【完結済み】番(つがい)と言われましたが、冒険者として精進してます。

BBやっこ

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IV 新たな道行き

⑴ お仕度

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『竜の翼』のメンバー全員が、夕食に招待されている。
少し格式ばった服装をすることになる。

用意と言えば、着替えるくらいだ。皆それぞれまだゆっくりしている。
そこに、
ロードから、「風呂に入ろう!」と連れだされた。と言っても宿の連絡通路から行ける場所だった。

2人連れ立って、ある建物の屋上階に来た。
扉を開けて行くと…変わった風呂にたどり着く。

ちょっとした湖のような大きさの浴槽は、泳げそうで…
色が濃い紅茶色!
香ばしいようなニオイのお湯だった。

薬効成分のあるお湯を他国から、運び入れているらしい。
プライベートな場所で予約して使える場所だそうだ。
南の方の植物が植わり、南国気分を味わえる。

湖で泳いだ思い出しながら
温かなお湯に浸る。

ぬるめのお湯で長く浸かっていられるだろう。
うずうず抑えられなくなった
泳ぐことにした。

童心に返ったみたいと思ったが
そう言えばまだ“子供じゃない!”と笑われると思った。
秘密にしておこう。

「内緒ね?」とロードに言っておき、たっぷり泳いだ。
楽しかった。

身体を洗う、石鹸も変わったもので
薬草を混ぜている。じっと見て考えていたら

「買っとく」と言ったロードに取り上げられた。
そのまま、身体を洗われる。
なんとなく、(お買い上げアリガトウゴザイマス)と心の中で言っておいた。
後で知ったが、かなり高価な石鹸で箱買いしたそうだ。


趣向の変わった風呂に、気分も上がったが
待ち受けていたのは…

「ドレス?」
ワンピースと言っても良いほどのシンプルなもので、
肌の露出もそれほどない。

綺麗な翠色。高級な布を使っていると思われたそれは、
触り心地も柔らかく、光沢が美しい。

セリのサイズにぴたりと入る、ドレスだった。
混乱してロードを見る。

嬉しそうに微笑んで、セリの頬に接吻し、
「楽しみにしてる」と言って部屋を出た。

ドレスを眺めていると、
「ようこそおいで下さいました!」と控えていたらしい女性たちに言われ、
何が始まるのか察したセリだった。


予想通り、
念入りなマッサージ、肌の手入れに、髪を結われメイクを施される。

気合いが入った女性たちは、激しい白熱の議論の上
セリをお嬢様に仕上げてくれた。

ロードが大満足である。


王子様みたい!な言葉を聞き

笑顔でお礼を言おうと思ったが、失敗していると思う。
このやりとり、貴族っぽいと変な感想を持ちながら心は騒めく。


似合うのか?
やってもらったから大丈夫。

落ち着かない、心許ない気持ちになった。

変な緊張の下
エスコートされて、食事の席に向かったのだった。
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