10 / 16
ピンクの頭
しおりを挟む
夜と言っても子供もまだ寝ないんじゃないか?という時間。何か飲み物を買うため部屋をぶらりと出た。小説に集中していた目と首をコキコキと動かす。階段の近くに人の気配がある。
わんわん泣く小さな女の子。母親らしき人が一緒に椅子に座って慰めている。あ、あの子か。感情が爆発したようで小さな女の子の手は、ピンクの、くま?否ウサギを抱きしめている。レースのエプロンをしたぬいぐるみは、しっかり力を入れられて苦しそうだ。鯖折りという言葉が頭を過ぎ去った。ぎゅむぎゅむに抱きしめられたぬいぐるみの綿がちろっと出ている。相当お気に入りのぬいぐるみなのだろうと察する。少々薄汚れてしまっているが、大事に連れ歩いている友達なのだろう。
そんな時代が私にもあったかな?
生地まで傷んでなければ、針と糸で治してもらえるよとたぶん安心して泣いている、詳しくわからない状況だが、心の中で慰め、お母さんともの時間を邪魔しないよう立ち去った。ひととおり泣いた後で良いから落ち着いて笑顔になってくれるといいけど。
自販機で飲み物を買うとガコンッと派手な音が響く。それを取り出して窓の近くに寄った。ザーザーと降る雨にお前も止めよと空を仰いだ。何故かハードボイルドな気分だ。コーヒーかお酒の方が似合うシチュエーションだと思うが、両方好みの味じゃない。甘い紅茶を片手に親子がいた場所を静かに通って部屋に向かう。
少々落ち着いた子供の持つ、無理矢理首を押さえられているぬいぐるみにご苦労様と心の中で声をかけ茶色の目と視線が合う。ぬいぐるみの目って可愛いけど、とれかけになるとなんか怖くなるんだよね。糸と紐で付け直せるものもあるけど、はめ込んで治せないものもある。いや、接着剤でなんとか。昔、目がなくなってしまったぬいぐるみに眼帯を作って付けたのを思い出した。あの子の目はどこにいったのか。オッドアイも可愛いよなってそれは猫が良いかなと女の子の表情を伺いみる。
落ち着いてきている小さな女の子を、このまま鎮まるとといいけどと思った。
テレビを点けると、「晴れ間も見えるのでは?」と天気予報士が言うが、曇りの予報を出す。「引き続き河川に近い所では注意が必要ですと添えられる。」興味が失せてテレビを消した。再び、のんびりネットの海を泳ぎながら夜も更けていく。私の頭の中は、妄想と想像が入り込み混ざり合う。もちろん私は現実にいて、創作の世界を見ているのだけれど。モヤがかかるように現実が夢の方へと引っ張られていく。それは眠気のせいだ。そうでなければ、起きている世界と夢に出るものの何が、違うのだろう。
夢も今も私でしょう?
私の形をしただけになるのかなあ。
わんわん泣く小さな女の子。母親らしき人が一緒に椅子に座って慰めている。あ、あの子か。感情が爆発したようで小さな女の子の手は、ピンクの、くま?否ウサギを抱きしめている。レースのエプロンをしたぬいぐるみは、しっかり力を入れられて苦しそうだ。鯖折りという言葉が頭を過ぎ去った。ぎゅむぎゅむに抱きしめられたぬいぐるみの綿がちろっと出ている。相当お気に入りのぬいぐるみなのだろうと察する。少々薄汚れてしまっているが、大事に連れ歩いている友達なのだろう。
そんな時代が私にもあったかな?
生地まで傷んでなければ、針と糸で治してもらえるよとたぶん安心して泣いている、詳しくわからない状況だが、心の中で慰め、お母さんともの時間を邪魔しないよう立ち去った。ひととおり泣いた後で良いから落ち着いて笑顔になってくれるといいけど。
自販機で飲み物を買うとガコンッと派手な音が響く。それを取り出して窓の近くに寄った。ザーザーと降る雨にお前も止めよと空を仰いだ。何故かハードボイルドな気分だ。コーヒーかお酒の方が似合うシチュエーションだと思うが、両方好みの味じゃない。甘い紅茶を片手に親子がいた場所を静かに通って部屋に向かう。
少々落ち着いた子供の持つ、無理矢理首を押さえられているぬいぐるみにご苦労様と心の中で声をかけ茶色の目と視線が合う。ぬいぐるみの目って可愛いけど、とれかけになるとなんか怖くなるんだよね。糸と紐で付け直せるものもあるけど、はめ込んで治せないものもある。いや、接着剤でなんとか。昔、目がなくなってしまったぬいぐるみに眼帯を作って付けたのを思い出した。あの子の目はどこにいったのか。オッドアイも可愛いよなってそれは猫が良いかなと女の子の表情を伺いみる。
落ち着いてきている小さな女の子を、このまま鎮まるとといいけどと思った。
テレビを点けると、「晴れ間も見えるのでは?」と天気予報士が言うが、曇りの予報を出す。「引き続き河川に近い所では注意が必要ですと添えられる。」興味が失せてテレビを消した。再び、のんびりネットの海を泳ぎながら夜も更けていく。私の頭の中は、妄想と想像が入り込み混ざり合う。もちろん私は現実にいて、創作の世界を見ているのだけれど。モヤがかかるように現実が夢の方へと引っ張られていく。それは眠気のせいだ。そうでなければ、起きている世界と夢に出るものの何が、違うのだろう。
夢も今も私でしょう?
