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Ⅱ-d 森と平原

雷の弓

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翌日未明。まだ日が出ていない。
そんな時刻に一団は既に目覚めて活動していた。


冷える

日が昇れば暑いくらいだと聞き、日除け用のマントをセリは纏っていた。
睡眠時間は短いが、寝床から出た身体はまだ温度が残ってるものの時間の問題だ。

今日は、日が昇らないうちに出立の準備をして、距離を稼ぐ算段になっている。

貿易都市の城門に、朝早く着けばそれだけ入れる時間も
早くなるそうだ。

城門には、長蛇の列が並ぶ。
「仕事はされている城門だ。」とはギルマスの言。

時間がかかるように見えるが、3つに分けて進めるため許容範囲内だそうで。

一般の歩きでくる人用の門  

馬車の商人や冒険者用の門
(ここから都市に入場する予定だ。)

もう一つは、守護する騎士団や、早馬もここから通ることができ
城に通じる道があるらしい。
その通りには、騎士団の寄宿舎があると事前に調べてあった。

そんな情報を思い出しながら、片付けを終え

ジュゥゥゥ!

火の始末がされた。
出立だ。


馬車の後部に立つと、
ビュっと吹いた冷たい風に、マントを掴んで身体を抱える。

「寒いか?」毛布が装備に加わった。ありがたく貰っておこう。
当然のようにロードの膝の上で、丸まってるように座った。

「おーい出発…ブフっ!!」
ツボにハマったらしいカナンだ。

2台の馬車が動き出した。



朝日だ。

周りの温度も上がる。暑くなってきたので毛布をたたんで横に置いた。
が、その毛布をロードがセリの尻に敷いた。

そんなに心配かけているのだろうか。
ガコッと石か何かでセリが浮けば、ギュッと腕で抱き竦められる。

うん。おとなしくしていよう。
気になっていた、魔石のことで
同乗しているグスタフに話しかけることにした。

「グスタフ、雷の魔石って加工はどうなる?」

大弓でどう雷魔法を付与させるか?

矢に充填するか
構えるときに、付与するのか

咄嗟の時より、狙いを定めた魔物に使うだろう。

自分も弓を使うから聴いておきたい。

「装飾具として加工する。構える前方の手に握り込んで撃つ形だ。
出っ張を無くし丸型にして表面積を広げる。」

「大きなメダルみたいになる?」

肯定された。
グスタフが握り込めるサイズにするようだ。

「小さい雷属性の魔石が手に入ったら、
矢筒につけたらどうだ?」
ロードの提案に、セリはそちらのが合いそうだと思った。

「どう手に入れる?狩る?」
「それもいいが、これから行くのは貿易都市だ。良さそうのがあったら
手に入れよう。」

購入するといくらだろうか。
流通量も使用用途も少ない雷の魔石は珍品扱いだ。

探す必要がありそうだ。

今のセリの武器は、

遠距離攻撃の魔法と、弓
近距離の最大出力の雷はあるが、

主力は水魔法とナイフ。

セリの力量とパーティでのバランス
付与がうまく使えれば、自分の力もパーティに役立つ。

魔法担当のキースとは違った使い道になるだろうと目論んでいたセリだった。
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