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V 舗装された道
出発の朝にする事
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出発の朝。
『竜の翼』は二手に分かれて行動していた。
荷物の護衛として既に出かけている、シュルト、カナン、グスタフ。
ヴァルトも一緒にいるだろうと思われる。
だろうと言うのは、確認していないからだ。朝ゆっくり起きて
まだ会っていないから。
待機組は、別依頼をこなした関係で休み時間を設けてくれたらしい。
自分の体力面を考慮されていると思われる。有難い。
少し怠さの残る身体で、思い返す。
ビックバードの襲来と
魔物を引き寄せた魔道具の発見。
事故処理がどうなったかは、旅の間に聞くとして、あの魔道具が気になっていた。
ヴァルトが見つけ出してくれ無かったら…恐ろしいことになっていただろう。
死者なしで終わったのが最良の結果だったと思う。
1体仕留めたと報告していたが、
仕留められたのは、装備の力だ。自分の揃えられる装備では出せない魔法だった。
そのことに落ち込んでいる。どれくらい
力を得れば、追いつくのか?焦燥感を感じる。
王都に行くとなると、貴族との面会もあるだろう。
あの家と関わらないでいられるだろうか?
“セリュートはいないのだから。”
そんな言葉では済まない厄介ごとになりそうな予感がする。
まあ、見つからなければ良いのだけど。
そんな徒然を思い出しているのは、近況の変化があったからだ。
後ろの男から、プロポーズなるものを受けた。
この膝の上に慣れている自分が少し怖い。
セリとして受けても良いかもしれないと思い始めている。
…というか、この男から逃げられるのか?という問いには、
NOだろう。
“獲物を逃す気がない”という宣言にも聞こえた。この場合、自分が獲物だ。
逃げられないのなら、受け入れて仕舞えば良いと思えた。
ただ、“厄介ごと”でどうなるかわからないけど…。
拒絶したいとも思えないのは、絆されているというヤツだろうか?
『なんでこんな奴が!ってのにハマっちゃうことって、あるのよねぇ。』
と冒険者のお姉さんが言っていた。
その後、その人と“くっついた”と聞いたが、今は元気だろうか。
既知の、冒険者ギルドで喧嘩ップル、『剣カップル』の名で剣を得物としていた
2人でよく話題にされていた仲だった。
共同で依頼を受けていたのを何回か見ているし、
周りが「「付き合っちゃえよ」」と言っているのもよく見た。
よく知った仲でも、あんなにくっつくのにかかったのに。
自分はというと…。
ただ、ロードという名前とハーフ竜人だと自己紹介された以外
身の上話、会話をしていない。
そう、よく知らない相手なのだ。
プロポーズを受けていても。
お姉さん達は、『プロポーズは一回してきたくらい、断ってしまえ!』
と豪語していた。一回断ったくらいで引き下がる男は願い下げ、とも。
それで言えば、断りを入れるのが正しい?
それは、悪手だと思う。
このガッチリと腰に回った両手が、断った程度で離れると思えない。
もっと悪い方に転がる
最初にあったときでさえ、ああだったのに。
逃げても捕まる。そして部屋から出れない。
そんなことになるより、建設的な方を選ぼう。
ここからは、舗装された
馬車の旅だ。
警戒態勢を敷くより、計画的に進む。その分会話ができる機会が増えるだろう。
王都への道のりも後少し。
それまでに、向き合えれば良いのだが。
まあ、いまは膝の上で真後ろに居座られているんだけどね!
