【完結・7話】召喚命令があったので、ちょっと出て失踪しました。妹に命令される人生は終わり。

BBやっこ

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「ユイスティーナを呼んで。」

姉を呼び出す言い方ではありませんね。まあ、使用人として認知され、置いてもらっているのはわかっているのですが。私の母の身分は隠していますし。交わした約束は、もう成り立っていない様子。

「座っていいわよ。」
この扱いがそれを物語っています。

私、伯爵家の家名を名乗る許可も得ていますし、なんなら令嬢教育も受けていますのよ?
その私から見て、この妹の所作やらドレスの着こなし、態度云々は酷いに尽きます。

ヤレヤレと態度に出し、向かいの席に座ります。

同じように見ていた執事長は表情には出しませんが。確実に、執事長からの補習ですね。
妹は耐えかねて、教師を雇ったらしいけど、お金の無駄だったのではありません?

ドレスは、センスがズレてるなあ。

今年の流行りじゃなく去年だと、野暮ったいとかで社交界では悪目立ちするのに。
似合うのは大事ですが、着こなすのも腕の見せ所。

容姿は悪くないのに。
「まだおさげなのですか?」

レディは一般的に髪を結い上げる。この娘はトレードマーク的にずっとこの髪型だけどお子様感が増しますね。

「ツインテールよ!ダサい呼び方しないでっ」
「14歳の令嬢の話方ではないけど、姉の前では気を緩むのかしらねぇ?」

そんな心温まる関係でもないけど、私が間違いなく姉なのは揺るぎない事実。

「あんたの説教なんてどうでも良いのよ!お父様から、命令を持って来たわ。」

手紙を突き出します。

「この場合、従者に仲介してもらうのが正解です。」
「うっさいはね!使用人への礼儀はないのっ」

まあ姉としては、認めてもらっていないのでしょうね。知ってました。


“使用人の子は、奥様とお嬢様の言いなり。”

本家と言っている方の屋敷で、使用人が噂されているのを嘆かわしいという話です。
使用人の口が軽いのは、当主の腕がない。奥方の采配がなっていない証拠と言うらしいですが。

家長の手紙を無視できません。内容を読むと…


「王城への召喚ですか」
「しょうがないから、少し出てすぐ消えて。」

簡単に言ってくれます。伯爵令嬢として準備、挨拶も必要なのですが。開催が2週間後?
わざわざこの時期に持って来たのは誰の思惑か。

でも丁度良いかもしれません。


「承りますとお伝えください。」

ふんと妹が去ります。

「このお菓子、嫌いだったかしら。」

お土産に包むよう伝えました。




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