私の形をしただけになるのかなあ。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
一ノ瀬一二三の怪奇譚
田熊
ホラー
一ノ瀬一二三(いちのせ ひふみ)はフリーのライターだ。
取材対象は怪談、都市伝説、奇妙な事件。どんなに不可解な話でも、彼にとっては「興味深いネタ」にすぎない。
彼にはひとつ、不思議な力がある。
――写真の中に入ることができるのだ。
しかし、それがどういう理屈で起こるのか、なぜ自分だけに起こるのか、一二三自身にもわからない。
写真の中の世界は静かで、時に歪んでいる。
本来いるはずのない者たちが蠢いていることもある。
そして時折、そこに足を踏み入れたことで現実の世界に「何か」を持ち帰ってしまうことも……。
だが、一二三は考える。
「どれだけ異常な現象でも、理屈を突き詰めれば理解できるはずだ」と。
「この世に説明のつかないものなんて、きっとない」と。
そうして彼は今日も取材に向かう。
影のない女、消せない落書き、異能の子、透明な魚、8番目の曜日――。
それらの裏に隠された真実を、カメラのレンズ越しに探るために。
だが彼の知らぬところで、世界の歪みは広がっている。
写真の中で見たものは、果たして現実と無関係なのか?
彼が足を踏み入れることで、何かが目覚めてしまったのではないか?
怪異に魅入られた者の末路を、彼はまだ知らない。
ゴーストバスター幽野怜
蜂峰 文助
ホラー
ゴーストバスターとは、霊を倒す者達を指す言葉である。
山奥の廃校舎に住む、おかしな男子高校生――幽野怜はゴーストバスターだった。
そんな彼の元に今日も依頼が舞い込む。
肝試しにて悪霊に取り憑かれた女性――
悲しい呪いをかけられている同級生――
一県全体を恐怖に陥れる、最凶の悪霊――
そして、その先に待ち受けているのは、十体の霊王!
ゴーストバスターVS悪霊達
笑いあり、涙あり、怒りありの、壮絶な戦いが幕を開ける!
現代ホラーバトル、いざ開幕!!
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
逢魔ヶ刻の迷い子2
naomikoryo
ホラー
——それは、封印された記憶を呼び覚ます夜の探索。
夏休みのある夜、中学二年生の六人は学校に伝わる七不思議の真相を確かめるため、旧校舎へと足を踏み入れた。
静まり返った廊下、誰もいないはずの音楽室から響くピアノの音、職員室の鏡に映る“もう一人の自分”——。
次々と彼らを襲う怪異は、単なる噂ではなかった。
そして、最後の七不思議**「深夜の花壇の少女」**が示す先には、**学校に隠された“ある真実”**が眠っていた——。
「恐怖」は、彼らを閉じ込めるために存在するのか。
それとも、何かを伝えるために存在しているのか。
七つの怪談が絡み合いながら、次第に明かされる“過去”と“真相”。
ただの怪談が、いつしか“真実”へと変わる時——。
あなたは、この夜を無事に終えることができるだろうか?


二つの願い
釧路太郎
ホラー
久々の長期休暇を終えた旦那が仕事に行っている間に息子の様子が徐々におかしくなっていってしまう。
直接旦那に相談することも出来ず、不安は募っていくばかりではあるけれど、愛する息子を守る戦いをやめることは出来ない。
色々な人に相談してみたものの、息子の様子は一向に良くなる気配は見えない
再び出張から戻ってきた旦那と二人で見つけた霊能力者の協力を得ることは出来ず、夫婦の出した結論は……
百物語 箱館「怪談」散歩(一話完結・短編集)
尾駮アスマ(オブチアスマ おぶちあすま)
ホラー
世の中、時々不思議なことが起こります。
ノンフィクション怪談です。
私が子供の頃から大人になるまで、そしてその後も蒐集した
これは、と思う実話怪談を書きおこしました。
お楽しみいただければ幸いです。
もしよければお気に入り登録・イイネ・感想など、よろしくお願いいたします。
大変励みになります。
無断転載・無断使用は不可で、お願いします。
ゴーストバスター幽野怜Ⅱ〜霊王討伐編〜
蜂峰 文助
ホラー
※注意!
この作品は、『ゴーストバスター幽野怜』の続編です!!
『ゴーストバスター幽野怜』⤵︎ ︎
https://www.alphapolis.co.jp/novel/376506010/134920398
上記URLもしくは、上記タグ『ゴーストバスター幽野怜シリーズ』をクリックし、順番通り読んでいただくことをオススメします。
――以下、今作あらすじ――
『ボクと美永さんの二人で――霊王を一体倒します』
ゴーストバスターである幽野怜は、命の恩人である美永姫美を蘇生した条件としてそれを提示した。
条件達成の為、動き始める怜達だったが……
ゴーストバスター『六強』内の、蘇生に反発する二名がその条件達成を拒もうとする。
彼らの目的は――美永姫美の処分。
そして……遂に、『王』が動き出す――
次の敵は『十丿霊王』の一体だ。
恩人の命を賭けた――『霊王』との闘いが始まる!
果たして……美永姫美の運命は?
『霊王討伐編』――開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる