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V 舗装された道
昼休憩
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「元のべったりに、なってるじゃねーの?」
シュルトは、カナンのひと言が予想できた。
昼を調達する街中で、2台の馬車の停車場で『竜の翼』メンバーも合流した。
“ロードとセリを物理的に離してみる”
徐々に試す予定が、夜まで見るはずだった結果がアレだ。
べったりして番を見せつけるのは、王都では拙い立ち回りだ。
その問題を解消しようと『膝に乗せるな』と了承させて様子を見たかったが…
昼まで保たなかった。
いや、ちょっと言い訳はある。
遠くなる2人の後ろ姿。
セリのマントに隠れているが、
たぶん、手を繋いでいる。と目視して頭痛に堪えた。
他のメンバーは、依頼者ギムナスの護衛と昼食の調達に行った。
カナンとシュルトは、待機組み。
馬車の見張り、ついでに情報交換という名の話しをする。
シュルトは、躊躇いがちにカナンに尋ねた。
「ロードが狼狽るって想像できる?」
「ムリ。」
即答に、短く言い添える。
「それが起こったワ。」
「・・怒った?」
勝手に変換した言葉が間違いだと、じろりとカナンを見る。
流石に違うかとカナンが、確認する。
「マジ?」
「真面に。」本当だとシュルトは、肯定した。
カナンが衝撃を受け入れられるまで待つ。疑念を抑え、想像し、また疑い…
頭を抱えたらへんで、さっきあった状況を説明した。感想は、
「番ってスゲェのな!」
「ええ。ホントにね。」
同意見だ。
ため息をひとつつき、言葉を放つ
「セリの過去を確認した方が良いワ」
気が進まないけど、確定事項だ。
それを知らないと色々と決められない。
「セリちゃん知られたくないっぽいよなー。」
そうなのだ。
確実に隠したがっている。
それを暴くのは気が重い。
できれば、問い詰める形にしたくない。そうなれば
誰が聞き出すか?
「キースにやらせてみるか?」カナンの提案に逡巡する。
普段なら、
直接的な物言いをするキースにさせない役回りだ。
けど、
(セリとなら、相性が良いかも。)シュルトは賛成した。
フォローは自分がしよう。キースは
ズバズバ聞くから、こっちが焦るくらいだ。
年上のシュルトやカナンより、年の近いキースに
お茶でも飲みながら話しの水を向けることに決めた。
今日の宿で聞こう。
全員で聞くこともないが
ロードもグスタフも、口下手な部類だ興味以外に舌が滑らかになることはない。
聞き出す役には向かない2人だ。
参加は自由で。
根掘り葉掘りと聞いてみて、答えがなければ
ヒントを繋いで見れば良い。
それくらいの情報網はあると自負する。
情報の確認はとる心積りだ。
早いか正確か?それだけの違いになる
ハァァァと大きなため息の後、
「ロードが狼狽るってなあ。見なきゃイメージできないわ、オレ。」
「見ても夢だったって思うかもヨ?」
「そんなにか??」
うん。信じられない。
その言葉を飲み込んだ。
ここで交代して、セリにちょっかいをかけて、ロードを揺さぶる予定だったが、
観察に留めることにした。
ロードの情緒を安定させるのが先だ。
見た感じは変化ないが、あれだけ不安定な様子は驚愕ものだ。
この時点でわかってよかったかもしれない。シュルトは理解した。
セリは、ロードの弱点だ。
思う以上に精神まで関わっている。
セリがロードを支配下に置けるんじゃないか、と頭を掠めた。
洒落にならない。
“番は呪い”
そんな言葉の意味合いを考える。
どうなることやら。
ロードの忍耐力や、突発的な行動力。
それが、変な方に切り替わらないと良いけど。
危ういとこを避けるように、誘導する必要性を感じた。
2人の関係の発展も進んでいない、
あの2人を王都の因縁渦巻く場所に放り込むのは、時期尚早だ。
とにかく時間が必要。
2人の潜在能力は未知だけど
まだ会ったばかりなの。
今、崩されたくない。
