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IV 新たな道行き
① 暗闇の朝
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ゴトゴトと音がする。
荷物も運搬用を、急遽船着場に寄ってもらう都合で
急ぎ足。
後ろに腰をかけている。
2つの影。
キースとロードが座れば、もう1人とはいかないスペースしかない。
奥は荷物で埋まり、人が入れない。
ロードの膝の上にいるセリだった。
ヴァルトは、馬車の上に止まり
悠々とまだ暗い道を眺めている。
その瞳には何か見えているのだろう。
音を立てて馬車がいく。
ガコガコと響く衝撃と揺れ。
商業ギルドマスターの使っていた馬車が
良い物だとわかった。
それもまあ、ロードの膝の上なので耐えられる。
横で、たまにキースが浮いているけど。
まだ暗い。冷やりと冷気が頬を通り過ぎるので、
身を縮めれば、
周っていた腕が摩ってくれた。
背中の温かさに身体を寄せる。
白い吐息
船が影の形で見えてきたにのに気づいたのは、
馬車の上のフォレストオウルだった。
「ホォー」とオカリナのような音で知らせたようだった。
出迎えたのは、年嵩のある船員で
日焼けした筋肉の小柄な男。
「聞いている。乗ってくれ」端的に
甲板に案内された。
「出航準備中だ。後で船長が来る」
さっさと持ち場に戻ったらしい。
甲板に座り、日の出を待つ。
ヴァルトは手すりに川面を眺めている。
何か見えるんだろうか。
待機時間のようなので、朝ごはんにする。
冷えた身体に、水上の風が吹き込むため
温かいスープを出し、パンをつける。
調理したての温かいものがすぐ食べられて、温かさが身に染みた。
野宿用の厚い毛布を出し、纏った。
ロードが付きで、巻き付き二重になる。
狭いが温い。
キースにもくっ付き、かたまった状態でじっとする。
暗く底が見えない水面。川の向こうの木々は、闇を内包しているようで
気が抜けない。
ピンと張り詰めた感覚
神経質になっているのを溶かすように細く息を吐いた。
視線を転ずれば、キースはこくりこくりと眠そうだ。
少し目を瞑ろうかと考えながら、
うとうとし出せば、大きな手が身体へともたれ掛からせた。
少し眠る。
穏やかな二度寝をして待つ
目覚めは、
顔にあたる陽射し
目を開ければ、
薄く明るくなっている木々の合間
日が登っている。
まだ薄暗いが、辺りを明るくするのもすぐだろう。
紅茶を淹れれば
香りでキースが起き出した。
「ん。良い香り。」
満足いただけるようで、自分の分にはミルクを入れる。
キースにも上げた。
カリカリ木の実を食べ始めれば、ヴァルトが飛んでくる。
手に乗っけたもの食べてくれた。
懐で温める。
顔にもふもふあたって良い。
ロードはヴァルトごとセリを抱えて、
陽射しが満たされ、甲板が暖かくなるのを感じるのだった。
荷物も運搬用を、急遽船着場に寄ってもらう都合で
急ぎ足。
後ろに腰をかけている。
2つの影。
キースとロードが座れば、もう1人とはいかないスペースしかない。
奥は荷物で埋まり、人が入れない。
ロードの膝の上にいるセリだった。
ヴァルトは、馬車の上に止まり
悠々とまだ暗い道を眺めている。
その瞳には何か見えているのだろう。
音を立てて馬車がいく。
ガコガコと響く衝撃と揺れ。
商業ギルドマスターの使っていた馬車が
良い物だとわかった。
それもまあ、ロードの膝の上なので耐えられる。
横で、たまにキースが浮いているけど。
まだ暗い。冷やりと冷気が頬を通り過ぎるので、
身を縮めれば、
周っていた腕が摩ってくれた。
背中の温かさに身体を寄せる。
白い吐息
船が影の形で見えてきたにのに気づいたのは、
馬車の上のフォレストオウルだった。
「ホォー」とオカリナのような音で知らせたようだった。
出迎えたのは、年嵩のある船員で
日焼けした筋肉の小柄な男。
「聞いている。乗ってくれ」端的に
甲板に案内された。
「出航準備中だ。後で船長が来る」
さっさと持ち場に戻ったらしい。
甲板に座り、日の出を待つ。
ヴァルトは手すりに川面を眺めている。
何か見えるんだろうか。
待機時間のようなので、朝ごはんにする。
冷えた身体に、水上の風が吹き込むため
温かいスープを出し、パンをつける。
調理したての温かいものがすぐ食べられて、温かさが身に染みた。
野宿用の厚い毛布を出し、纏った。
ロードが付きで、巻き付き二重になる。
狭いが温い。
キースにもくっ付き、かたまった状態でじっとする。
暗く底が見えない水面。川の向こうの木々は、闇を内包しているようで
気が抜けない。
ピンと張り詰めた感覚
神経質になっているのを溶かすように細く息を吐いた。
視線を転ずれば、キースはこくりこくりと眠そうだ。
少し目を瞑ろうかと考えながら、
うとうとし出せば、大きな手が身体へともたれ掛からせた。
少し眠る。
穏やかな二度寝をして待つ
目覚めは、
顔にあたる陽射し
目を開ければ、
薄く明るくなっている木々の合間
日が登っている。
まだ薄暗いが、辺りを明るくするのもすぐだろう。
紅茶を淹れれば
香りでキースが起き出した。
「ん。良い香り。」
満足いただけるようで、自分の分にはミルクを入れる。
キースにも上げた。
カリカリ木の実を食べ始めれば、ヴァルトが飛んでくる。
手に乗っけたもの食べてくれた。
懐で温める。
顔にもふもふあたって良い。
ロードはヴァルトごとセリを抱えて、
陽射しが満たされ、甲板が暖かくなるのを感じるのだった。
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