<長編・2万字>人形が死んでいる [本編完結済み]

BBやっこ

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午前の戸惑い

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塩をかけて追い払ったけど、これはまずい。寝跡がついた手足にゾッとす感覚がある。今回は直接的な攻撃をされている。甲冑さんも出てこなかった。それは危険はないと同意義だろうか?そうは思えないのは、捕まった時には助けてくれて、今回は助けがなかったことだ。姿もみない、みせれなかったのかもしれない。緩やかに巻かれた帯、音がひとつ、もうひとつ、そして顔に襲いかかってきたピンクの?近すぎてわからなかったが、液体が伝う感触が気持ち悪い物だった。紅色というのも不穏だ。死を暗示された気がしてならない。

とりあえず、甲冑さんのところへ行ってみるか。眠い頭を振って、着替えた。ロビーにいる甲冑さんは居なかった。空になった空間が空虚だ。

「あの、甲冑は?」
聞けば、湿気や雨漏りなど水気が心配で、解体して保管するらしい。これが、夢に出なかった理由だろうか?手足もなく頭さえない。人の型を持たなくなった。今は、装飾の小刀を丁寧にしまっているところだ。じっともていれば、この刀は守りは刀でね。と軽く説明してくれる。チンと鳴った音に既視感がある。夢に出てきたのだろうかとまだ見捨てられていないようなので、感謝に心に中で手を合わせる。ただ、今夜の助太刀は頼めない気がする。4回目の正直とは聞いたことがないが、このパターンは取り込まれて死ぬパターンでは?このまま何もしないで寝るのは不味いと思う。ブランチをいただく。元気がないようだけど大丈夫か?と聞かれ愛想笑いで誤魔化す。呪われてるようなんですけど、大丈夫でしょうか?なんて頭がおかしいだろう。お腹も満たされたし、ゆっくり夢でのことを思い返そう。紙とペンを手に入れ、ソファに座った。雨足が強く、日の光が恋しい。まず、出てきたものを書き出した。暗闇はなしで、個体は3つ、液体は紅色。私に滴り落ちてきた。小さなものが落ちるような音だ。一番つっかかってきたのは、ピンクか。柔らかい手で持てるほどの大きさ。染み込んでいたような。それを退けたのは音と塩。
パラリと解けた包帯のブゥードゥ人形。ビーズがバラバラになったピンクの動物の飾り。他に?泣き声が聞こえる。現実で、「うさちゃんがいない!」と幼い女の子が泣く。ふらりと目眩がする。呆然と部屋に戻る。

どうしたら生きていられるだろう?
わからないなら、検索してみる。呪いの時方、「かけられたものと逆のことをしなければ」。護符で身を守る。盛り塩、聖水?お酒か。これらを揃えるか。あとは、夢と関わりのあるものを探すか。雨で出られないのだ。宿の中を探索することにした。
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