【完結済み】番(つがい)と言われましたが、冒険者として精進してます。

BBやっこ

文字の大きさ
上 下
77 / 200
Ⅱ-d 森と平原

閑話  【商売ギルド長の頭痛】

しおりを挟む
セリにブレンドしてもらったお茶を飲んで寝床に入った。

いつもなら、書類のことを考えながら
頭が重く、また仕事を始めるが。

今夜は寝れそうだ。
枕が変わったら寝れないなんて性質ではないが、
今日はゆっくり寝れそうだ。

そう思いつつも考えてしまう。

よく効くハーブティ
魔法が込められた魔石

商売のしがいのある品物だが、
定期的にとなると難しい部分が出てくる。

需要と供給

魔法が込められる有用性と、魔石の値段。

ポンポン出していたが、依頼品として出せば一軒、家が建つな。
まあ、上級冒険者らしいと思えるが。

商人と違う金銭感覚なのだろう。

セリもそうだろうか?

儲けようという気概がない。
商人でないのだから必要ないかもしれないが、
金銭感覚があった方が良い場面もある。

その辺は、シュルトが今回話をもってきた。

魔石に魔法が込められる件は、内密に。
と口止めに、氷の魔法が入った魔石を置いて行った。

手に収まるサイズだが、群の5、6匹足止めできる威力らしい。
売るならいくら付ければいいだろうか?

ただ、売った後の面倒ごとのがマイナスだな。
セリもその辺は、わかっているらしい。

商人なら、利益を求める。
もっともっているのではないか?と。

強欲に、しつこく、つけまわされるだろう。
だから売り物にしない訳だ。

今度はシュルトが教えていくんだろうな。


まだ旅の序盤だ。
何か、変なことを日常のように起こすのだろうな…。



あっさり。眠りについた。
その次の朝。


もう、変なことになっているらしい。

なんだあれは?

子どものおもちゃのようにキコキコと宙を泳ぐ。
魚?

距離を少し開け、じっくり観る。

ーああ、東国の鑑賞用の魚に似ているな。


また、変ったモノが見れたな。
こいつが、セリの元に戻ってくるまで、呑気にそう思っていた。

水から創られていたソレが、水に戻るのは想像できた。
セリが手にしていたものが問題だった。

精霊石!!?

その単語に慄く。
コネクションを頭に思い浮かべた。

カケラだけと渡しても、まだあるはず、見つけ出せと言われるのが関の山だな。

よくもまあ。これだけ変わり種をひいてくるものだ。
思えば、竜の翼のリーダー、ロードがつがいと名乗りでたのも珍事だな。

それと同時に、こういうことかと納得もあった。

翁は
気に入っている人間に入れ込むことがある。
それは、気まぐれのような、計算され尽くしているような

趣味と宣っているが、最終的に利益になるもので。
それによって、商売ギルドの総帥まで昇り、翁と呼ばれる程の人物だ。

未来への投資だと口癖だった。

自分も拾われた口だ。商人として尊敬しているが養父としてはどうなのか。判断がつかないが。
翁は算段をキッチリして、面白いものは拾う。

人も物も
そうして商業ギルドを盛り立ててきた。
今は引退したと本人が言っているが。


こんな隠し玉があったとは。
旅に出る前に言っていた事を反芻した。

セリの生み出す物は。
売る先を選べば、利益もコネクションも得られる。貴重なものだ。

それをしない理由はたぶん、客の管理ができないからだ。
冒険者としてなら依頼を指名で出されるだろう。活動に支障が出るだろうな。

ーただ、商人ならば。
入手先を教える馬鹿はいないとケムにまける。


こういう取引は楽しいものだ。
だから、商業ギルドは性に合うと思える。

さて、
どこまで踏み込むか。

セリの背景も関わってきそうだが、
竜の翼としてシュルトが窓口になるだろう。

今のうちに、商談をもっていくことにしよう。
まだ旅は続くのだから。
しおりを挟む
ツギクルバナー
感想 2

あなたにおすすめの小説

運命の番?棄てたのは貴方です

ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。 番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。 ※自己設定満載ですので気を付けてください。 ※性描写はないですが、一線を越える個所もあります ※多少の残酷表現あります。 以上2点からセルフレイティング

逃した番は他国に嫁ぐ

基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」 婚約者との茶会。 和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。 獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。 だから、グリシアも頷いた。 「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」 グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。 こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

[完結]間違えた国王〜のお陰で幸せライフ送れます。

キャロル
恋愛
国の駒として隣国の王と婚姻する事にになったマリアンヌ王女、王族に生まれたからにはいつかはこんな日が来ると覚悟はしていたが、その相手は獣人……番至上主義の…あの獣人……待てよ、これは逆にラッキーかもしれない。 離宮でスローライフ送れるのでは?うまく行けば…離縁、 窮屈な身分から解放され自由な生活目指して突き進む、美貌と能力だけチートなトンデモ王女の物語

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前

地鶏
恋愛
私、アリシア・ブルームは順風満帆な人生を送っていた。 あの日、私の婚約者であるライア様と私の妹が濃厚なキスを交わすあの場面をみるまでは……。 私の気持ちを裏切り、弄んだ二人を、私は許さない。 アリシア・ブルームの復讐が始まる。

【完結】お前を愛することはないとも言い切れない――そう言われ続けたキープの番は本物を見限り国を出る

堀 和三盆
恋愛
「お前を愛することはない」 「お前を愛することはない」 「お前を愛することはない」  デビュタントを迎えた令嬢達との対面の後。一人一人にそう告げていく若き竜王――ヴァール。  彼は新興国である新獣人国の国王だ。  新獣人国で毎年行われるデビュタントを兼ねた成人の儀。貴族、平民を問わず年頃になると新獣人国の未婚の娘は集められ、国王に番の判定をしてもらう。国王の番ではないというお墨付きを貰えて、ようやく新獣人国の娘たちは成人と認められ、結婚をすることができるのだ。  過去、国の為に人間との政略結婚を強いられてきた王族は番感知能力が弱いため、この制度が取り入れられた。  しかし、他種族国家である新獣人国。500年を生きると言われる竜人の国王を始めとして、種族によって寿命も違うし体の成長には個人差がある。成長が遅く、判別がつかない者は特例として翌年の判別に再び回される。それが、キープの者達だ。大抵は翌年のデビュタントで判別がつくのだが――一人だけ、十年近く保留の者がいた。  先祖返りの竜人であるリベルタ・アシュランス伯爵令嬢。  新獣人国の成人年齢は16歳。既に25歳を過ぎているのに、リベルタはいわゆるキープのままだった。

処理中です...