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II-a 王都に向う旅

竜人の嫁

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ロードが”ハーフ“というが
ほとんど男ばかり産まれる竜人の相手が、竜人なのは極稀。
他の種族の相手が番ってのが大半。

女性の竜人が少ないのと、子どもができるまで
体の相性、魔力の問題が出てくる。

強い魔力を持つ竜人と同等の魔力を受け入れて、魔力供給を受け続けることでしか
竜人は生まれない。

魔力の交わりは、“交わる”ごとに体が緩やかに馴染んでいく

魔力が長期、多分に必要で男側の準備もあり

「ただ性行為するだけで子供はできないのよ。」と言うのが、
シュルトの説明だった。

へぇ である。
ヒト族とは違うのか。

昔、座学で習ったものとは違うようだ。


今のセリは、ロードとの魔力量、質を馴染ませていないため子供はできない。

「“巣篭もり”と言われる期間が必要なのヨ」
とシュルトは、ハーブティーを飲んだ。

「期間ってどれくらい?」目安を知りたい。

「・・ひと冬かしら?」“最低でも”という言葉を濁して言った。

ヒト族の感覚からいうと監禁といえる長期間だ。
この文化の違いと番への執着は、埋められない溝になるそうだ。

1人に夢中になって、他が見えない“番・至上主義”と言われる
囲い込み。番と二人きりで過ごすのが“竜人の嫁”と聞いた。

「特に獣人の狼、竜人は囲い込みが激しいって聞くワ。」

正に、うちのメンバー2人なのヨネ。

番の話は、身近にあったものから眉唾もの話まで
カナンから酒の肴に聴いたことがある。
“番を溺愛する”それに尽きると。

番を得れば、止められるものではない。



ー以前に決めてたこと

カナンに番ができたら、パーティからの脱退。
ロードは、できれば番と旅をしたい。

「見つかったらな!」と夢は夢と語ってはいを交わしていた。

実際に、ロードが番を見つける夢が実現した。
ならば、様子を見ながら旅をしようと話していたのだ。

相手のセリは、冒険者だし年齢も成人はしている。16歳。
ロードの相手として希望通りになっている。

けど、それはロードの方だけを見て言うことだ。
セリにとってはどうだろう?

礼儀正しいし、我が儘も言わない。
表情が乏しいけど、まあ、訳ありって感じネ。
綺麗な子だし。

セリ自身の落ち度はないわ。
ただ、ロードに捕まってしまった。

たぶん、にがしてはあげられない。あのロードの執着を受けて
逃げ出してもすぐ捕まるでしょうネ。腕のいい高ランク冒険者だもの。

話に聞く番関係つがい かんけいの事件にならないようにしたい。

商売上で、獣人の大雑把さには辟易する部分もある。
感覚や文化の違いだ。

歩み寄れるぶんはある。
だから、セリには身近な大人として世話を焼かなきゃネ!

オババが作り終わった薬を持ってきてくれた。

「髪染めも持ってくかい?」とセリに勧めてくれる。

「あらその髪、染めてたの?」
と聞かれたので、今は白いと伝えた。

元は何色なのかしら。
瞳の紺色から、濃い色だろうとあたりをつける。
けど、金髪も似合うんじゃないかしら?

柔らかい色なら肌にもあって、服装もガラッと変えられるワ。
変身させる甲斐がありそうネ。

うちのとも仲良くできるといいけど。年齢も近い弟妹がいるし。
「この成分なら手に入るわよアタシでも調合できるワ」とレシピを見せてもらった。
他の髪色も試してくれないかしら?と考えを巡らしながら。


この町にいたなら、オババ様に調合を習うことが多い。
自分は手伝いだけだったのはもったいなかったと思う。

ハーブティーのブレンドは褒めてもらったけど。
今飲んでいるのもそれに近い。オババ様の魔力もあって美味いのだろうけど。

「良いブレンドね。」とシュルトが褒めてくれる。

「セリが作ったものをベースにしてるんだ。リラックス効果が良くてね。
気に入ってるよ。まあセリの作ったものの方が効果が高いんだがね」

「あら、調合の適性があるのかしら?」

「器用だけど、そこまでないね。どっちかというと魔力の質だわね。」

と自分に調合はあまり向いていないようだ。
自分の髪染めくらい自分で作れると良いかな。

オババ様にお茶を淹れた、『ありがとよ』と言われる
「竜人の嫁ってのは外を歩かないって聞いたがねー。」

それも事実だ。
巣に閉じ込める、嫉妬のため他の存在に番を見せたくないからだった。
だが、他の理由で見かけることがある。
そのおかげで竜人の嫁の話が出ているのだ。

そこのところは、後々話していけばいい。
即急に話しておくべきなのは、身体のことだろう。
これから、ローに付き合っていかなきゃならないセリの相談に乗るくらい
できれば良いが。

年の功だろうか。

女の受ける側のが負担が大きいのに、全く男だとそういう話が
出てこない。(浮かれている頭にはおもいつかないのネ。)
妹たちの話し相手の経験がものを言った。

「まあ、。色々あるだろうが
リラックス作用のあるお茶でも持ってきな。餞別だ。」


ハーブティをも貰った。
髪染めと常備薬を買って、冒険者ギルドへ向かった。

ロードとカナンが待っている筈だ。
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