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V 舗装された道

帰還

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帰ってきた。
獲物もあったが、一休みしてからでいいだろうと察する。

セリ1人がヘトヘトに疲れている様子だった。

この3人のスピードで森をかけてきたのだ。
そりゃしょうでしょ?とキースは呆れ半分だった。

シュルトが甲斐甲斐しく声をかけている。
「怪我はない?」

あの3人が一緒でそれはないと思う。自らこけない限りは。
おや、それさえもフォロー出来そうな男がぴったり付いている。

「大丈夫」と疲れが見える声だった。
頑張ったなと頭を撫で、グスタフが気遣わしげだ。

ボクはこの3人と森へ行くなんて、御免だね。
背負われて仕方なく行くのが妥協点だ。

まあセリの調子だから冒険者ギルドは後回しにして、
宿に寄ったのだ。全員了解の上だろう。


「もういいだろ?」我慢にガマンを重ねたと声に滲む
ロードはセリの肩に手を置いている

「あ~、ましょーがねっか。」
「ええ。へやでならいいでショ。」

カナンとシュルトからの言葉で、
ロードはセリに抱きついた。

?!

前のゼロ距離に突然戻ったので困惑するセリ
てっきりもうないのだと思った

風呂行こうぜ

花咲くような笑顔のロードに連れ去られて行った。


カナンが声をかけに行って2人は戻ってきた
部屋に着いた途端に抱きしめ、匂いを嗅いでいる。

変態くさい行動だ。

ホカホカに少々茹だったように思うセリに

果実水を渡すシュルトだった。
ロードがその飲み物を冷やした。

「ありがと」
と上気した頬のセリに悶えるが膝の上にしっかり乗せていた。

「もった方だよな?」
「及第点かしらネ。」

これも『1人2役』の作戦の一部だ。
番とは別人の冒険者セリに、ロードがべったりすればおかしい。

番を得た獣人は、べったりだという話を逆手にとった作戦なのだから。

ロードには、適切な距離を取るよう言い含めた。
理解はあるものの、寂しいと言いたげな大の男が

端的に言ってキモ……気持ちの良いものではなく、
精神的にこちらにも被害が来た。微々たるものと無視して

打ち合わせをする

「まあ、なんとかくっ付いてはなかった。ボディタッチも許容内だ」
若い冒険者に目をかけている程度の。まあお気に入りと頭につきそうだが。

「細いかいところまでいえば、
バレると思うのだケド…所々で修正するしかないんじゃないかしら?」

あの見つめる視線は、察しがよければバレる。それを番を思い出していると誤魔化せれば良いけど

「んー。まあ番に他の男を近づかせない排除するのがほとんどだから、それさえなければ
なんとかいけんじゃねーの。」


当のセリは、キースとグスタフに
ロードの膝の上だが。

ロードは嫌な顔だが黙ってセリの腹に腕を回している。

言っちゃヤダと言ったところか?

ガキか!心の中でツッコミながらも

まあこの感じならいっかと
専門用語飛び交う会話が続いていくのを眺めていた。
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