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IV 新たな道行き
襲撃 -2
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襲撃が終わらない!?
ビックバード達は遠巻きになったものの、翼の音と
不穏な風が巻き起こる。
リーダーを討伐した群れを、どう退ければいいのか?
船上は、騒然とする。
このまま船を進めて逃げ切れるか?
後方からの攻撃に耐えられるのか?
指揮する者が判断できなかった。
不安が広がりどんどん混沌となる
セリは、雷属性の銛を手にする。先端の守りに必要な武器だと判断し、魔力を込める。
ヴァルトが飛び立った。
銛を乗員に戻し、追いかける。
ヴァルトが船内を飛ぶ。
乗客の避難している船内は人でごった返しになっていた。
人の波を上から避けるが、戸惑いや悲鳴の声が上がる。
狙いをつけられたのは、商人風の男。
その懐に抱えた鞄。
驚きと慌てた声を上げ、ヴァルトを振り払おうとする。
ゴロリ
床に、丸い魔道具らしきものが転がり落ちた。
セリは慎重に近づく。
魔道具はまだ、何らかの機能を果たしている。
この大きさはB、いやA級の魔石だ。
見知らぬ魔道具を壊すのも、止めるのも危険だと判断する。
入っている魔力量や、機能がわからない。
魔力を抑え込むことにした。
セリは、水の魔力を操り
魔道具を『ウォーターボール』で包んだ。
魔石が、纏わせた水の魔力を震わせている。
これを抑えるべきだ
二重、三重に水のベールを纏わせてみる。
魔力に干渉しないよう、慎重に操った。
振動が収まる。何らかの力を遮断できただろうか?
外の甲板から人々の歓声が上がった。
魔物が退いたのだろう。
ヴァルトが、男の開いた鞄をセリの足元へ持ち帰る。
腕に止めたヴァルトを見れば、
嫌がっているようにフルフルと首を振る。
“コレは嫌な物体だ”と言っているようだった。
荷物から発している強い臭いが、セリでもわかった。
商人風の男は既に、近くに居た乗客に捕まった。この後、コレのことを聴取されるだろう。
ヴァルトに、『エアウォッシュ』してやり、
カバンが発する臭いに、足で蓋を閉じた。
手にはまだ、この“怪しい魔道具”を持っている。
セリは、ヴァルトを遣いに飛ばした。
ロードとキースが来るのを待った。
手に持つ魔道具を慎重に扱う方が良い。
両手で持ち、魔力の巡りに集中した。
外から乗組員が知らせた話によると、残りのビックバードは巣に帰ったらしい。
「安心してください!脅威は去りました。」
乗客にも安堵の空気が流れる。
「お怪我をされた方は…」治療に移るらしい。
“怪しい魔道具”を持って少し移動しようとすれば、
乗客に囲まれた。
「あんた!冒険者だろう?
護衛をしてくれないか!この船にいる間だけでいい!」
「何を言う。こっちが先だ!即金で払えるぞ」
「いいえ!私の警護をして…」
近い!
いつもなら即、断って逃げるが、今は魔力を使って集中していた。
詰め寄られ、逃げ場がない。
ヒヤッ
温度が下がる。
「通せ」
ロードが来てくれた。
乗客は左右に避けた。良い危機意識だと思う。
セリの手中にあった魔道具を凍らせる。
完全に、止まったらしいソレを掴み取り、
逆の手で、ロードはセリの頭を撫でる。
「良くやった!」
その言葉に顔を赤くしたセリだった。
キースと合流するため船の後方に移動する。
乗組員や護衛に礼を言われながら、たどり着いた。
貴族らしき乗客とキース。
「回復魔法をかけてくれ!金なら払う。」
キースは、それを無視している。
回復魔法は、重症の乗組員にかけた。
「後は魔力を温存する」と他の誰にも使わなかった。
それを聴かずに詰め寄る乗客を相手にしない。
後は、乗組員がどうにかするだろうと連れて行かれるのを待った。
3人で集まる。
「ふーん。これ?」
キースが、凍った球体を手に持つ。
止まっている魔道具をクルクル回して観察する。
「音だね?」
鳥の魔物を警戒させ、攻撃対象になった原因。
故意に起こされた襲撃だとわかった。
ビックバード達は遠巻きになったものの、翼の音と
不穏な風が巻き起こる。
リーダーを討伐した群れを、どう退ければいいのか?
