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【アズマール国】最果ての辺境にて

*酒のせい 

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上気した肌は赤く、柔らかな唇からは悩ましい吐息が漏れた。
メイドとして働いているときにはピシリとしていたメイの服は、暴かれていた。

首元を緩められ、だらりと体に力は入らず。
男に寄りかかり、その目はトロンとしている。

強い酒を出したが、ケロリとしている。
「うちのメイドが、こちらでご迷惑をおかけしているようですね?」

騎士団長のところに執事長が赴いたときには、乱れた状態だった。

酒はあるが、開けられたものは5本。しかし、度数が高いレディキラーだ。
狙って呑ませたのだと察した。


「全然問題ないだろお。こーんなことされても?」
メイドの太ももに、手を滑らす。

執事長は反応せず、挑発には乗らない。
「堅物だな」

ちゅっとキスをしても目が覚めないようだ。

「どれくらい飲ませたのです?」

心配する気持ちはあるようだ。どのポジションからか知らないけどな。

「こんくらい?」

かなり度数の高い酒を。

「メイドですよ、どうする気ですか?」

“諜報ができるように育てるかと”言っていたのを思い出す。
騎士寮で、夜の仕事をしないかと采配したのは私だが。それ以上の職務を与える気はない。

「有能だぞー、判断力に胆力もある。忠誠心という点では、1人に捧げられていそうだなあ?」

この娘の好意は、ジュディアンに向いていた。
ご主人と言うのは領主である坊ちゃんだ。まだ借金奴隷であるため、契約上の命令ができる。

それには、拒否の意志をしつつも夜の奉仕をやらせることができる。

「その強行をさせる気はない。」
「フーン。」

仕事の時とは違った印象で話を始めるジュディアン。
「適当な男と結婚して、メイドを続けてもらうのが良いと思うのだが。」

この若いメイドが自身になぜか好意を伝えてくるのは、知っている。

「誰か奪いにくるんじゃないか?」

その可能性が高いから放置しているのだ。


「実際のところ、かわいいじゃねーか。」

年若いメイド
辺境の地で、弓矢をとり戦う。

女神のようだと讃えられるようになった。女が少ない地で神聖視されがちなのか。

「人が増えれば変わるでしょう。」

食事に酒。騎士団長を務めるこの男も久々の補給だろう、手が早い。

「若すぎる。貴方もでしょう?」
「たしかに俺の好みと比べればな。」

寝てしまっているメイの肌に触れる。
「ふにゃ」

完全に寝てしまっている。
「なかなか強いし、情報も漏らしていない。意中の相手へのは凄いな」

試したのだろう。
「はあ」

メイを部屋に備え付けられたベッドに寝かせて、2人で飲んだ。


今度は、こっくりとした色の濃い酒。しばらく会話をして、部屋を退出すれば良い。

メイは後で運べば良いだろう。寝かせたまま。
私が手を出すことはない。


「褒美か。」

この娘に聞くのは、何を言ってくるのか予想がつかない。
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