そう思う自分も、本を広げ全然頭に入っていかない内容を眺めていた。
何か会話の糸口は?と考えているところで、
耳元に感じる湿り気のある吐息。
その後でペロリと舐められた感触に、
「ひっ!」と声を出して、
いつものように本を読んでじっとしていたキースが顔を上げたのがわかった。
ただ、自分の目は後ろの人物に向けられ、
『なんで舐めたの??』と訴えていた。
答えは、嬉しそうな顔をした男だけが持っているのだった。
『竜の翼』は二手に分かれて行動していた。
荷物の護衛として既に出かけている、シュルト、カナン、グスタフ。
ヴァルトも一緒にいるだろうと思われる。
だろうと言うのは、確認していないからだ。朝ゆっくり起きて
まだ会っていないから。
待機組は、別依頼をこなした関係で休み時間を設けてくれたらしい。
自分の体力面を考慮されていると思われる。有難い。
少し怠さの残る身体で、思い返す。
ビックバードの襲来と
魔物を引き寄せた魔道具の発見。
事故処理がどうなったかは、旅の間に聞くとして、あの魔道具が気になっていた。
ヴァルトが見つけ出してくれ無かったら…恐ろしいことになっていただろう。
死者なしで終わったのが最良の結果だったと思う。
1体仕留めたと報告していたが、
仕留められたのは、装備の力だ。自分の揃えられる装備では出せない魔法だった。
そのことに落ち込んでいる。どれくらい
力を得れば、追いつくのか?焦燥感を感じる。
王都に行くとなると、貴族との面会もあるだろう。
あの家と関わらないでいられるだろうか?
“セリュートはいないのだから。”
そんな言葉では済まない厄介ごとになりそうな予感がする。
まあ、見つからなければ良いのだけど。
そんな徒然を思い出しているのは、近況の変化があったからだ。
後ろの男から、プロポーズなるものを受けた。
この膝の上に慣れている自分が少し怖い。
セリとして受けても良いかもしれないと思い始めている。
…というか、この男から逃げられるのか?という問いには、
NOだろう。
“獲物を逃す気がない”という宣言にも聞こえた。この場合、自分が獲物だ。
逃げられないのなら、受け入れて仕舞えば良いと思えた。
ただ、“厄介ごと”でどうなるかわからないけど…。
拒絶したいとも思えないのは、絆されているというヤツだろうか?
『なんでこんな奴が!ってのにハマっちゃうことって、あるのよねぇ。』
と冒険者のお姉さんが言っていた。
その後、その人と“くっついた”と聞いたが、今は元気だろうか。
既知の、冒険者ギルドで喧嘩ップル、『剣カップル』の名で剣を得物としていた
2人でよく話題にされていた仲だった。
共同で依頼を受けていたのを何回か見ているし、
周りが「「付き合っちゃえよ」」と言っているのもよく見た。
よく知った仲でも、あんなにくっつくのにかかったのに。
自分はというと…。
ただ、ロードという名前とハーフ竜人だと自己紹介された以外
身の上話、会話をしていない。
そう、よく知らない相手なのだ。
プロポーズを受けていても。
お姉さん達は、『プロポーズは一回してきたくらい、断ってしまえ!』
と豪語していた。一回断ったくらいで引き下がる男は願い下げ、とも。
それで言えば、断りを入れるのが正しい?
それは、悪手だと思う。
このガッチリと腰に回った両手が、断った程度で離れると思えない。
もっと悪い方に転がる
最初にあったときでさえ、ああだったのに。
逃げても捕まる。そして部屋から出れない。
そんなことになるより、建設的な方を選ぼう。
ここからは、舗装された
馬車の旅だ。
警戒態勢を敷くより、計画的に進む。その分会話ができる機会が増えるだろう。
王都への道のりも後少し。
それまでに、向き合えれば良いのだが。
まあ、いまは膝の上で真後ろに居座られているんだけどね!
そう思う自分も、本を広げ全然頭に入っていかない内容を眺めていた。
何か会話の糸口は?と考えているところで、
耳元に感じる湿り気のある吐息。
その後でペロリと舐められた感触に、
「ひっ!」と声を出して、
いつものように本を読んでじっとしていたキースが顔を上げたのがわかった。
ただ、自分の目は後ろの人物に向けられ、
『なんで舐めたの??』と訴えていた。
答えは、嬉しそうな顔をした男だけが持っているのだった。
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