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III 貿易都市

広場で昼休憩

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「よぉ、邪魔すんよ?」

ポンっと相手の肩に手を置く。
今気がついたとばかりに、振り向いた男たちは戦闘態勢になる。

遅過ぎだ。

見張りも追跡もなってない。
地面に転がされ、ひとりだけなんとか話せるようにした。
「どこの人?」軽い調子で尋ねた。

選択肢は商人、ここの商業ギルド、その他。

その他の種類にもよるけどな~、そこではないな。
弱すぎる。

「ギ…ギルド」「どっち?」
ぐふっと空気を吐きながら「商業ギル…ド」

「あっそ」とホントか知らないが喋った調子と感じから演技では、なさそう。

動悸や狼狽を演じているなら大した役者だが、ないな。

足音が複数する。
「何事だ!」衛兵が来たらしい。

「お仕事ごくろ~様。怪しい奴を捕まえといた!」
「貴公は?」

「冒険者だ。今、護衛依頼中なんだけどな」
カナンが愛想良く話始めた。

「もう1組も、持ってってくれない?」
グスタフの方を指し示した。あっちも終わっているだろう。

ーーー

広場の屋台で腹ごなし

昼食には早いが、そこそこお腹は空いている。

「あれとあれ、あれも。」
財布はシュルト!と言わんばかりに頼んだものを引き取るキース。

こっちは、果実ジュースと肉串、包み蒸しを購入。ロードが。
先に座って、キースの買っていく姿をみる。

アイテムボックスに入れれば手は空くが、串ものは手でもっている。
あ、食べてる。

シュルトが何か言ってる
『あっちで食べなさいヨ』かな。口の動きで判断してみた。

ちょと気分が解放されている。
さっきから変な視線を感じないせいだろうか。

「ほら、あーん」何回か目の同じ調子に
渋々、口を開ける。カリカリと歯応えの良い木の実だ。塩味がきいている。

さっき、試しに木の実をもらった店で
ロードの口に木の実を入れてから、

こんな調子で餌付けされている。

たまにヴァルトが自分にも寄越せと主張して
木の実を獲得していた。

キースとシュルトも座り、
買ってきたものを分けてもらったりと
のんびり過ごしていると…


「ひと仕事してきたから腹減った~。」
カナンとグスタフが合流した。

ロードとやりとりしていたヴァルトが、グスタフの肩に戻る。

「応。どうだった?」とヴァルトを睨む視線のままカナンに問うロード。

「雑魚。ここの商業ギルドとは言ってた」
フーンで終わった。

なんの話だ?

「アーラ。ギムナスにお願いしなきゃネ?」と言うシュルトに、
興味ないとばかりに食べるキース。

ロードに説明を願うと
「付け回してきた奴らを片しただけだ」と言うことは。

視線が消えた理由だったか。


キースの買ったものも取りつつ、聞くカナン。
「次は貴族街の方だよな?」

「そ。ここら辺もうちょっと見てから。
ケーキ食べたい。」

目的地にはチョコレートを売っている店!
是非行きたい。


「その後、冒険者ギルドへ行くには、混むカシラ?」
帰ってくる冒険者が多い時間帯だが、ここのギルドはどうだろう。

「まー。ことがことだし、部屋へ通されるんじゃないか?」

監視してきた奴を捕まえたのは、
問題行動ではないと証言しに行く必要があるということ?

「じゃ、俺らも貴族街で酒探すわ。」

 予定通りに行くらしい。
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