8 / 16
ピンクの手足
しおりを挟む
やっぱ海鮮ものは、美味しい。さすがは海が見える宿と絶賛する。泳ぐ予定もない、見るだけになる海を思い馳せながら食べていたら昼食を食べ終わっていた。もう一度何かを読もうかと地元情報の載っている雑誌を選び、ソファに座った。食休みだ。しばらく名産品やお土産のランキングを眺めていた。そのうち、後ろで「ケン、ケン、パッ」と声が聞こえる。団体さんの宿泊客のお嬢さん達だろう。この雨でも元気だなあ。小学生かな?小さな子にとっては遊べれば楽しいのか、この湿気にも負けず逞しい。少し重苦しく感じてたらしい気持ちが明るくなった。童心に返れる遊んでいる様子に、
私もあれくらい身軽に飛べるかな
「やめとけ」と言う心の声に従う。大人な私は静けさを求め、他の本を持って移動することにした。その時に、目に入ったソファに置かれたリュックが目に飛び込んでくる。遊んでいる女の子どちらかの荷物だろう。2つ置かれたその1つに、
あれ、なんだっけ?
気になる物が括りつけられている。手足がすごく長い。胴もまあまあ長いが丸い耳がつく、動物だ。何かのキャラクターだったと思い至り、頭の中でピンク色の泥棒ソングが流れる。
ちょっとだけよ?
いや、ちがう違う。結局名前が出てこない。少し大きいアクリルビーズでできたそれは、半透明な体をキラリと光らせて存在を主張していた。キーホルダーとは名ばかりの飾りとかしているソレhzピンクの動物は手足を投げ出しギラリと元肉食獣の雰囲気を醸し出す、のかもしれない。確か逃げ足が速い、スピード命のキャラクターではなかったか。
人ならざるものも人の形、型なんだな。何体も同じ型でできているのか。一時ビーズで指輪などのアクセサリー作りにハマった思い出が浮かぶ。あれも手作りかもしれないと思い至り、人が作った人型は、何らかの思いを託されるか?ピンクだから恋愛は短絡的か。人の情が絡むと物事は面倒くさくなるのが常なのだよ。その時は逃げるが勝ちだよねと語りかける。もちろん、答えはないが顔はこちらを見ている。目があるから人の思惑を感じるのかもしれない。
窓の外では、雨音はザーザーと激しい音を立てている。
ふと目にはいる赤拵えの甲冑。瞳のありそうな顔を見て、あんたも好きね?のセリフを思い出し、この人が言うわけないが、なんとなくアテレコしてしまった。笑いを噛み殺しながら部屋で帰りに寄るご当地の物を調べて過ごした。ついぞ、手足の長いピンクの固有名詞を思い出せず、忘れるのだった。
私もあれくらい身軽に飛べるかな
「やめとけ」と言う心の声に従う。大人な私は静けさを求め、他の本を持って移動することにした。その時に、目に入ったソファに置かれたリュックが目に飛び込んでくる。遊んでいる女の子どちらかの荷物だろう。2つ置かれたその1つに、
あれ、なんだっけ?
気になる物が括りつけられている。手足がすごく長い。胴もまあまあ長いが丸い耳がつく、動物だ。何かのキャラクターだったと思い至り、頭の中でピンク色の泥棒ソングが流れる。
ちょっとだけよ?
