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II-b 陸丘の森

作業中 <キース視点>

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空き地 (キース視点)

ハァ。

馬車に乗ってるだけも疲れるけど、森の中を風魔法使って走り回るなんて
馬鹿じゃないの!?

体力バカ。

魔力が有り余ってるからって料理に使うのも
天才を通り越して馬鹿では?って言われたのを思い出した。

煮込み料理の味がひと味違うのはわかるから、
協力するけどさ。

まあ、食後に紅茶があったのは良かった。

……やりますか。

それにしてもあの紅茶の味、及第点を出せるものだった。

初っ端から、好みに合わせるのは難しい。だから、
セオリーに添った紅茶、温度、香り、もちろん味。

良かった。
シュルトが淹れる紅茶も良いけど、
今後セリでも構わない。

気分が上向きになって、目の前の食材に魔法をかけていく。
攻撃魔法とは違った方面で制御が必要だ。

綿密な魔力制御、出力で処理していく。
まったく。人使いが荒いよね!量が多いし。


いつも通りにやっていくけど、なんか・・・
調子が良い?

出が良い、スムーズな魔力に作業がサクサク進む。
これは、・・何かある?

セリに探りを入れることにした。

これは、誤差の範囲にならない。
思い当たるのは、紅茶。魔力や薬の類いは感じなかった。

いつもの紅茶の葉だし、魔道具に反応はない。

微量だった?
薬じゃないと思う。コレは魔力の方面だ。

そして、セリが関わっている。

チラリとセリに視線を向ければ、
危なげなく野菜を剥いている。

孤児院の出身なら野菜くらい切るだろう。
けど、似合わない感じがした。

慣れてるようにやってるけど、
君はそんなことしなくて良いよ。

そう言われている姿をイメージする。


貴族に合わない趣味だね。

そんな感想がしっくりくる。
実際、料理(下拵え)をしているけど。


興味が向いた。

この子、どういう子だろう?

ロードがいない時に聞き出していこうと思った。
旅の最中の暇つぶしくらいにはなるだろうね。

グスタフとだと会話しなくて良いから楽だけど、暇はヒマだ。
まだまだ移動が続く。
今日くらい本を読んで寝よう。
シュルトに「寝なさい!」って言われても。


やれやれと作業が終わったところで、シュルトに
氷を出せと言われた。

ちょっと!僕は製氷機じゃないんだからね?
別に簡単だけどさ。

料理用と飲み物用?
塊出すから削ったら。
それは夜の酒で使うの。へぇ。


冷たいお茶を作るらしいけど、僕は適温の紅茶が1番良いと思う。

まあ、出せと言われればやるけど。
あのね、簡単に言うけど本来は難しいんだからね?

ロードがやったらこんなに小さな氷塊には、ならないの!
精密な魔力制御が必要だし魔力も結構消費するの。

もう。感謝してよね!
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