上 下
182 / 200
V 舗装された道

<番外> 入れなかった部屋

しおりを挟む
ーーーある女目線

今日の相手はあの人に決まりだわ。
ワタシのお眼鏡にかなったのは、上位ランクらしい冒険者だった。

体格から姿勢までそんじょそこらの冒険者とは全然チガウ!
装備や所作なんて、そこいらのへっぽこ貴族より綺麗だ。

皆、なかなか男前ばかりで、一緒に来た女も色めき立つ。
ここいらの食堂では、特に目立つ5人を見れば、間に挟まれて座っていた子供を見逃した。
体格の良い2人に守られるように座っているから未成年かしら?

子供も来ていいと誘って見るも誰1人、腰をあげない。
これは1人だけを釣る方が良いわね。
5人を値踏みする。

手前にいる2人は除外。
口達者なタイプは、早々に追い返されそうだ。
今も、洒落てる格好の男が断る。王都にいそうなお洒落な商人って感じ。
金回りは悪いかしらね。商人ってケチだもの。

もう1人の獣耳の男は、愛想良さそうだけど…
これはダメね。断る姿勢になってるってわかる。

うちの店の店長が見せる笑顔だわ。
勝てないし、とっかかりも見せないのよ。

奥のデカい男はさっぱりわからない、大人しい奴って
変な趣味があったら最悪じゃない?ナシね。

綺麗な顔の男はダメね。
会話も拒否ってカンジ?お高く止まってるわ!と言いたいところだけど
そんだけ美貌があれば、世の中簡単に生きていけそうだわ。

隣に並びたくないタイプね。

消去法でいくと、奥にいる怜悧な目が印象の男。
ゾクゾクしちゃう。

子供好きなのかしら?
ずっと隣の子の世話を焼いているから、きっと見た目で損しているタイプだわ!

冷たくて人が近づかないけど、本当は優しい相場よね。子供に優しいなら女にもそうだわ。
それなら、か弱い
ワタシが相手して、寂しい夜を慰めてあけなきゃね?

ここのテーブルの全員、冒険者の格好だけど、芋くさくないのよね。
お金持ってそうだわ。

全員をお店に誘って、選んだ1人を部屋に連れ込みたいところだけど
動く気なさそうなのよねー。

この辺まで来ると王都に行って飲むって輩のが多いから
客を引っ張るのも、ひと苦労だわ。


冒険者なら護衛の依頼かしら?高額の依頼料って聞いたわっ
依頼主も紹介してもらったら、ウハウハよー

良いわ、絶対ものにしてやるっ
私に靡かない男なんていないわ!


食堂の上の宿で部屋を用意した。ベッドがあれば良いわ。
鍵持って階段を軽やかに上がる

抜けがけで、1人。彼の部屋に来た。

ノックしたら返ってきたのは高い声。子供がいるのかしら?
なら、部屋から連れ出せば良いわ。部屋は近いし。


甘く囁いて声をかけたら

あらあ。冷たい声
知ってるんだから本当は愛に飢えてるのよね?

ひゅおっと冷気が扉の下から感じた。

あら?窓でも開いているのかしらね。ちょっと寒くなったわ
貴方の胸で温めてもらわないと、キャっ♡

「んっ……あっ……」

!?

え、ちょっと何。声?
男の声とは思えない。

え、ちょちょとおおお
何してんのよっ
ワタシと愛を育むんでしょ?!

扉に耳をつける
「んちょっと、痛い…。」
若い声が悩ましく告げる。

ハ?

なに、なんなの!?ワタシがいながら何やってんのよおお!!?

信じらんないっ!
乗り込んでやろうかと頭をかすめたが、宿泊客の声で我に返った。

ムカムカはあるが、興味はなくなった。
こーなったら、
他の男、捕まえるんだから!!
部屋に連れ込む男を探しに食堂へ戻る

そうだ、あの男たちの依頼主を探すわ!きっと、金持ちの商人でしょ?
その商人と仲良くなってあの男を袖にしてやる!!

