【完結済み】番(つがい)と言われましたが、冒険者として精進してます。

BBやっこ

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Ⅱ-d 森と平原

平原の商人

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ガガガッ
車輪が唸ったのは、硬い地面に変わったせいだろう。
日が登ってから、森を出た。

眩しい日差しが明るく
平原は、乾いた地面と見晴らしの良い景色が続く。

「平原にでたわネ」

シュルトが確認するように言った。
森の時とは違い、木の上からの襲撃や枝が落ちてくるのに
注意する必要がなくなる。

見渡せるが隠れたり、擬態している魔物もいる。
遠くまで探知できると重宝するのだが。

「あっちに鳥の魔物、前方右から中型の奴がいるぞ。」
ロードが察知した。


獣人の感覚の鋭さと、気配を読める能力はすごい。
同じようにできるのは探知魔法だが、魔力を食うので詳しく知りたい時など限定で使そうだ。

出番は、なさそうだ。


少々不貞腐れて、後ろのロードに頭を預けた。
お決まりのように、ロードの膝の中だ。

今回、ギルド職員のおじさんが馭者をしている。
理由は、商談。

ギルド長のギムナスと、シュルトで行う。
セリも関わっているのでこの場にいるが、自覚がなさそうだ。


「それで、魔法を込めた魔石だな。」

『竜の翼』の役に立つなら良いと確認もした。

高ランクパーティと商業ギルド長のトップが組む事で、
セリとの関わりを隠せる。

セリの要望は、バレたくない。だ

貴族の対応や強制的な依頼。
それらを撥ね付けるには、D級の冒険者1人は危うい。

パーティとしてなら、隠れ蓑になる。
金に困ることはないが、経費はかかっているのだ
金を得られる手段があるなら使ってもらえばいい。

自分一人のときには出来なかったことだから。
と考えていた。


「どれくらいできるんだ?」
「今あるのは、これくらいね。」

シュルトは、木箱の上に出した。
小さい魔石がキラリと光る。

「ロードとキースにやってもらったわ。」
氷と風を込めたようだ。
濃い青と、緑色の魔石だった。

ちなみに、後ろの馭者はグスタフだ。
カナンとキース、商業ギルド職員と荷物。

こちらにも入っている。
綺麗に積まれている木箱を見ていた。

この荷物の中にもある、魔石は水と火は一般的に使われている。
高級な家具に備え付けられていたり、使い切りの魔石はギルドで購入できる。
魔物から獲れる核だ。


「雷はないのか?」
「魔石がないわ。あと、量産させる気はナイの。」

使ってみたところ、威力が強い。地面が抉られるほど。
水場でも岩場でも使うタイミングが難しく、
危険だと判断された。

そもそも付与は魔力制御がしっかりできていれば、可能だ。
今でも鍛治師や魔術師が使っているのだ。

魔力が込められた魔石は、一定の需要はあるが特質するものでもない。

ただ、魔法を入れられる、使えるものが
簡単に持ち運べるという利点が、セリの込めた魔石にはあった。

武器の付与や、魔道具に埋め込まれる魔石とは違う。
属性、威力、安定性ともに高級だ。

この魔石だけで、魔法が使える。
これは、相手にとってかなりの脅威だろう。

しかし、
誤爆が危ない。

他の魔力が混じることで、起動するようになっている。
持っている者の魔力の他、襲ってくる盗賊、魔物の魔力にも反応する可能性が…


ないとは言えない。

そんなものを簡単に手に入るようにするのは、危うい。

ギムナスは、じっと手にしていた魔石を見つめた。
「それは、キースに保護の魔法をかけてもらったから大丈夫よ。」

直接に一定の魔力を込めなければ、起動しない。
これなら、魔力の干渉を受けることはないだろう。


そもそも、魔石の魔力が馴染んでいれば、そうそう起こらない。
火薬を扱うような方法で十分だという話だ。

魔力干渉を防ぐ袋とかあったな。
その袋に入れるとか。

費用もかかるが可能。

話を聞きながら、考えていれば

売る人間の厳選と、出所の箝口令。
と条件の話を詰めている。


仕入れの交渉など、
商人同士のやり取りを身近で見れるなんてないことだろな。

おおれも勉強と、話を聴いていた。
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