【完結済み】番(つがい)と言われましたが、冒険者として精進してます。

BBやっこ

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V 舗装された道

お出かけ

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宿に入り、今日はここで泊まる。
ここでギルマスの敵を入念に調査した結果を集めていて順次、まとめる。
堂々と商業グルド長の会議に望むため、ギムナスは公式な文章として形にして訴えるらしい。

ギムナスは仕事モードで宿で動かず、護衛役は半日は手持ち無沙汰になった。

と思ったが、
グスタフは森に出かけるようで、装備を点検している。合流したロードとカナンも準備している。

今朝までお世話になっていた屋敷に、泊めてもらったお礼の意味で魔物を間引きに森へ行くと聴き、
セリは着いていこうか迷う。

行きたい気持ちはあるが
この3人の体力とスピードには追いつけない。足手纏いだという自覚はあった。

「今回は、森をひと回りしたら帰る」とのロードの決定に
それならスピードも重要だと思う。残念だが、辞退することにした。

セリが断った後、ロードの落ち込みようが激しい。

そこに、
「別に行ってくれば?」とキースからセリに声がかけられた。
「足手纏いになると思う」と断れば、
「魔法をかけよっか?」と申し出がされた。

風魔法をかければ、スピードが出せる。最初の森で3人にかけていた魔法のことだった。
その相談に2人で話し合っている後ろでは、

「仲良くなったみてーだなあ」この場合、キースが大人になったなと成長を感じていた。
「…ああ。」としぼりだされた声には、不満だ!と言いたげなロードだったが、

セリとは距離をとる。物理的に。
例え、抱きしめたくってしょうがなくても…

耐えている。

俺は我慢しているが、セリが平気な様子がもどかしかった。
触れる事さえ我慢し、見つめるにとどめる。

今、この場にセリの危険はないし、俺のつがいを狙う男もいない。
そうは分かっていても、衝動が奥底から出てくるのは止められない。

そんな、
ロードに背中を叩いて気合を入れたカナンだった。
セリはキースに風魔法の付与と、風魔法が付与された装飾品“鎖の腕輪”を借りた。

それに物申したそうなロードを押し出し、カナンが先導して森に向かった。

町の門を出た一行はグングン進む。
セリだけ、かけてもらった風魔法と、強化魔法で森を駆けていた。

森を疾走す4人は、グスタフを先頭に、セリがいて、後ろのロードに気遣ってもらいながら
カナンが最後尾について、魔物の警戒をしていた。

セリがやっと、なんとかついて行けるスピードは速いと言えるが
経験値と体力の差は格段に違う3人はもっと速いのが事実だった。

体力も持ってかれる魔法の二重掛けに、セリの身体が追いつかない。
結局足手纏いだった。
直線距離に足の長さの差、種族差もあるのだが余裕でセリ以外が走っていた。

グスタフが合図を出し一段とスピードを増し、魔物を狩に行く。
カナンがそれに追随し、ロードはセリのフォローに残った。


グスタフが魔物を仕留めていたのを目視し、
セリは邪魔にならない所で止まり、息を整えている。その時はロードが周辺の警戒にあたった。


「身体は大丈夫か?」ロードは、
二重付与に身体は無茶を敷いている様子のセリを心配した。

とりあえず頷くセリは、まだ呼吸が乱れている。
風魔法の力に振り回されるのを身体強化の魔法で、抑えていた。

ガタガタと悪路の馬車のように、操縦できず、
どうすれば抵抗に合わず進めるか?と考えている。


倒した魔物を収納し、セリが立ち止まった所に集まった。

「少し休むか?」と気にかけてもらい
魔法のバランスの指導を受ける。

「どっち行く?」カナンの言葉に指差して方角を決め、
ロードはセリを見つめたまま、少しある距離を保ち続けた。

4人は移動し、低い滝がある場所を目指し再び走る。
その時セリは、「木の上を行きたい」と言い出し実行していた。

周りの索敵をし脅威がないと判断したロードが
「やってみろ」と進め、セリは木の上に蹴り上がっている。

身軽さと、スピードがアップする。
グスタフのアドバイスも効いているようで、速くなったのだが

それでも余裕の3人だ。
危なげなく枝の上を飛び移っていくセリの姿を捉えているロード。

「心配症なこって」

話す余裕もありながら
馬よりも速く、森を駆け巡って行ったのだった。
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