<長編・2万字>人形が死んでいる [本編完結済み]

BBやっこ

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夢②

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夢。
暗いじめっとした闇を見た。暗闇は、じわりと染み出しそうなそれは浮かんでいるのか。それが空間から漏れ出ているのか、わからない。そこからヒラヒラと何本か出て来たのは、白色でそのヒラヒラ加減はトイレットペーパーが形容に近い物か。と呑気に考えていた。暗闇の中からスルスルと本数も面積も、増えていく。空間を埋めつくさんとばかりに出てくる、出てくる!禍々しいと言えそうな暗闇から出る帯状のヒラヒラ、それに捕まっているらしい私。

これは呪術的な何かだろうか。イケニエ的な?

音のない夢には、その蠢くヒラヒラの接近が分からず、自分の視界も白色に巻かれて囚われていく。ちらちらと出処である暗闇があるのが見え、白い帯が迫って来る。しゅるり、しゅるりと音があればしているところだろう。

このままでは、圧死する?
夢のふわふわ感にそんなリアリティのある感覚はないが、目の前には見えている。そこから想像してしまえば、息苦しくなりそのまま…。痛みを創造し、感じてしまうのではないか?

ピチョンピチョンと水の感覚と音でも
自分の身体を伝い出た赤い液体と信じてしまえば、人は死ぬ?

そうなれば死ぬと聞いた時、私は想像でも人は死ねるのかと思ったものだ。
夢には、赤い血がでるだろうか。用意されていたような動揺に私は、

「甲冑さん、仕事してぇぇえ!!」声のない世界で心のままに叫んだ。

その呼び声のためか、はたまた出現する予定だったのか?
暗闇が、斜めに切れ目が入り、その一筋に光が通る。

赤い甲冑

その一閃が効いたのか、白い色が暗闇から滲んだもので甲冑の赤とは違った紅が滴り、じんわりと染まっていく。
黒色から出るそれ。黒かと思ったそれは“赤黒く”そこから“赤色”の鮮血になったら、白い布と混ざって、赤と白で

「ピンク色だ。」

生臭さは感じず染めていく色は自分に向かってくる。私の元にあるのは、まだ白い。この巻きついた物は、包帯のように腕にぐるぐる巻きついて、手拭いというよりガーゼのような素材にどんどん色が付く。

これが血の色になれば、私は死ぬだろうか?

自分に巻かれた布から
血が触れている
私は死を認識するのか?


呪術的なものに四肢を捕えられた私は、包帯男のようにぐるぐるなざまなんだろう。
ちらりと目線を上げてみた。暗闇は黒と赤とピンク色に外側へ染まりグルグルの布で巻かれ、その奥から見つめるように…見られた気がした。

呪われてるわ。
そうして夢は、闇に埋もれてしまった。
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