ちょうど良いと思いませんか?」

ふぅとため息を吐くお顔も素敵。
食べてしまいたい。

そう思って、唇をうばった。

逃げてしまわないように、抱きしめる。
今回ばかりは、逃がしてあげられないかもしれない。

動かないジュディアン様は、私を振り払わなかった。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:17,190pt お気に入り:3,262

嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:39,328pt お気に入り:5,313

筆頭騎士様の夜伽係

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:29,617pt お気に入り:1,696

【完結・R18】姫様の玩具にされたメイドと騎士

恋愛 / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:708

本編完結R18)メイドは王子に喰い尽くされる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:546pt お気に入り:3,531

処理中です...