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II-a 王都に向う旅
教会
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土産も満足してもらったようでだったし、教会へ。
神父様が来客と話されているので、少し待った。
教会のステンドグラスを見る。
ここに来た時も見ていた。
色とりどりのガラスが、光を通している。
その穏やかさが自分に降り注いでいるにが不思議で、
現実味がなかったのを覚えている。
痛みが響かない体と呆然としている思考の中で思った。
もう、演じなくて良いのだ。と安堵と迷子になった気分。
どんな自分でいれば良いだろう?
前の生活から1人で場合によっては旅を続けられるようになること。
出生を探られないように振る舞うこと。
他には?
礼儀正しいさと、慎重さは忘れずに。
それで?
……なにを得たいのか。
指示され、与えられるもので生きていきた。
それに否がなかったには、求められている役目だったから。
生きている意味に近いもの。
それが無くなって。その穴を埋めるものは?
“探してみなさい”と言われたのはここで。
いつか出て行くだろう
もしくは、居れなくなる。
そんな覚悟はあっても不安は消えない。
1人で生きるのも
逃げ続けるのも困難で。……消えてしまいそうだ。
怖いのだ。
森での夜、感覚が冴えて眠れない時間のように。
街中で誰かに見られているのではと焦るように。
自分はナゼここにいるのか、いれるのか?
思考を止めた。
神父様に挨拶をして、長期間この町を出て行くことも伝える。
察しのいい方なので、戻らない可能性もあると分かるだろう。
「気をつけて行ってきなさい」とほほえむ。
その表情に悲しませていないと少し安心する。
ここに来た当初から信用できる大人だ。
自分のせいで煩わせたくない。
「ありがとうございます。」と表情を作って応えた。
心配させたくないので。
スッと腕が回ってきて、肩持たれた。
「俺が守るから心配するな!」
ここでも抱きつくんだな。と慣れてきている自分がいた。
神父様は慌てず
「おやおや。良い人との出会いがあったようですね。」
“気付いてる”言い方だ。昔の表情を読むクセが出た。
事実だけ答えて、流すことにする。
「えーと、番らしいです。」とロードを紹介した。
「良い出会いを得たようですね」と
にこやかだが、内心が読みきれない。ちょっと動揺を隠した気もする。
「良き運命を。」
祝福をしてくれる。
きらりと魔力の残滓が光っている。
その光を身につけて
教会を後にした。
振り向いて、この景色を記憶に残しておく。
戻れなかった時に、思い出せるように。
「後は、どこか行きたいとこあるか?」
商店の方へ行きたい。
買い足すものがあるかもしれない。
「じゃ、行きまショ」
と先導するシュルトの後をついて行く。
ロードが腰に手を回して歩く。
歩きづらいんだけどな。と言わなかった。
神父様が来客と話されているので、少し待った。
教会のステンドグラスを見る。
ここに来た時も見ていた。
色とりどりのガラスが、光を通している。
その穏やかさが自分に降り注いでいるにが不思議で、
現実味がなかったのを覚えている。
痛みが響かない体と呆然としている思考の中で思った。
もう、演じなくて良いのだ。と安堵と迷子になった気分。
どんな自分でいれば良いだろう?
前の生活から1人で場合によっては旅を続けられるようになること。
出生を探られないように振る舞うこと。
他には?
礼儀正しいさと、慎重さは忘れずに。
それで?
……なにを得たいのか。
指示され、与えられるもので生きていきた。
それに否がなかったには、求められている役目だったから。
生きている意味に近いもの。
それが無くなって。その穴を埋めるものは?
“探してみなさい”と言われたのはここで。
いつか出て行くだろう
もしくは、居れなくなる。
そんな覚悟はあっても不安は消えない。
1人で生きるのも
逃げ続けるのも困難で。……消えてしまいそうだ。
怖いのだ。
森での夜、感覚が冴えて眠れない時間のように。
街中で誰かに見られているのではと焦るように。
自分はナゼここにいるのか、いれるのか?
思考を止めた。
神父様に挨拶をして、長期間この町を出て行くことも伝える。
察しのいい方なので、戻らない可能性もあると分かるだろう。
「気をつけて行ってきなさい」とほほえむ。
その表情に悲しませていないと少し安心する。
ここに来た当初から信用できる大人だ。
自分のせいで煩わせたくない。
「ありがとうございます。」と表情を作って応えた。
心配させたくないので。
スッと腕が回ってきて、肩持たれた。
「俺が守るから心配するな!」
ここでも抱きつくんだな。と慣れてきている自分がいた。
神父様は慌てず
「おやおや。良い人との出会いがあったようですね。」
“気付いてる”言い方だ。昔の表情を読むクセが出た。
事実だけ答えて、流すことにする。
「えーと、番らしいです。」とロードを紹介した。
「良い出会いを得たようですね」と
にこやかだが、内心が読みきれない。ちょっと動揺を隠した気もする。
「良き運命を。」
祝福をしてくれる。
きらりと魔力の残滓が光っている。
その光を身につけて
教会を後にした。
振り向いて、この景色を記憶に残しておく。
戻れなかった時に、思い出せるように。
「後は、どこか行きたいとこあるか?」
商店の方へ行きたい。
買い足すものがあるかもしれない。
「じゃ、行きまショ」
と先導するシュルトの後をついて行く。
ロードが腰に手を回して歩く。
歩きづらいんだけどな。と言わなかった。
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