【完結済み】番(つがい)と言われましたが、冒険者として精進してます。

BBやっこ

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Ⅱ-d 森と平原

閑話  【商売ギルド長の頭痛】

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セリにブレンドしてもらったお茶を飲んで寝床に入った。

いつもなら、書類のことを考えながら
頭が重く、また仕事を始めるが。

今夜は寝れそうだ。
枕が変わったら寝れないなんて性質ではないが、
今日はゆっくり寝れそうだ。

そう思いつつも考えてしまう。

よく効くハーブティ
魔法が込められた魔石

商売のしがいのある品物だが、
定期的にとなると難しい部分が出てくる。

需要と供給

魔法が込められる有用性と、魔石の値段。

ポンポン出していたが、依頼品として出せば一軒、家が建つな。
まあ、上級冒険者らしいと思えるが。

商人と違う金銭感覚なのだろう。

セリもそうだろうか?

儲けようという気概がない。
商人でないのだから必要ないかもしれないが、
金銭感覚があった方が良い場面もある。

その辺は、シュルトが今回話をもってきた。

魔石に魔法が込められる件は、内密に。
と口止めに、氷の魔法が入った魔石を置いて行った。

手に収まるサイズだが、群の5、6匹足止めできる威力らしい。
売るならいくら付ければいいだろうか?

ただ、売った後の面倒ごとのがマイナスだな。
セリもその辺は、わかっているらしい。

商人なら、利益を求める。
もっともっているのではないか?と。

強欲に、しつこく、つけまわされるだろう。
だから売り物にしない訳だ。

今度はシュルトが教えていくんだろうな。


まだ旅の序盤だ。
何か、変なことを日常のように起こすのだろうな…。



あっさり。眠りについた。
その次の朝。


もう、変なことになっているらしい。

なんだあれは?

子どものおもちゃのようにキコキコと宙を泳ぐ。
魚?

距離を少し開け、じっくり観る。

ーああ、東国の鑑賞用の魚に似ているな。


また、変ったモノが見れたな。
こいつが、セリの元に戻ってくるまで、呑気にそう思っていた。

水から創られていたソレが、水に戻るのは想像できた。
セリが手にしていたものが問題だった。

精霊石!!?

その単語に慄く。
コネクションを頭に思い浮かべた。

カケラだけと渡しても、まだあるはず、見つけ出せと言われるのが関の山だな。

よくもまあ。これだけ変わり種をひいてくるものだ。
思えば、竜の翼のリーダー、ロードがつがいと名乗りでたのも珍事だな。

それと同時に、こういうことかと納得もあった。

翁は
気に入っている人間に入れ込むことがある。
それは、気まぐれのような、計算され尽くしているような

趣味と宣っているが、最終的に利益になるもので。
それによって、商売ギルドの総帥まで昇り、翁と呼ばれる程の人物だ。

未来への投資だと口癖だった。

自分も拾われた口だ。商人として尊敬しているが養父としてはどうなのか。判断がつかないが。
翁は算段をキッチリして、面白いものは拾う。

人も物も
そうして商業ギルドを盛り立ててきた。
今は引退したと本人が言っているが。


こんな隠し玉があったとは。
旅に出る前に言っていた事を反芻した。

セリの生み出す物は。
売る先を選べば、利益もコネクションも得られる。貴重なものだ。

それをしない理由はたぶん、客の管理ができないからだ。
冒険者としてなら依頼を指名で出されるだろう。活動に支障が出るだろうな。

ーただ、商人ならば。
入手先を教える馬鹿はいないとケムにまける。


こういう取引は楽しいものだ。
だから、商業ギルドは性に合うと思える。

さて、
どこまで踏み込むか。

セリの背景も関わってきそうだが、
竜の翼としてシュルトが窓口になるだろう。

今のうちに、商談をもっていくことにしよう。
まだ旅は続くのだから。
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