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V 舗装された道

馬車内

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「付与を少し頼める?」

シュルトからの依頼に、雷の魔石に付与をするのは、
馬車内でもできると受けた。

ビックバードを討伐した時に使った魔石を思い出し、
空のソレを出した。

「どれくらい付与すれば良い?コレにも補充したい。」

雷の魔法は使い所が難しい。
前回は、船に雷除けの加工がしてあった。

魚対策と聞いた。放電する魔魚がいるらしく、集団に出会うと危険らしい。

乗組員も雷付与の武器を使っていたので使えたけど。
威力は絶大。
それ故に場所を弁えないと、危険。

それでも攻撃力として持ちたいと思った。
これだけ魔力を込めておけるのは利点が大きい。

そんな事を考えていれば、隣から
「氷も使ってみるか?」
氷属性の付与を申し出てくれたので、ロードにお願いした。

足止めにも使えるので持たせてもらう。
対魔物に使うことになるだろう。

人なら、直接の雷魔法でノックダウンしてやる。
精々、気絶する程度の威力だ。触れるほど近くないと使えないけど。


ロードとセリが似たような姿勢で、付与をし始めた。

くすっと思える光景だったが、集中を切らせてはいけないと思い
シュルトは、手元の書類を見る。

面識のない冒険者たちの情報だ。

トラブルは避けたいが、
障害になるようならお帰り願おう。

ちからを見せてオハナシするで済めば良いけど。
ギムナスには許可を得ているし。

ちらりとロードを見る。セリを膝の上に乗せないのは、訓練の意味合いもある。
セリとの距離を取らせること。
それは、獣人の囲い込みを抑えるというより、
セリが弱点だという態度を取らないこと。

獣人の社会で言えば、べったりしてても当たり前という文化だが、
王都は違う。

面倒な貴族社会の決まりごとや礼節が求められる。
それに反して目立てば、立場が危うい。
『そんなものはいらない』と言いそうなロードだが、
それがなければ、行けない場所もあるし、セリを守り切れないだろう。

辺境で引き篭もらない限り。

王都での体制を整えるのは、急務だ。
セリを人質に取られても抵抗できる、忍耐と
立ち回り。

直行で迎え撃っても、後にやり返される。
それが貴族の厄介なところだ。

やるなら徹底的に潰そう。
後々の憂いにならないように。

セリにも動いてもらわないと。
(いいえ、動かないように諭すべきカシラ?)

行動力がある。無茶をしそうなタイプだわ。
それを無茶ととっていないのが怖い。

セリの素性も聞き出したいところだけど、
まだ時期が早いカシラ?ロクにお喋りしていないし。

(王都に着くまでにはお茶会をしましょう。)

態度が軟化しているように見えるし、
ロードとのことも考えているようだ。

時々見せる、ロードを目で追う仕草がある。
どちらかというと、庇護者を求める目線にみえるのだけど。

(複雑な子ねぇ。

精神的に自立しているのに、どこか飢えている。
求めないようにしていて、耐えているってトコロ?

話す内容も節々でおかしい。話の信憑性を疑ってはいない。
なんでそんな状況にいるの?まだ低ランクよ。しかもソロでしょ?

あそこのギルドマスターが無理、無茶させるとは考え難い。
どうなってるのカシラ?)

そんなトコロも踏み込んで
話せると良いなと思うのだった。


お茶会でのお菓子は何が良いかしら?セリの作ったものも楽しみだけど
その場合、ロードを抜いて話ができないわネ。食後にお茶するのも良いかも。

のんびりゆっくり。カナンにロードを任せてしまえばなんとか?
求愛(プロポーズ)でセリの変化に、ちょっと落ち着いた感じだものネ~。

キースを混ぜたら危険?
面白い反応をしそうだわ。


なんだかんだで、似た感じだもの。
やり取りの軽妙さとポンポン話すセリが年相応に見えた。

キースとあれだけやり取りできるのが普通じゃない証明な気もするケド。




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