いや、ちがう違う。結局名前が出てこない。少し大きいアクリルビーズでできたそれは、半透明な体をキラリと光らせて存在を主張していた。キーホルダーとは名ばかりの飾りとかしているソレhzピンクの動物は手足を投げ出しギラリと元肉食獣の雰囲気を醸し出す、のかもしれない。確か逃げ足が速い、スピード命のキャラクターではなかったか。
人ならざるものも人の形、型なんだな。何体も同じ型でできているのか。一時ビーズで指輪などのアクセサリー作りにハマった思い出が浮かぶ。あれも手作りかもしれないと思い至り、人が作った人型は、何らかの思いを託されるか?ピンクだから恋愛は短絡的か。人の情が絡むと物事は面倒くさくなるのが常なのだよ。その時は逃げるが勝ちだよねと語りかける。もちろん、答えはないが顔はこちらを見ている。目があるから人の思惑を感じるのかもしれない。
窓の外では、雨音はザーザーと激しい音を立てている。
ふと目にはいる赤拵えの甲冑。瞳のありそうな顔を見て、あんたも好きね?のセリフを思い出し、この人が言うわけないが、なんとなくアテレコしてしまった。笑いを噛み殺しながら部屋で帰りに寄るご当地の物を調べて過ごした。ついぞ、手足の長いピンクの固有名詞を思い出せず、忘れるのだった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
旧校舎のシミ
宮田 歩
ホラー
中学校の旧校舎の2階と3階の間にある踊り場には、不気味な人の顔をした様なシミが浮き出ていた。それは昔いじめを苦に亡くなった生徒の怨念が浮き出たものだとされていた。いじめられている生徒がそのシミに祈りを捧げると——。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
ゴーストバスター幽野怜
蜂峰 文助
ホラー
ゴーストバスターとは、霊を倒す者達を指す言葉である。
山奥の廃校舎に住む、おかしな男子高校生――幽野怜はゴーストバスターだった。
そんな彼の元に今日も依頼が舞い込む。
肝試しにて悪霊に取り憑かれた女性――
悲しい呪いをかけられている同級生――
一県全体を恐怖に陥れる、最凶の悪霊――
そして、その先に待ち受けているのは、十体の霊王!
ゴーストバスターVS悪霊達
笑いあり、涙あり、怒りありの、壮絶な戦いが幕を開ける!
現代ホラーバトル、いざ開幕!!
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
逢魔ヶ刻の迷い子2
naomikoryo
ホラー
——それは、封印された記憶を呼び覚ます夜の探索。
夏休みのある夜、中学二年生の六人は学校に伝わる七不思議の真相を確かめるため、旧校舎へと足を踏み入れた。
静まり返った廊下、誰もいないはずの音楽室から響くピアノの音、職員室の鏡に映る“もう一人の自分”——。
次々と彼らを襲う怪異は、単なる噂ではなかった。
そして、最後の七不思議**「深夜の花壇の少女」**が示す先には、**学校に隠された“ある真実”**が眠っていた——。
「恐怖」は、彼らを閉じ込めるために存在するのか。
それとも、何かを伝えるために存在しているのか。
七つの怪談が絡み合いながら、次第に明かされる“過去”と“真相”。
ただの怪談が、いつしか“真実”へと変わる時——。
あなたは、この夜を無事に終えることができるだろうか?


百物語 箱館「怪談」散歩(一話完結・短編集)
尾駮アスマ(オブチアスマ おぶちあすま)
ホラー
世の中、時々不思議なことが起こります。
ノンフィクション怪談です。
私が子供の頃から大人になるまで、そしてその後も蒐集した
これは、と思う実話怪談を書きおこしました。
お楽しみいただければ幸いです。
もしよければお気に入り登録・イイネ・感想など、よろしくお願いいたします。
大変励みになります。
無断転載・無断使用は不可で、お願いします。
ゴーストバスター幽野怜Ⅱ〜霊王討伐編〜
蜂峰 文助
ホラー
※注意!
この作品は、『ゴーストバスター幽野怜』の続編です!!
『ゴーストバスター幽野怜』⤵︎ ︎
https://www.alphapolis.co.jp/novel/376506010/134920398
上記URLもしくは、上記タグ『ゴーストバスター幽野怜シリーズ』をクリックし、順番通り読んでいただくことをオススメします。
――以下、今作あらすじ――
『ボクと美永さんの二人で――霊王を一体倒します』
ゴーストバスターである幽野怜は、命の恩人である美永姫美を蘇生した条件としてそれを提示した。
条件達成の為、動き始める怜達だったが……
ゴーストバスター『六強』内の、蘇生に反発する二名がその条件達成を拒もうとする。
彼らの目的は――美永姫美の処分。
そして……遂に、『王』が動き出す――
次の敵は『十丿霊王』の一体だ。
恩人の命を賭けた――『霊王』との闘いが始まる!
果たして……美永姫美の運命は?
『霊王討伐編』――開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる