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その時

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バシッ……バシ

ママとパパから、どうしてできないか聞かれる。
わたしはうまく答えられない。

何か言っても言わなくても、ママはわたしを叩いた。


時々あったことは、今も。

「こんなバカだと、嫁に出せるかしら?」
「取り繕えば、なんとかなる。」

わたしは道具なの?

茫然として、さっさと部屋に戻れと言われても動けなかった。

「言うこと聞けないの!バカな子っ」

わたしは痛みに堪えるために、目を瞑る。
振り上げた手が、当たった。

手が痛い?


「な、なななっ」
「うるさいぞ」

話しているのは、わたしとパパだ。


「それ、お母様だよ」
わたしは、思ったより流暢に話せた。ちゃんと説明したけど

意味不明で、戯言を言い出したと判断した男は
妻と娘をそれぞれの部屋に戻し、療養するよう言い渡したのだった。
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