【完結済み】番(つがい)と言われましたが、冒険者として精進してます。

BBやっこ

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III 貿易都市

宿のひと時

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ギルドに入れば、
先に着いていたグスタフとカナンが迎えてくれる。

「呼ばれてる」
肩を竦めるカナンの様子だと緊急ではないが、面白くない話。
部屋に入れば、
ここのギルドマスターらしい男が待っていた。

歴戦の戦士
というより
書類に強いタイプに見えた。

汗をかきながら言う事をまとめると…

商売ギルドと事を荒げたくない
依頼を受けて欲しい

とまあ。中継ぎの店主みたいだ。

机の上に広げられた依頼書を見ると、魔法を使う依頼が目につく。

「依頼中だ。その気はない。」スッパリ断るロードに、とりつく間はない。

「問合せを受けています
待機時間が勿体無いので依頼を受けては?」

親切を装っているものの押し付けがましい。
そもそも、依頼を受けている最中だと言っている。他の依頼を受けるのは自由。
受けろという圧力には、そんな筋合いはない。で済む

このギルマスの言いように、釘を刺して置くことにしたらしい。
まとめれば、

守秘義務のこと『情報を漏らすなよ?』
『冒険者を守れ』

そして、

“邪魔をするな”


高圧的だが
しっかり宣言しておかなければ、うるさいだろう。
こういう時、“歴戦の”って雰囲気が出ると効果がてきめんだなあ。

自分にはできないので、羨ましい限りだった。
…風格が欲しい。いつ身につくだろうか?

この場で関係ない事を考えていた。

張り出された依頼にも特に気になるものもなく。
さっさと帰路についたのだった。


宿で休んでいれば、夕食の時間になった。

今の依頼主、ギムナスと会食の形であったが、
個室になっているので、多少リラックスできる。

今日は、人の目が面倒な日だった。
しばらくは宿に籠もっていたいなあと希望したい。

そもそも、
水魔法を気軽に使ったのは不味かっただろうか?
面倒ごとの発端である。話題にすれば、
  
「キースが始めた事だし。」

シュルトのフォローが入り、カナンが
「炎よりいいよ。氷も面倒だしな」視線をキースからロードへ向けた。

「凍らせるだけならいいいだろ?後始末も他がやってた」
「あれな!氷で酒呑み始めた、ヤツらばっかりだったよな!」

その情景に、くすっと笑えた。
和やかな夕食が進んでいった。

食事も済み、軽い打ち合わせのような会話もあったが
恙無く終わった。

最後には、


「お風呂?」

部屋には浴室がついている。1人で使うには十分な広さがあり浴槽まである。

それとは別に、
広いお風呂があるらしい。

こちらは団体向けで、30人くらいの商隊が予約するような大きな浴槽が
空いているらしく、

『竜の翼』にどうだ?
とは、ギムナスの心遣いだった。

本人は、部屋付きの風呂で十分という主義だったからというのもある。

それを受け取り、部屋へ戻る。

早めに湯を浴びてしまおう。と考えていたセリは
部屋に1人残されるだろうと思っていた。
一応は女だし、邪魔になるだろうと考えるのが普通だろうと思っていた。


「一緒に入ろう」

両肩に手を置いて、真正面から言う男の存在がなければ。

その男、ロードの心中では、
セリを1人にするのは心許ない。

“裸の付き合い”を
押し通すことにした


高確率で、セリは流されてくれる!
肌を晒すことに疎いことがあった。

できれば2人っきりで
入りたいが

今の段階では、“仲間内で入る”と言ったほうが
承諾を得やすいと見た。

2人きりと言って断られれば、
しばらく一緒に、広い風呂は達成できないだろう。


この機を逃さん

気合十分だった。
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