【完結済み】番(つがい)と言われましたが、冒険者として精進してます。

BBやっこ

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III 貿易都市

貿易都市の冒険者

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馴染みの雰囲気の冒険者ギルド
酒場がおとなしい印象だった。

筋力自慢が多いようだ。
荷運びの仕事が多いのか、大振りの武器を携えている人を見かけない。

邪魔だし圧力をかけるからかな。
商人には物腰柔らかく、理論的に話したほうが有利になるぞ。
とお爺ちゃんが言ってたな。

商業ギルドの翁

手腕を持つ彼は、セリに正体を明かしていない。
好好爺ぶりを発揮し、誰だアレ?似た人だろう。とバレないほどの

甘さを見せ、楽しみの一つだった。

セリが領地経営の勉強が済んでおり、その知識で市場や流通を見れるから。
見た目は、祖父と孫のお茶会だが、

内容は討論や商売の話をしていた。

秘蔵っ子と戯れにいうほど、セリは気に入られている。
セリもほうは物知りなお爺ちゃんと慕っている。
どこの人だろう?と気にはなるものの、深く知る気はない。


そんな基準のせいで、無意識に大商人と比較している。
商人を甘く見ている訳ではないのだが、覇気のなさや商人の気概がないように感じた。

この思考を知ったら、
『あの翁と比べちゃダメでショ』とシュルトが苦々しく言っただろう。


受付に並びながら冒険者ギルドの特色を眺めていたが、飽きたので
宝石の加工のことを考えていた。

この後、シュルトとキースは宿に戻る。
4人で辻馬車を捕まえて、顔馴染みの工房へ行くことになる。

かん高い受付の制服を着る女性の声に、そちらを見れば
ロードとカナンが依頼ボードの前で囲まれている。

媚を売るだな。

受付は1人で、他は人が居らず開いていない。
あの、中に受付担当がいそうだが?

ツカツカと近づいき、
「早く、仕事なサイ」とにっこり笑って言う、シュルト。
怖い。

さすがに、拙いと思ったのか受付を済ませ
会話をしようとしたようだが、流した。


処理が終わって直ぐに離れた。

「会話でコネを作る気概は認めるけど、本来の仕事はして欲しいワ」
と呆れている。

同じ冒険者ギルドと名があっても、土地柄で運用の仕方が違うのだろうか。

ささっと輪を抜けてきたロードとカナンと合流した。

ロードは気にしていないようで、カナンはいつもの事だと
ひとこと添えられる。

高ランクの名前が知られた冒険者
なのだから、声をかけられるくらいあるだろう。説明されずともわかるけど?

よくよく聴くと、勧誘や仕事の依頼にあたる話をこっそり内密と言いながらするらしく、
グレーゾーンだが、裁量ギリギリでそんなやり取りもあるらしい。

そこから関係性とか、仕事を回すと癒着がと続く。
受付は特に選任という甘い関係になる高ランク冒険者を狙ってるんだとか。
建物は変わらなくても、土地柄があるんだな。

依頼のボードを見る。

荷運びが多く、採取は少ない。
護衛があって、運河の関連依頼があるのが目についた。


西門から北に上がると河があり、海まで続くらしい。
中々広い河で、船の行き来に利用され移動にも使われていると聞いた。

魔道具が使われた商業船など見たことない。一目、見てみたいものだ。

「『竜の翼』だな?いつダンジョンから出てきたんだかなー?」
酔っ払いの筋肉質な男が声をかけてくる

「ヒョロイガキを引き連れて、ご苦労なこってぇ」
ヒャハハハと追随する声がする。

子供扱いして、
キースにも飛び火させたいようだ。

肉体強化が尊重されて、魔法が必要ないのかな。

「はあ。燃やしとこうか?」とキースが言いながら魔力を練っていたので
「頭を冷やした方が良いと思う」と同じくらいの水魔法を先に出した。

火より良いでしょ。掃除すれば良いし。

「悪酔いでしょ?」とさっさと引けと伝えると、帰っていったが。

特に興味はなく、

さっさと工房に行きたいと気持ちが向いていた。

冒険者ギルド内で魔法は禁止と言われたが、
火を出して欲しかった?と聞いたら下がってくれた。

仲良いわネとにっこりシュルトが言って、

カナンとロードに撫でられる。キースはそれを威嚇して避けた。

グスタフまで撫でるので、
早く加工屋さんに行こう!と先を促したのだった。
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