【10話完結】 後妻になりました後継者に、女の子の扱いを授業しています。

対面

使用人一同は緊張していた。

奥様が亡くなって、後妻をとの声もあったが旦那様は受け入れなかった。
娼館へは行かれていたようだが、そこで出会った女性を奥様を迎えるとは。使用人達も浮かない様子だ。

「キツい女性が来るんじゃないか？」
「きっと、猫を被った女で本性をあらえあしてくるわよ」

否定的な意見が多い。
しかし実際にはどうだろうか。娼館には親の借金を払うためと令嬢が入ることもある。
今日いらっしゃる奥さまも、元は子爵令嬢だったらしい。理由は事故による借金返済のため。

既に完済しており、暮らしぶりも質素だったと。
情報ではそうなっている。

なにかかくしてあるかもしれないし、誰か糸を引いている者はいるのでは？
と探りをいれたが出てこなかった。


旦那様は惚れきった相手との事だ。

生活環境が違う上に、侯爵家の後妻となる方はどんな方か。
馬車がつき、使用人一同は頭を下げる。

旦那様がエスコートして下りてきた女性が、新しい女主人となる方。


「紹介しよう、私の愛する人。タチアナだ」



そう紹介された顔は、蕩けそうなだらしのない…んんっ
幸せそうな旦那様はいつぶりか。

おそらくお隣の女性へ贈り物を選んでいるときか。
私が代表して挨拶をし、お部屋へ案内に立とうとするとひと言。

「男は気安く近づくなよ？」

嫉妬のような発言に皆、苦笑するしかない。




(子供っぽくて可愛いと思うのは、もう重症かしら？)

「旦那様、頼りにしているわ」
私は出しゃばらないと言外に滲ませる。散財する気もないし、遊びというのもなし。

貴族の奥様というのは家の切り盛りを手伝うんだったかしら？

家の采配が女主人の仕事と聞いたけど、私にできる時より必要があるのかしら。
今までなかったからないのか、慣れた事に聞いてみましょう。



パーティの事なら多少知識も経験もある。
面倒な酔っ払いの退治方法なんかは役立つと思うわ。


なんとか屋敷の人達との初対面を終えられ、これからだと気合いを入れるまえに気になることが。


「レナードはどうした？」

まだ誰か会っておかないといけない方がいるかしら？

「私の息子だ。」
「お子さ…ん？」

そういえば、そんな話も聞いたかもしれない。後継の男児はいるから、後妻にと寄ってくるのが鬱陶しいと。
…違う人だったかしら？

私は必至に記憶を掘り起こしていた。

「あ、いらっしゃいました。お帰りなさいませ。」

執事が迎えたのは制服を着た男の子だ。

「レナードです」

記憶に辿り着く前に名乗っていただいけた。