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III 貿易都市
変装
しおりを挟むその夜のことだった。
キースが、
「そろそろ、チョコレートを頼みに行こう。」
と言い出す。
しかし、
今現在、狙われてている身だ。
どちらのギルドからも音沙汰はないが。
出かけるのは最低限に、と言えるのだが、
暇である。
「早めに頼めば、大量に買っても大丈夫!」
懐に問題ないと言うが、毎回、支払わせるのはシュルトにだ。
出す財布はボクのだ!と言うキースのやる事はよくわからないけど。
チョコレートは欲しい。
最初に買ったものも、とても美味しかった。
木苺のソースの入ったチョコレートが
甘酸っぱくて美味しい。
是非食べたい。
できれば、他のケーキも。
「大量に頼めば、出来上がってから宿に運んでくれないかなあ?」
キースは、どれだけ買う気だろう。馬車一個分??
もしかして、チョコレートのために付与の依頼を受けたのだろうか。
人に頼むより、もう一度行って食べたい!との要望。
解決案は、
「変装すれば、バレないかな?」とセリが提案した。
貴族街のお店には、お洒落な服装の人たちばかりだ。
冒険者の格好ではなく街着なら目立ちにくいのでは?
しかし、
目立つ髪色と細身な目を惹くスタイルの良いキース
似合うだろうけど、同一人物とすぐに、わかるだろう。
「ボクの高貴さは、隠せないね?」それではチョコレートを食べにいけない。
「意外な格好をすれば、バレない?」
セリは、お店にたくさんいた令嬢たちを思い浮かべた。
提案してみる。
「ボクが女装!??」
正直、似合いそうだ。
背が高く、ボリュームはないが、細くてしなやかな体。
飾り甲斐のある見た目だ。
「良いわネ~、ウィッグもあるしドレスもあるわよ?」
なぜ、ドレスがあるのだろうと考えてていれば、横から
「セリのドレスなのに…」ロードの声。
いつの間に??
着る予定は、なさそうだ。
「女の格好なんてしない!」
まあ、ドレスでフリフリは、勘弁だろうけど。
ドレスを見せてもらえば、スッキリしたデザインが多くて好ましい。
スカートが嫌なら、パンツ姿も工夫すれば。
髪を変えるだけで、印象が変わる。
「しない事をやった方がバレないと思う。」と勧めると同時に
ドレスをすすめはじめたシュルトが、ノリノリだ。
服飾関係に強い。
素敵に仕上がるだろうけど、フリフリドレスは除外した。
宝飾品などの飾りもたくさん出された。
ロードが、セリに宝飾品を当てて楽しんでいる。
着飾るのが好きらしい。
「セリちゃん限定だけどな!」とはカナンの補足だった。
貴族のお嬢様が出かけるなら、
護衛とお付きの者がいる。
そう考えて、セリは服装や髪型を決めていった。
そして、
キースの気に入るコーディネートを決めていくのだった。
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