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III 貿易都市

風呂で一杯 ①

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「ただ入りたかっただけだろ(でしょ)?」
と言いたいのを飲み込んだカナンとシュルト。

揚々とご機嫌なロードに呆れ、
セリの様子を見る。

嫌がっている訳じゃなさそうだ。
年頃の娘が参加した、裸の付き合い。

このメンバーでは、セリの身体に興味はないと言える理由があった。


年齢の近いキースは散々の
女の色仕掛け、迫られる経験が多く「裸ぐらい何?」という感覚になっている。

年頃の反応というやつから、尽く外れる。

歳が離れている3人はそれぞれ、子供と認定しているグスタフとカナン
弟妹の世話で、妹認定のシュルトなので…

まあ、女であり異性という意識が希薄だった。

ロード以外。

しかし、自分の番であるのだ、肌を見せたくない!俺のモノ
と他の男をツンケンするでもなく、セリと風呂に入ることを優先した。

欲を言えば、際限ないが”皆で風呂“の形で手を打った。
セリの反応が今ひとつであれば諦めていた。

少々、セリの無防備さに不安があるが
俺が側にいれば問題ない
と結論づける。


これが種族間の溝か?と思わなくもないが
じょじょに詰めていけばいい。

逃がしは、しないのだから。
追跡ではなく、近づく

自分の欲と闘いながら。

ーーー
風呂だ。

南の文化を参考にしたココは、
広い浴槽と石畳の床でシンプルにできていた。

洗い場が複数個あるのは
団体の客を迎えるためだろう。
大きな浴槽から湯気が立ち込めていた。

湯気が立つ浴室内は、暖かい色の魔石の灯りが、照らされている。

南国のものと思われる植物がアクセントに、植えてある
大きな深い緑の葉っぱは、団扇にできそうな形だ。

温かいところで育つ植物なのだろう


「ほぉ広いな。」声が響いた。
タオルを1枚巻いて入った浴室にロードが踏みこんだ。

パパッと脱いだセリを引き連れ、
胸元までタオルをあげた姿は、スラリとした足が見える。

…イイ。

洗い場で身体を洗ってから入る事にした。
バッ
広げた布で浴槽から、セリの姿を隠す。

同じパーティメンバーだろうと、セリの素肌を見せてやるもんか!

驚いてるセリに
「ゆっくりでいいからな」と笑えば、髪と身体を洗い始めた。
カワイイ。

洗い場で、ロードがセリを布で隠すのが見える。
そんなにこっちに見せたくないのか。
甲斐甲斐しいこって(笑)

そんな2人を横目に
既に、お湯を被ってから、湯に浸かっている状態のカナン。

「ふぅ」
熱いお湯に、ついつい気持ちの良いため息が出る。
いい湯だわぁ。

広い浴槽ってももいいな。貸し切りってのもな!

「じゃっ、呑むぞ~!」

魔法鞄から酒とツマミを次々、出す。
遠慮なく呑めるのが、宿の醍醐味だよな!

まだまだ風呂を楽しむ、序の口なのだった。
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