<長編・2万字>人形が死んでいる [本編完結済み]

BBやっこ

文字の大きさ
上 下
6 / 16

夢②

しおりを挟む
夢。
暗いじめっとした闇を見た。暗闇は、じわりと染み出しそうなそれは浮かんでいるのか。それが空間から漏れ出ているのか、わからない。そこからヒラヒラと何本か出て来たのは、白色でそのヒラヒラ加減はトイレットペーパーが形容に近い物か。と呑気に考えていた。暗闇の中からスルスルと本数も面積も、増えていく。空間を埋めつくさんとばかりに出てくる、出てくる!禍々しいと言えそうな暗闇から出る帯状のヒラヒラ、それに捕まっているらしい私。

これは呪術的な何かだろうか。イケニエ的な?

音のない夢には、その蠢くヒラヒラの接近が分からず、自分の視界も白色に巻かれて囚われていく。ちらちらと出処である暗闇があるのが見え、白い帯が迫って来る。しゅるり、しゅるりと音があればしているところだろう。

このままでは、圧死する?
夢のふわふわ感にそんなリアリティのある感覚はないが、目の前には見えている。そこから想像してしまえば、息苦しくなりそのまま…。痛みを創造し、感じてしまうのではないか?

ピチョンピチョンと水の感覚と音でも
自分の身体を伝い出た赤い液体と信じてしまえば、人は死ぬ?

そうなれば死ぬと聞いた時、私は想像でも人は死ねるのかと思ったものだ。
夢には、赤い血がでるだろうか。用意されていたような動揺に私は、

「甲冑さん、仕事してぇぇえ!!」声のない世界で心のままに叫んだ。

その呼び声のためか、はたまた出現する予定だったのか?
暗闇が、斜めに切れ目が入り、その一筋に光が通る。

赤い甲冑

その一閃が効いたのか、白い色が暗闇から滲んだもので甲冑の赤とは違った紅が滴り、じんわりと染まっていく。
黒色から出るそれ。黒かと思ったそれは“赤黒く”そこから“赤色”の鮮血になったら、白い布と混ざって、赤と白で

「ピンク色だ。」

生臭さは感じず染めていく色は自分に向かってくる。私の元にあるのは、まだ白い。この巻きついた物は、包帯のように腕にぐるぐる巻きついて、手拭いというよりガーゼのような素材にどんどん色が付く。

これが血の色になれば、私は死ぬだろうか?

自分に巻かれた布から
血が触れている
私は死を認識するのか?


呪術的なものに四肢を捕えられた私は、包帯男のようにぐるぐるなざまなんだろう。
ちらりと目線を上げてみた。暗闇は黒と赤とピンク色に外側へ染まりグルグルの布で巻かれ、その奥から見つめるように…見られた気がした。

呪われてるわ。
そうして夢は、闇に埋もれてしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百物語 厄災

嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。 小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。

一ノ瀬一二三の怪奇譚

田熊
ホラー
一ノ瀬一二三(いちのせ ひふみ)はフリーのライターだ。 取材対象は怪談、都市伝説、奇妙な事件。どんなに不可解な話でも、彼にとっては「興味深いネタ」にすぎない。 彼にはひとつ、不思議な力がある。 ――写真の中に入ることができるのだ。 しかし、それがどういう理屈で起こるのか、なぜ自分だけに起こるのか、一二三自身にもわからない。 写真の中の世界は静かで、時に歪んでいる。 本来いるはずのない者たちが蠢いていることもある。 そして時折、そこに足を踏み入れたことで現実の世界に「何か」を持ち帰ってしまうことも……。 だが、一二三は考える。 「どれだけ異常な現象でも、理屈を突き詰めれば理解できるはずだ」と。 「この世に説明のつかないものなんて、きっとない」と。 そうして彼は今日も取材に向かう。 影のない女、消せない落書き、異能の子、透明な魚、8番目の曜日――。 それらの裏に隠された真実を、カメラのレンズ越しに探るために。 だが彼の知らぬところで、世界の歪みは広がっている。 写真の中で見たものは、果たして現実と無関係なのか? 彼が足を踏み入れることで、何かが目覚めてしまったのではないか? 怪異に魅入られた者の末路を、彼はまだ知らない。

ゴーストバスター幽野怜

蜂峰 文助
ホラー
ゴーストバスターとは、霊を倒す者達を指す言葉である。 山奥の廃校舎に住む、おかしな男子高校生――幽野怜はゴーストバスターだった。 そんな彼の元に今日も依頼が舞い込む。 肝試しにて悪霊に取り憑かれた女性―― 悲しい呪いをかけられている同級生―― 一県全体を恐怖に陥れる、最凶の悪霊―― そして、その先に待ち受けているのは、十体の霊王! ゴーストバスターVS悪霊達 笑いあり、涙あり、怒りありの、壮絶な戦いが幕を開ける! 現代ホラーバトル、いざ開幕!! 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

逢魔ヶ刻の迷い子2

naomikoryo
ホラー
——それは、封印された記憶を呼び覚ます夜の探索。 夏休みのある夜、中学二年生の六人は学校に伝わる七不思議の真相を確かめるため、旧校舎へと足を踏み入れた。 静まり返った廊下、誰もいないはずの音楽室から響くピアノの音、職員室の鏡に映る“もう一人の自分”——。 次々と彼らを襲う怪異は、単なる噂ではなかった。 そして、最後の七不思議**「深夜の花壇の少女」**が示す先には、**学校に隠された“ある真実”**が眠っていた——。 「恐怖」は、彼らを閉じ込めるために存在するのか。 それとも、何かを伝えるために存在しているのか。 七つの怪談が絡み合いながら、次第に明かされる“過去”と“真相”。 ただの怪談が、いつしか“真実”へと変わる時——。 あなたは、この夜を無事に終えることができるだろうか?

その洋食店のハンバーグ定食は、なぜおいしいのか?

速水静香
ホラー
 私は、ある洋食店が気になっていた。それは昭和ノスタルジックを感じさせる、そんな洋食店だった。

二つの願い

釧路太郎
ホラー
久々の長期休暇を終えた旦那が仕事に行っている間に息子の様子が徐々におかしくなっていってしまう。 直接旦那に相談することも出来ず、不安は募っていくばかりではあるけれど、愛する息子を守る戦いをやめることは出来ない。 色々な人に相談してみたものの、息子の様子は一向に良くなる気配は見えない 再び出張から戻ってきた旦那と二人で見つけた霊能力者の協力を得ることは出来ず、夫婦の出した結論は……

怪談実話 その2

紫苑
ホラー
本当にあった怖い話です…

百物語 箱館「怪談」散歩(一話完結・短編集)

尾駮アスマ(オブチアスマ おぶちあすま)
ホラー
世の中、時々不思議なことが起こります。 ノンフィクション怪談です。 私が子供の頃から大人になるまで、そしてその後も蒐集した これは、と思う実話怪談を書きおこしました。 お楽しみいただければ幸いです。 もしよければお気に入り登録・イイネ・感想など、よろしくお願いいたします。 大変励みになります。 無断転載・無断使用は不可で、お願いします。

処理中です...