そうして扉は、朝まで閉じられたままだった。


一方

お金持ってそうと思われ
狙われていることなんて知らない商業ギルド長は
しっかり書類を作成し終わっていた。


部屋から一歩も出ず、夕食も部屋への配膳を頼んだ。

慌ただしい時は終わり、不備はないかも確認した。
今日の終わりに、のんびりハーブティを飲む。

貰い物のよく眠れるお茶を楽しみ、
久々のベッドでしっかり眠りについていた。


ゆっくりできる一人寝を堪能できたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰? あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。 わたし、どうなるの? 不定期更新 00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

異世界で狼に捕まりました。〜シングルマザーになったけど、子供たちが可愛いので幸せです〜

雪成
恋愛
そういえば、昔から男運が悪かった。 モラハラ彼氏から精神的に痛めつけられて、ちょっとだけ現実逃避したかっただけなんだ。現実逃避……のはずなのに、気付けばそこは獣人ありのファンタジーな異世界。 よくわからないけどモラハラ男からの解放万歳!むしろ戻るもんかと新たな世界で生き直すことを決めた私は、美形の狼獣人と恋に落ちた。 ーーなのに、信じていた相手の男が消えた‼︎ 身元も仕事も全部嘘⁉︎ しかもちょっと待って、私、彼の子を妊娠したかもしれない……。 まさか異世界転移した先で、また男で痛い目を見るとは思わなかった。 ※不快に思う描写があるかもしれませんので、閲覧は自己責任でお願いします。 ※『小説家になろう』にも掲載しています。

聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!

幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23  女性向けホットランキング1位 2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位  ありがとうございます。 「うわ~ 私を捨てないでー!」 声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・ でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので 「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」 くらいにしか聞こえていないのね? と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~ 誰か拾って~ 私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。 将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。 塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。 私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・  ↑ここ冒頭 けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・ そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。 「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。 だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。 この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。 果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか? さあ! 物語が始まります。

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

彼女が心を取り戻すまで~十年監禁されて心を止めた少女の成長記録~

春風由実
恋愛
当代のアルメスタ公爵、ジェラルド・サン・アルメスタ。 彼は幼くして番に出会う幸運に恵まれた。 けれどもその番を奪われて、十年も辛い日々を過ごすことになる。 やっと見つかった番。 ところがアルメスタ公爵はそれからも苦悩することになった。 彼女が囚われた十年の間に虐げられてすっかり心を失っていたからである。 番であるセイディは、ジェラルドがいくら愛でても心を動かさない。 情緒が育っていないなら、今から育てていけばいい。 これは十年虐げられて心を止めてしまった一人の女性が、愛されながら失った心を取り戻すまでの記録だ。 「せいでぃ、ぷりんたべる」 「せいでぃ、たのちっ」 「せいでぃ、るどといっしょです」 次第にアルメスタ公爵邸に明るい声が響くようになってきた。 なお彼女の知らないところで、十年前に彼女を奪った者たちは制裁を受けていく。 ※R15は念のためです。 ※カクヨム、小説家になろう、にも掲載しています。 シリアスなお話になる予定だったのですけれどね……。これいかに。 ★★★★★ お休みばかりで申し訳ありません。完結させましょう。今度こそ……。 お待ちいただいたみなさま、本当にありがとうございます。最後まで頑張ります。

これが普通なら、獣人と結婚したくないわ~王女様は復讐を始める~

黒鴉宙ニ
ファンタジー
「私には心から愛するテレサがいる。君のような偽りの愛とは違う、魂で繋がった番なのだ。君との婚約は破棄させていただこう!」 自身の成人を祝う誕生パーティーで婚約破棄を申し出た王子と婚約者と番と、それを見ていた第三者である他国の姫のお話。 全然関係ない第三者がおこなっていく復讐? そこまでざまぁ要素は強くないです。 最後まで書いているので更新をお待ちください。6話で完結の短編です。

処理中です...