<長編・2万字>人形が死んでいる [本編完結済み]

BBやっこ

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夜更かし

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明日も泊まるのだからと、今日の夜更かしをここに宣言する。朝食は抜きにして昼と夜だけ頼んだのは、ブランチにするからだ。出来るだけ遅くまで起きていよう。そんな変に自棄になったのは、1日目、2日とここまで変な夢だった影響がある。3度目の正直?と考えなくはない。最初の丑の刻まいりもどきは近くの神社関係の怪談噺も聴いた。その次は、よくわからないが捕まっていた。命の危機は感じないものの、今回だけ良い夢と思えない。甲冑さんが助けに入るのは望んでいるけど。けして変な夢が見たい願望があるわけじゃない。たとえホラー映画を観てもね。そう文句のようなことを考えながら指先は忙しなく端末を操る。夢に関したヒントがないか検索していたら、面白そうなホラージャンルの本があって、電子版を端末で読むことにした。一気に読むぞ!と思えたのは眠気を晴らすためか。いや、少々怖がっているのかもしれないのは、子供が泣くような不安感からか。小説の評価では最後はハッピーエンドらしいアクションもある小説を買い揃えた。さあ一気読みだ!

ただ黙々と本を読む。恨みによって屋敷は呪いをかけられていた。その儀式を主人公に見つかり、鬼の形相で追いかけられたが撒いた主人公。しかし引っ掻かれたような謎の傷が浮かぶ。それに包帯を巻くも、血が止まらない。白い包帯が血に滲む。ヒロインの神社の娘が呪いの存在を教え、今は使われなくなった屋敷へと鍵を借りて探索。置かれた本、ページの紙片を読み探し物をする。

秘密の隠された部屋にあった手足頭胴体依代を戻し、呪いを鎮めるのだ。襲いくる怪奇現象を運動神経で交わす。人の手が入っている誰かに狙われた?と思われる仕掛けも躱し、違う者の計略を感じるも探索は続く。傷はまだ血を滲ませる。儀式を終わらせるのは、元の形に戻すことだと奮闘している。

縁を断つのは小刀の清廉な一振りだった。紅茶を忘れた頃に飲みながら読書が進む。ハラリと包帯を外せばその血は止まり傷は癒えていた。そしてまたヒロインに妖しい世界へと誘われる、と。

話はザッとこんなところだ。ネットに流れる怖い話を取り入れつつ、スピード感ある流れが良かった。東洋と西洋の世界観が入り混じり現代に現れた怪奇現象。やる事はシンプルながら2つの意味を持たせ、呪いを打ち消した。情報収集と気づきが重要と伝えてくれる気がする。

一気に読み通したら終わる頃には
0時を跨ぎ、

端末のバッテリーが10%を切ってしまった。読後感をに満足するも眠く、怠い感覚に従って私は不穏な夢の予感などない。ただ睡眠欲に目蓋を閉じ夢へ落ちていくのだった。


その時、既に今日という日が変わっていた。

4日目に入っていた。
そして3回目の眠りの世界へ赴くのだ。
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