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最強の手札

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「婚約破棄、ーありがとうございます。」


私は、冷静にその言葉を吐いた。
その言動とは真反対に、頭はカッカと熱い。


婚約者とは契約で、家同士の繋がり。
将来の先取りの約束とはいえ、今を生きる私達に努力が必要。そう言われていた。

「お前みたいな貧相な女を連れたくない。あっちいけ」

婚約者である私に、どんな仕打ちだ?


そして自身は、声をかけた女の子をキープしているらしい。
後ろでオドオドしている子は、この王子様に婚約者がいるとは思っていなかったみたい。

とばっちりね?

今ならさりげなく逃げられるわよ。視線を送った。
多分、通じただろう。見栄えが良くても、この男は面倒だよ。


「私に相応しくないのに、なぜ婚約者なんだろうな。」

学園の庭で、周りにそんな事を大声で喧伝した。
同調する取り巻きを睨むも、その発言の撤回はないらしい。


「そうだ!婚約破棄しよう。私にふさわしい女性はお前じゃない。」

更には、賛同の拍手。それを何が起こっているかわからない他の生徒達が観客のようにいる。




以上のことをされて、私は可愛くおとなしくして居られるほどできた女じゃない。


「では、最期に婚約破棄が完了するその前に。」


ツカツカと近くに歩み寄る。余裕な男たちに。

悠然と、艶然に。


ぐっと首元を掴み感情のままに私は、叫んだ。

「バカ王子!

もう終わり、もう金輪際関わらないで良いわね?とっても嬉しいわっ」

王子様を揺りながら、力一杯言葉を投げつける

「サポート期間は終了、契約不履行の支払いはそっちね。
私の時間はそんなお金で代えられないけど?受け取ってあげる。」


っぽいっと捨てた男を振り返ることなく
溜まって居た鬱憤を叩きつけた。


今日、解放されたわ。

もうあとは、お父様に任せてしまおう。

頭を下げたって許してあげない。もう関わりたくもないから。

さよなら王子様?

私はゆっくり休みます。貴方の世話は大変面倒でした。


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