まだ、王都まで時間がある。
驚きつつも今後の変化についていこうと決めたのだった。
シュルトは、カナンのひと言が予想できた。
昼を調達する街中で、2台の馬車の停車場で『竜の翼』メンバーも合流した。
“ロードとセリを物理的に離してみる”
徐々に試す予定が、夜まで見るはずだった結果がアレだ。
べったりして番を見せつけるのは、王都では拙い立ち回りだ。
その問題を解消しようと『膝に乗せるな』と了承させて様子を見たかったが…
昼まで保たなかった。
いや、ちょっと言い訳はある。
遠くなる2人の後ろ姿。
セリのマントに隠れているが、
たぶん、手を繋いでいる。と目視して頭痛に堪えた。
他のメンバーは、依頼者ギムナスの護衛と昼食の調達に行った。
カナンとシュルトは、待機組み。
馬車の見張り、ついでに情報交換という名の話しをする。
シュルトは、躊躇いがちにカナンに尋ねた。
「ロードが狼狽るって想像できる?」
「ムリ。」
即答に、短く言い添える。
「それが起こったワ。」
「・・怒った?」
勝手に変換した言葉が間違いだと、じろりとカナンを見る。
流石に違うかとカナンが、確認する。
「マジ?」
「真面に。」本当だとシュルトは、肯定した。
カナンが衝撃を受け入れられるまで待つ。疑念を抑え、想像し、また疑い…
頭を抱えたらへんで、さっきあった状況を説明した。感想は、
「番ってスゲェのな!」
「ええ。ホントにね。」
同意見だ。
ため息をひとつつき、言葉を放つ
「セリの過去を確認した方が良いワ」
気が進まないけど、確定事項だ。
それを知らないと色々と決められない。
「セリちゃん知られたくないっぽいよなー。」
そうなのだ。
確実に隠したがっている。
それを暴くのは気が重い。
できれば、問い詰める形にしたくない。そうなれば
誰が聞き出すか?
「キースにやらせてみるか?」カナンの提案に逡巡する。
普段なら、
直接的な物言いをするキースにさせない役回りだ。
けど、
(セリとなら、相性が良いかも。)シュルトは賛成した。
フォローは自分がしよう。キースは
ズバズバ聞くから、こっちが焦るくらいだ。
年上のシュルトやカナンより、年の近いキースに
お茶でも飲みながら話しの水を向けることに決めた。
今日の宿で聞こう。
全員で聞くこともないが
ロードもグスタフも、口下手な部類だ興味以外に舌が滑らかになることはない。
聞き出す役には向かない2人だ。
参加は自由で。
根掘り葉掘りと聞いてみて、答えがなければ
ヒントを繋いで見れば良い。
それくらいの情報網はあると自負する。
情報の確認はとる心積りだ。
早いか正確か?それだけの違いになる
ハァァァと大きなため息の後、
「ロードが狼狽るってなあ。見なきゃイメージできないわ、オレ。」
「見ても夢だったって思うかもヨ?」
「そんなにか??」
うん。信じられない。
その言葉を飲み込んだ。
ここで交代して、セリにちょっかいをかけて、ロードを揺さぶる予定だったが、
観察に留めることにした。
ロードの情緒を安定させるのが先だ。
見た感じは変化ないが、あれだけ不安定な様子は驚愕ものだ。
この時点でわかってよかったかもしれない。シュルトは理解した。
セリは、ロードの弱点だ。
思う以上に精神まで関わっている。
セリがロードを支配下に置けるんじゃないか、と頭を掠めた。
洒落にならない。
“番は呪い”
そんな言葉の意味合いを考える。
どうなることやら。
ロードの忍耐力や、突発的な行動力。
それが、変な方に切り替わらないと良いけど。
危ういとこを避けるように、誘導する必要性を感じた。
2人の関係の発展も進んでいない、
あの2人を王都の因縁渦巻く場所に放り込むのは、時期尚早だ。
とにかく時間が必要。
2人の潜在能力は未知だけど
まだ会ったばかりなの。
今、崩されたくない。
まだ、王都まで時間がある。
驚きつつも今後の変化についていこうと決めたのだった。
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