【完結済み】番(つがい)と言われましたが、冒険者として精進してます。

BBやっこ

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V 舗装された道

他の護衛

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再びイチャイチャしようとセリを抱き寄せ、膝の上に戻そうと思えば、
ーもう時間か。

グスタフが呼びに来た。オマケも。
スィっと飛んで、机の上に乗った。
「ヴァルト!お早う」

セリが嬉しそうにフォレストオウルを撫でている。

ぐぬぬと睨んでおいたが、コイツは歯牙にもかけない。
歯も牙も、両方ないか。

両手で羽毛を撫でているセリにフードをかぶせて、促し
宿を出た。

商人達の馬車がズラリと用意されている。
「セリ、ロード!」
シュルトが声をかけてきた。

馬車は順に出発している、商業ギルド長のギムナスは
最後の方の集団に組み込まれているらしい。
ちらほら冒険者の視線を感じた。

運搬の依頼と、他の商人が個人的に雇った護衛だ。

あまり良い視線ではないが、無視するのが利口だろう。
面倒だ。

それより、
セリの持った、認識阻害は効いているだろうか?
マントだけよりも隠れているように思うが気に食わない視線から隠した。

『竜の翼』でよく狙われるのは、キースだった。
見た目で腕っ節を軽く見られるんだろう。それを上回る頭の良さがあるんだが
場慣れしているのを見せない、品の良さがあるからな。

ただ、貴族のお忍びと間違えられることもあるが。
今後はセリが狙われる可能性が高い。

メンバーで新参の、非力な若い冒険者。
嫉妬と侮りで手を出すバカな輩。

粉々にしてやる。
フォッと魔力が漏れ、ビビる奴らを無視して進めば…
カナンが見え、商業ギルド長のギムナスとキースが出てきた。

皆が2台の馬車に分かれて乗り込み、門に向かって動き出した。


「調子はどう?」
「大丈夫。動ける。」

同乗したシュルトがセリの体調をきく。
大物の討伐後だ。疲れが出ても無理はない。

長旅はしたことがないと聞いていたのも心配だった。
「こっからは、じっとしている方が多いわヨ!“王都への道”は始めてヨネ?」

セリは頷いて肯定した。王都には行ったことがない。
「ソウネー。ざっと説明しておこうカシラ?」

整備さえている道
だが森に近づくから、魔物が出たりする。

「後、盗賊ね。討伐経験はある?」真剣な眼差しを向けられた。

目を見て答える。
「ある。矢で遠くから盗賊2人。」

対人での命のやり取りで、命を奪ったかどうかは大きな違いになる。
自分の命を守るのに、躊躇って欲しくない。

その点では安心した。
「それと…逃げ出した2人、別の冒険者グループに入った時会った奴らに射った。」

盗賊の討伐数が、続いた。

この年齢での経験としては多い。
盗賊に遭遇することもあるだろうが、セリのレベルでは違和感がある話だ。

「距離を開けて射るのはできるけど、接近されると力負けする。」
体格で負けることが悔しいが事実だ。
その場合、水魔法で距離をとるのがセリの定石だった。

横に座っていたロードが、セリをくるりと向き直す。
「セリに近寄らせないから。もし攻撃されたら、粘ってくれ。
必ず助けに行く。」

その言葉が、嬉しかった。

“必ず”
不確かなはずの言葉でも、セリ自身には嬉しさが込み上げた。

“助けがくる”
それが油断に繋がるより、希望の光のように感じた。

そう言われたことがなかったから。
「わかった。」

喜びを伝えないよう、真面目に答えた。
連携の邪魔にならない事を肝にめいじる。

馬車に乗って行く旅になるが、ほどほどに出て動こうと決めた。

「ソウネ。ムリはしないこと。助けを求めて
頼って頂戴?」

優しく微笑む。
シュルトには弟妹さんがたくさいるらしい。
自分もその枠に入れられているのか。少々過保護さが感じられ、
くすぐったい気持ちもある。

自分が弱点、弱いのだ。
無理から崩れることになる。自分の管理をすることだ。

「俺がいる!」ギューっとフードの上から抱きしめられた。
温かくて、力強い。

けど、守られているだけじゃない。

「頼りにしてる」
それは本音。でも、自分の力も高めてみせるという決心だった


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