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III 貿易都市

追加依頼

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料理作りをした日の夕方。

ギムナスから依頼が発生した。
以前に言っていた
船が予定通り来れない可能性が高くなったと、知らせが来たそうだ。

既に最初の商隊は出ており、予定を遅らせたくはないという理由で、
船の護衛任務が追加された。

内容は、乗船する船を守る事と魔力炉の充填。

行きは港街まで川を下れるが、
帰りは川を上る。その動力に使う魔力とテイムした川の魔物を使うらしい。

そんな説明を聞いたところで、
依頼を受ける。

今回、行くのは3人。

ロード、キースとセリ。

魔力の充填ができるメンバーで構成された。


行きも帰りも船。
3日ほどで貿易都市に戻れる。

その後1日休んでから王都へ、向かう。


舗装された道が王都まで伸びて、村町に宿を取りながら
魔物の対策のされた道は、人の往来も多くなる。


“王都に到着”
それは、セリにとって今後を決断しなければならない時。

冒険者として旅の空に出ることになるだろう。
いや、名前も姿も変えれば、違う道が出来るのだろうか?

そんな逡巡を早々に打ち切り、

夕食も早々に、明日の用意に移った。
出港は、日が登った直ぐに出られるよう、暗いうちに乗船する。

港街から来た船は、貿易街に快速で荷物を届ける。
帰りは、川の流れに任せて戻り、人や頼まれた荷物を運ぶ。

今回乗るのは、運搬用の船。
その他に観光用や商人が利用する観光船があるが、時間帯で分けているそうだ。

西門の荷馬車の後ろに乗せてもらい、船乗り場へ。
日の出と共に出航、夕暮れには着く川の流れ任せな船の移動だ。

ルートに関しては覚える事はないな。
そんな感想を持ち、
装備の点検と、チョコレートは残るメンバーに受け取ってもらうようお願いして

えーと、

「食事も持って行きなサイ」
今日作った分から、3日分の食べ物をシュルトから受け取る。



快適な宿は、しばらくお預けだ。
早々に眠りについた。



翌朝。
カナンとグスタフ、シュルトが見送りに来てくれた。

残る3人は、護衛をしたり武器の点検や買い物をして、王都への準備をして待っている。
バサっと音も立てずに、
グスタフに乗っていたヴァルトが飛んで来た。

セリが咄嗟に出した両手に乗る。
「ヴァルト?」
撫でて欲しいのかと思ったけど、立ち去る様子がない。

グスタフが撫でるも、動く気配がない。
「…連れてってくれ」

ヴァルトの食事を渡され、腕当てを借りる。
二の腕につけヴァルトを乗せると、軽量化が付与されたものらしく、

ヴァルトの止まり木代わりができそうだ。

羽毛のモフに口角がゆるむも、
ロードがセリの頭を撫でて先を促す。


久しぶりに装備を身につける冒険者の姿。
フードを被り、


まだ暗い朝の出発だった。
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