【完結】おはなしは、ハッピーエンドで終わるのに!

BBやっこ

文字の大きさ
上 下
5 / 7

宰相の息子

しおりを挟む
王子様と公爵令嬢様。
その2人の硬直を解いた方がいた。

王子様の名前を呼び、その方に手を置いて宥める。

「王子として落ち着いて振る舞ってくれ。
そして貴女は、公爵令嬢として振る舞っては?」
その目は、とても鋭く相手を萎縮させるけど、本当は優しいとわたしは知っている。

それをちょっと、気にしているのがカワイイ。
本人に言ったら、照れててもっと可愛かったよ?

思い出して、ちょっとわたしの緊張が解れた。

今は、氷の宰相様と言われるお父さんに似ている状態だから、
気楽に声をかけられない。

それに、わたしが何かを言うタイミングでもないだろう。
とても、舞台の中央に立ってしまっている気がするけど。

場違いな感じをひしひし感じながらも公爵令嬢様の方を見た。
少し、顔色が戻ったかな。倒れる心配はなさそうだけど、その目に闘志が灯ったようだ。


「彼がっ、私が彼のパートナーだったのに!」

叫ぶような声に、そんな声量も出せたのねと感心してしまった。
だって、いつも扇を広げてボソっと言うんだもの。

お喋りが苦手なのねと決めつけていたわ。



「ちゃんと手順を踏んで、お断りしたでしょう?」
王子様は
約束の日にちを決め、対面で断り、お詫びの手紙をつけていた。

その時に一緒に行き、証人として間に入っていた形だ。
ギッとキツくわたしを睨みつける公爵令嬢が、

『貴女のせいでしょう?』と言ってるように強い。

その視線に、怯んでしまう。これだけ強い目力で見られたことはない
特に、数人で囲まれることが多かったから。

あんな視線もできたのね。
本当に、最後の卒業式で新しい公爵令嬢様の事を知れたわ。


「彼女は知らない。」

静かに、再び間に入ってくれた。

これはもう、2人に守られている形だ。


確かに、わたしは今日のエスコートが
皆んな順にしてくれるとは知らなかった。

でも、公爵令嬢様に迷惑かけるつもりもなかった。


なんて言えば良いのかな?

エスコートする人がいないのは、社交界で笑い者にされるとは聞いた。

だから、家族や親戚に頼む。
王子様と親戚で婚約者だから頼んだけど断られた。

それなら、お兄さんとか頼むのが授業で習った正解だ。


公爵令嬢様はそれをしなかったんだから、王子様に物言いするのは
変じゃないの?

そう結論づけたけど、まだお顔の色が良くない公爵令嬢様に
直接聞くわけにもいかず

場の空気が悪くなって行くばかり。

お友達もいないのも気になるし、

ああもうどうすれば良いの??

わたしはワタワタと内心慌てることしかできなかった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

だいたい全部、聖女のせい。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」 異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。 いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。 すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。 これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

愛するお嬢様を傷付けられた少年、本人が部屋に閉じこもって泣き暮らしている間に復讐の準備を完璧に整える

下菊みこと
恋愛
捨てられた少年の恋のお話。 少年は両親から捨てられた。なんとか生きてきたがスラム街からも追い出された。もうダメかと思っていたが、救いの手が差し伸べられた。 小説家になろう様でも投稿しています。

ヒロイン様、こちらをお読みいただけますか?

miyumeri
恋愛
ゲームの世界に転生したヒロイン。逆ハー狙いで頑張ってるけど、悪役令嬢に呼び出され なんだか怪しい雲行きに。 初めての投稿です。 本当に初めて小説(のようなもの)を書きました。 優しい心持でお読みいただければ幸いです。

仮面夫婦

彩女莉瑠
恋愛
仮面夫婦と揶揄される、1組の夫婦の物語。 テーマは『嘘』 短編ですが、楽しんで頂けたら幸いです。

【完結】その令嬢、キリングマシーンにつき

黒幸
恋愛
トルチュル王国には二人の王子がいる。 第一王子で王太子のオーギュスト・ポタンス。 第二王子のエクトル。 何れも容姿端麗で非の打ち所がない王子として、知られている。 オーギュストには既に妃がいたが、エクトルは婚約者の選定すら行われていない。 しかし、ある日、エクトルの婚約者候補が発表されたのである。 それを見て、昏い目をする令嬢が一人。 彼女こそ、物語の主人公(であるはずの)コンスタンスだった。 全5話予定です。 Xのスペースで話のネタに上げた赤いうんたらと呼ばれる某特撮ヒーローを異世界恋愛にしてみようという試みで書いてみました。

【完結・7話】召喚命令があったので、ちょっと出て失踪しました。妹に命令される人生は終わり。

BBやっこ
恋愛
タブロッセ伯爵家でユイスティーナは、奥様とお嬢様の言いなり。その通り。姉でありながら母は使用人の仕事をしていたために、「言うことを聞くように」と幼い私に約束させました。 しかしそれは、伯爵家が傾く前のこと。格式も高く矜持もあった家が、機能しなくなっていく様をみていた古参組の使用人は嘆いています。そんな使用人達に教育された私は、別の屋敷で過ごし働いていましたが15歳になりました。そろそろ伯爵家を出ますね。 その矢先に、残念な妹が伯爵様の指示で訪れました。どうしたのでしょうねえ。

お姉様に恋した、私の婚約者。5日間部屋に篭っていたら500年が経過していました。

ごろごろみかん。
恋愛
「……すまない。彼女が、私の【運命】なんだ」 ──フェリシアの婚約者の【運命】は、彼女ではなかった。 「あなたも知っている通り、彼女は病弱だ。彼女に王妃は務まらない。だから、フェリシア。あなたが、彼女を支えてあげて欲しいんだ。あなたは王妃として、あなたの姉……第二妃となる彼女を、助けてあげて欲しい」 婚約者にそう言われたフェリシアは── (え、絶対嫌なんですけど……?) その瞬間、前世の記憶を思い出した。 彼女は五日間、部屋に籠った。 そして、出した答えは、【婚約解消】。 やってられるか!と勘当覚悟で父に相談しに部屋を出た彼女は、愕然とする。 なぜなら、前世の記憶を取り戻した影響で魔力が暴走し、部屋の外では【五日間】ではなく【五百年】の時が経過していたからである。 フェリシアの第二の人生が始まる。 ☆新連載始めました!今作はできる限り感想返信頑張りますので、良ければください(私のモチベが上がります)よろしくお願いします!

処理中です...