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V 舗装された道

思考が止まる

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食堂で合流した2人、ロードとセリちゃんは仲良さそうに話していた。
喧嘩もなく、過ごせたのだろうと思った。

ロードの要望で、2人に部屋を1室取ったが
懐は別にいい。オレらは結構儲けてるからな。ロードの懐から出てるし。
なんなら、2人と別のが休めるわってくらい。

そこに反対はしなかった。目の前でロードが構いたおしてるのは
鬱陶しいから(セリちゃん、大変だったかもなー。)と探りと言うほどじゃないけど、心配して
セリちゃんに、

「昨日はどうだった?」

とオレが聞いたのは、『調子はどう?』くらいの
軽い挨拶の意味合いしかなかった。

しかし、相手の答えによっては、とてもとてーも思考が止まるって知った。
その答えがこうだ。


「すっごく良かった。」
嬉しそうな笑顔つきだった。


『ほんとに良かったんだなー。』って言ってやれたら良かったのかもしれない。

だが、昨日のロードとセリの同室を前提にしたら?
もう、いかがわしい方向しか考えられない。

ロードを睨みつけたのは、シュルトも同じだった。

『お熱いことで』と言えれば良いが
ヤるのは控えると言った口が、もう違う口になっている。

『オマエ、ヤッたのか?!』

圧をかけて口に出さずにきく。

シュルトとカナンは、どうロードを追い詰めるか思考を
巡らせ始めた。


セリが『あれ?』という顔に気づいていない。
『何か変なことを言った?』といった表情だったが気づかない。


そこに斬り込んだのはグスタフだった。

「身体は大丈夫なのか?」

それは・・・労る言葉なのか、聞いて良いことなのか??
と疑問を持つ言葉だった。


しかし、その答えは聞かなければならなかったもの!

「うん。マッサージしてもらって助かった。」

そうか~、マッサージかあ。

あの、『昨日は良かったわ』とか添い寝した女に言われそうなセリフを
セリちゃんから出て、焦ったわああ。

もう、ロードをどうやって“ど突く”か
セリちゃんへの接近禁止をしよう!と思ってたわ。

そうか、マッサージねえ。


…本当にか?それだけだったのか。
ちろりとロードの顔を見たら

なんか艶々してねえか?

機嫌の良いロードはこっちを見ず
セリちゃんの嬉しそうな顔に、まなじりを下げる。
オマエは孫が可愛い爺さんか?

恐がられてる爺さんほど、孫娘を溺愛してるんだよなー。


…ちょっと、思考が逃避したわ。

セリちゃんを観察する。
首回りにキスマークなんてなく、

だるそうな感じもない。

寝ただけだったのか?
それにしてはロードのあのデレデレ具合の説明がつかない

どんなマッサージだったんだ?
と聞くのは、商業ギルド長の部屋に行ってからにした。

食堂で話すことでもないかな、という配慮だ。
さっき見たいな含みを持たせる言葉を心配したのもある。

朝食を持っていき、部屋での朝食の席で、
クマもなく元気なギムナスに挨拶そこそこ

ロードに昨夜の話を促した。

へえ、部屋に突撃されたのかっていう女の話から
マッサージの話を聞きました。

うわっ
変態親父じゃねーか。ひくわあ。


セリちゃんには善意だって見せてるのが
姑息だわ~。


コイツこう言うところあるよな。
自分の利益のために、態度力雰囲気で言いくるめるところ!

あちゃー。セリちゃん騙されてるぅ!

いや、マッサージに入る範囲での触れ合い
それなら健全って言えるのだろうか。


・・そのうち胸も揉み出すだろ。

『嫌ならイヤって言いなよ?』とセリちゃんに言い含めよう。

拒否の言葉は「嫌いになる!」で一発だわ。

後々、面倒いけど、セリちゃんのが大事とシュルトと目で
共通認識を確認した朝だった。








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