【完結済み】番(つがい)と言われましたが、冒険者として精進してます。

BBやっこ

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II-b 陸丘の森

門の外

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西門をくぐれば、視界いっぱいに木々が鬱蒼と茂っている。
この先には行ったことがある。

切り開かれた道を進めば
今日の目的地のキャンプ場に辿り着く。

慣れた道だ。商人も通る手入れされた道。

その先は深い森。
中級冒険者でも危ない、強い魔物が巣食う。
ダンジョンもいくつかある。

奥深くに入らなければ大丈夫と言われているが。
絶対はない。足手まといにならないようにしなければ。

バサリっ
と翼をはためかせる音がした。
そちらを見れば、グスタフが森の方を見ている。

大きな鳥?こんなに門の近くで?
配達に使われている魔物だろうか。

森から出てきたのは、フォレストオウル。
濃い茶色の羽を大きく広げ、
滑空してグスタフの腕へ降り立った。

風の魔力を纏っていた羽を納め、威風堂々の佇まいだ。
フォレストオウルを肩に載せて、グスタフが戻ってくる。

ピョコリと耳のように立った部分が特徴的で、眼光の鋭さは捕食者のものだ。
“自分が王である”とl語る高貴さに目が釘付けになる。

従魔?

何者だ?と問うような瞳は敵意は見られない。
じっと観察されているようだ。

こちらも負けずに見入っているけど。

飛び立つつもりか、羽を広げたのは威嚇ではないようだ。

グスタフを見れば、慌てた様子もなく、フォレストオウルを見ている。
「乗せてみるか?」と自分に言い出した。
驚きながらも頷いて、諾の意を伝える。

急いで腕に布を巻き、迎える準備をした。

「ヴァルト」とグスタフが声をかけている。

フォレストオウルのヴァルトに腕を差し出せば、ゆったりと移動する。
近距離の鋭い目はこちらを観察する瞳。

「撫でても良い?」グスタフとヴァルトに聞けば、
グスタフに頷かれたので、こしょこしょと指で撫でる。

気持ちよさそうに、くるくると鳴いた。
さらに、頭の近くを撫でた。

すり寄ってくる羽毛がくすぐったい。
ツンと嘴が口に当たった。

もっと撫でてと強請るように向く目を見つめ返せば、

「…オイ」と別方向からかけられた
温度の下がった不機嫌な声に振り返った。


「俺のだ」最終通告とばかりに圧迫感を与えながら言い渡した。

ヴァルトはグスタフの方へ戻ってしまった。
もっと、ふわもふを味わいたかったのに。

触っちゃ駄目なの?としょぼんとすれば、
「う”…」と覇気が霧散する。


「狭心ねェ。」頰に手を当て呆れた声のシュルトが立っていた。
「ヴァルトが懐いたのねー。従魔師の才能があるのカシラ?」

「わからない」
祝福がスキルを、特有のスキルで見える道士のいる教会で見てもらう。
小さな町や村にも修行中の道士が寄るが巡り合わせと寄進が必要だ。

自分が見てもらったのは、6歳。
なにも見えないと言われ、家から森に放り込まれた。

教師がわりの高レベル冒険者と一緒ながらも、
子どもを育てる場所じゃない。
とは後でギルドマスターに聴いた話。

殺す気か?と憤りを隠せない雰囲気だった。
大丈夫、今 生きてる。

10歳に満たない時に再び見てもらったものの、
ハッキリせず、見切りをつけられた。


自分の能力がわからない。

それでも身につけた能力で、冒険者として生きている。

今更、必要だろうかと考えたが
これからパーティにいるのなら、能力の開示は必至だ。

どこかで見てもらう機会があって良いかもしれない。


森に分け入った。




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