【完結】愛おしい相手に不味く濃いエグ味のある魔女製の水薬(ポーション)をどうぞ。<吹き付ければオッケー★>

BBやっこ

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魔女

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邪魔された。

「何よ、良いところだったのに。」

黒いローブの女?
同じ年頃のようだけど、陰気な声。私達の間を割って入ってくるなんて。

「誰よ?邪魔なの。あっちに行きなさいっ」


彼と私の邪魔をしないで。彼はもう私のモノなんだから。
邪魔なあの女の悲痛な顔が見れて、最高の気分よ。


「薬で得た恋ならば、効果が切れるものでしょう?」

「え?」

魔法は突然、切れる。薬も突然、効果が切れたなら…
「退けっ!!」

女は、押し退けられた。

彼女が、手に入れたと自身のモノだと言っていた男は。
泣いている女の元へ帰って行った。


残るのは、突き放され茫然とする女とローブの女。


「なんで、なんでよ!」

慟哭、焦燥。

それは、行き場を求めて、近くに居たローブの女に向けられた。
そんな激情に感化されることなく、彼女は言い放つ。

「薬であるならば、効果が決まっているのが当然。そして、それがなくなった時。」

説教かと女は瞬時に苛ついた。惚れ薬を嗅がせた彼が、私に夢中になった。
それこそが、真実の姿なのに。あんな女なんて彼は歯牙にも掛けない筈なのに!


カッとなったものの、ローブの女の続く言葉。

嫌な予感を感じた。

それを止める事はできない


「相手の嫌悪は、どれほどのものなのでしょう?」

彼を見る。
愛しいと私を愛してくれた彼、に?


「腹立たしい。薬などで僕の心を惑わせるなんて」

憎悪

そこには、敵として映される自身の姿があった。

「違う。私は愛されてるの、だってそうでしょう?」

手を伸ばしても、彼はあの女を抱きしめていた。


「嘘よーーー!!」

「いいえ、真実。薬を使いそれが切れてしまった末路だよ。」


永遠に効果のある薬、なんてもの作れる魔女がどれくらいいるんだか。
ローブの女は興味をなくして、立ち去っていった。




「以上が、新人魔女の薬の結果です。」
「そうかご苦労様。」


彼女らにとっては度々ある、惚れ薬の事件が一つ終わっただけの事だった。

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