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II-c 馬車の旅

階段

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ニッと笑ったロードが
「凍らせた」と言ったのは、

器用に浮遊した水の玉だったもの。

凍っているが、浮いたままなのは何故だろう。



「器用だね。凍らせて足場にしつつ、水玉の魔力を失わないいように
包み込んでる。そのせいで、浮く力は失われないっと。」

解説、ありがとうございます。


自分の魔力とロードの魔力をうまく使っているのか。
手放した魔力だから、消えたら…

「うぉっと!」
危なげなく着地。

浮く力がなくなる、と。


もっと1個への魔力量を増やせば、長く浮ける?

「ボクもできるかな。」
キースが水に魔力を込める。
ふわふわと移動して陸地の上、一足飛びで上がれる位置に水を浮かせた。

「やってみて。」
「いいぜ」

パキパキッ
ロードが氷魔法を使って変化する水に

そっと乗る、が

パキンッ!と
薄い氷が割れるように踏み抜いてしまった。


「魔力が足りない?いやさっきの水の玉よりは込めたし…」
「んん~。浸透してねぇな。」

裾を濡らしたロードが言うには、

魔力を合わせるのにある反発があって、うまく包み込めなかった。と。


「ボクの魔力との相性の問題?」
「そうだな。凍らせるのに魔力が多く必要だと、
浮く魔力を消しちまう。」

ギュッと抱き寄せられる。
「俺とセリの相性が良いいんだな」

耳元で吹き込むように話さないでください。
ソワっと反応してしまう。

「ふーん。まあ魔力の相性は回復魔法でもあるからねえ。」

「なあなあ、セリ!残りの水玉をな?」
コソコソ
小声での提案

まあ、やってみるのはいいけど
危なくない?

「大丈夫だ。」笑った顔は、悪戯っ子を思い出した。

魔力を込め直してふわりふわりと空に上げていく

ひとつ、ひとつ…
螺旋に

階段状に
「いいぞ!セリ!!」
楽しそうなロードは、これに登っていくらしい。

かなり高いところまで行った。
鳥の飛ぶ位置、雲に手がかかりそうだ。

急がないと消えていってしまう。

「ロード…」声をかけようと見るが

ふわっと地面から足が浮いた。

バッ
急いで動いた音?


「急ぐそ、セリ!」

姫抱っこというやつで、

水の玉、螺旋階段を登り始めていた。

「ロ、ロード?」

すでに、屋根の上に駆け上がっている。

下を見てはダメだ。

トントンと軽やかに昇っていく感覚。
下は池だ。落ちたら?

身体が硬直する。暴れては不味い。
声をかけてロードの集中を途切れさせるのも危ない。

内心冷や汗を感じながらも大人しく抱き抱えられたまま

上がっていく。

こも浮遊感は、小さい頃鳥の魔物に引っ掛けられて、
持ち帰られそうになった時以来だ。

あの時は師匠が鳥の魔物を仕留めてたけど。


現実逃避していたら、最後の水玉になったらしい。

「セリ」
こっちを見るロードの目が、キラキラと輝く。

「いい景色だ」

目線を上げる。


森と、遠くに見える平原。

青色の空と薄い雲
まだ眩しい太陽に目を細める。

「あっちが王都だ。」

足下のことも忘れ、見入ったのが悪かったのか。

「お…。」

落ちる!??

ギュッと反射的にロードに抱きつく!

「あ…」どうにかしないと、何か

魔力を練り始める。
水でどうにかするしかない。魔力が持つか

「大丈夫だ。」
ロードが安心しろとばかりに落ち着かせようとするが

落ちてる!!

パニックになる手前だったと思う。
魔力もろくに操れないまま、

池に……。
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