船上は、騒然とする。
このまま船を進めて逃げ切れるか?
後方からの攻撃に耐えられるのか?
指揮する者が判断できなかった。
不安が広がりどんどん混沌となる
セリは、雷属性の銛を手にする。先端の守りに必要な武器だと判断し、魔力を込める。
ヴァルトが飛び立った。
銛を乗員に戻し、追いかける。
ヴァルトが船内を飛ぶ。
乗客の避難している船内は人でごった返しになっていた。
人の波を上から避けるが、戸惑いや悲鳴の声が上がる。
狙いをつけられたのは、商人風の男。
その懐に抱えた鞄。
驚きと慌てた声を上げ、ヴァルトを振り払おうとする。
ゴロリ
床に、丸い魔道具らしきものが転がり落ちた。
セリは慎重に近づく。
魔道具はまだ、何らかの機能を果たしている。
この大きさはB、いやA級の魔石だ。
見知らぬ魔道具を壊すのも、止めるのも危険だと判断する。
入っている魔力量や、機能がわからない。
魔力を抑え込むことにした。
セリは、水の魔力を操り
魔道具を『ウォーターボール』で包んだ。
魔石が、纏わせた水の魔力を震わせている。
これを抑えるべきだ
二重、三重に水のベールを纏わせてみる。
魔力に干渉しないよう、慎重に操った。
振動が収まる。何らかの力を遮断できただろうか?
外の甲板から人々の歓声が上がった。
魔物が退いたのだろう。
ヴァルトが、男の開いた鞄をセリの足元へ持ち帰る。
腕に止めたヴァルトを見れば、
嫌がっているようにフルフルと首を振る。
“コレは嫌な物体だ”と言っているようだった。
荷物から発している強い臭いが、セリでもわかった。
商人風の男は既に、近くに居た乗客に捕まった。この後、コレのことを聴取されるだろう。
ヴァルトに、『エアウォッシュ』してやり、
カバンが発する臭いに、足で蓋を閉じた。
手にはまだ、この“怪しい魔道具”を持っている。
セリは、ヴァルトを遣いに飛ばした。
ロードとキースが来るのを待った。
手に持つ魔道具を慎重に扱う方が良い。
両手で持ち、魔力の巡りに集中した。
外から乗組員が知らせた話によると、残りのビックバードは巣に帰ったらしい。
「安心してください!脅威は去りました。」
乗客にも安堵の空気が流れる。
「お怪我をされた方は…」治療に移るらしい。
“怪しい魔道具”を持って少し移動しようとすれば、
乗客に囲まれた。
「あんた!冒険者だろう?
護衛をしてくれないか!この船にいる間だけでいい!」
「何を言う。こっちが先だ!即金で払えるぞ」
「いいえ!私の警護をして…」
近い!
いつもなら即、断って逃げるが、今は魔力を使って集中していた。
詰め寄られ、逃げ場がない。
ヒヤッ
温度が下がる。
「通せ」
ロードが来てくれた。
乗客は左右に避けた。良い危機意識だと思う。
セリの手中にあった魔道具を凍らせる。
完全に、止まったらしいソレを掴み取り、
逆の手で、ロードはセリの頭を撫でる。
「良くやった!」
その言葉に顔を赤くしたセリだった。
キースと合流するため船の後方に移動する。
乗組員や護衛に礼を言われながら、たどり着いた。
貴族らしき乗客とキース。
「回復魔法をかけてくれ!金なら払う。」
キースは、それを無視している。
回復魔法は、重症の乗組員にかけた。
「後は魔力を温存する」と他の誰にも使わなかった。
それを聴かずに詰め寄る乗客を相手にしない。
後は、乗組員がどうにかするだろうと連れて行かれるのを待った。
3人で集まる。
「ふーん。これ?」
キースが、凍った球体を手に持つ。
止まっている魔道具をクルクル回して観察する。
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鳥の魔物を警戒させ、攻撃対象になった原因。
故意に起こされた襲撃だとわかった。
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