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I 育った町で冒険者

回収される

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「チョットぉ、まだ寝てるの!?」
と男性の声とともに部屋の扉が開けられた。

真っ裸なのでシーツを巻きつけた自分は、
「…おはようございます」
とりあえず挨拶をしようとした。

宿の人?と思ったからだ。

状況がイマイチ掴めない。
友好的に見えて、説明ができそうな人に聞いてみることにした。

「あ“……の」
風邪をひいた時みたいに、声が出ない。

「アー。喉枯れてるわね。」
何かに気づいた様子でボソリと言った

「あの男」
と低い声が怒りで震えていた。

「服は・・妹のが着れるわね。とりあえず水をどうぞ。」と手渡された。
ここは宿屋だろうかどこの?ベッドと荷物あの男のものか。

ビシリっとなりそうな身体を
慎重に動かして座る姿勢になった。
!?変な違和感。

「お湯も使って。」取りに行ってくれた盥に、お湯がはられている。
身体を拭けるように持ってきてくれたらしい。

変な感覚を拭き取るように身体を清めた。

「コレ着れるかしら~と再び戻ってきた」
シンプルなワンピースだ。

「下着もあるから着替えて、階下で食事を出すわ。
食べながら話しまショウ?」

その提案にのることにした。怠くて頭が回らない。
着替えるためにシーツで包んだまま、立とうとしたげど

ガクッと膝をついてしまった。

「アラアラ」
着替えを少し手伝ってもらい、
「チョ~とゴメンねー」
ふっ
抱き上げて下に運んでもらった。力持ち。

ーーー
「食べながらきいて
ワタシは
竜の翼っていう冒険者パーティのメンバーよ
今、活動休止中だけど。あの部屋の主はウチのリーダー。

アナタは?」

「セリ。冒険者。昨日ギルドに居たら
追いかけられて捕まった。
・・今、何時?」

「昼過ぎよ
……いつからココに居たの?」

「・・昨日の朝?」

沈黙と食べる食器の音

「あの男!むっつりスケベだと思ってたケド
犯罪に走るなんて!!」

あれ?これは子供と思われている?と思ったので
年齢を言った。
「16歳
ここでは成人」と補足する

「16ならまだ子どもよ!
親御さんは?心配しているでしょ」

「親はいない。今は宿住まい。
よくわからないけど、ギルドに行きたいカードを受け取り忘れた。」

「そうね。当事者がいないんじゃね。
コレ、ポーション飲んで。
ギルドにいて頂戴

あの男を、絞るわ」

その瞳は、使命感に燃えていた。

ーー

食べ終わり
ポーションも飲んで(多分高いやつ)
ひと心地ついたところで声がかかった。

「セリ!」
昨日攫った上に1日離してくれなかった男が来た。
えーと名前……

「ロードぉぉお!!
アンタ、子供に何やってんのヨォ!?犯罪よおー!」

この人、信用できそうな気がする。

「番を巣に連れこんだだけだ。」と端的に答えただけだった。
食欲はあるな?
そっと頬に触られる

「とりあえず、
冒険者ギルドだな」と行きたいところなので一緒に行く流れになった。


「予定は変更なしだ。」と2人の間で何か伝え合っていた。

ーーーギルドマスターの部屋

セリが帰ってきた。
安否確認と説明のため来てもらった。
あの男に運ばれてきたが。


疲れたような気怠げな様子は
いつもビシっとしているこの子とは違った印象だ。

ワンピースに武器をベルトに括り付けている格好は、ちぐはぐだ。
顔をよく知らない奴が見たらDランクのブラック、セリだと気づかないだろう。

フードとマスク、無愛想で人を近づけない。
自分を守るためというより巻き込まないためのスタイル。
彼女は思慮深いからな。

「体調は大丈夫か?」
「はい。・・なんとか。」

反応が遅れている
まあ無理もない。拐われて
多分、“食われた”のだろう。

ーあの男[怒りが滲む]
追い出した男(ロード)を睨み殺してやりたい。

ギルドとしては、冒険者同士のプライベート関係に踏み込むべきではない。
・・個人としては手を回そう。その他諸々の事は後だ。

混乱しているだろう
この子に説明しなければ。

まずは
身近な大人として教えなければ。

「セリ、君は番<つがい>というものを知っているか?」

「つがい?」と言ってセリは首を横に振った。

「鳥の番とかのツガイだ。


獣人の文化なんだが、本能的に配偶者、妻がわかるらしく
種族が違っても感じるものらしい。

君は今、今日一緒に来た男に
番と認定されている。」


「…初めて会ったのに?」
「初めてあったのに、だ。」

驚いている顔だ。
この子は番を知らなかったか。


お化けが出るとか、魔物に拐われるとかのおはなしの類で、
親から聞くことがあるが。

この子は教会の子だったな。
牧師やシスターが教会の子たちに伏せただろうか?
獣人への差別意識になると問題視されてた事案だからな。


血の濃い獣人に良くある“番問題”。
悶着を起こすので獣人全体が嫌われていた。
この辺にはなかっただろうか。恋愛絡みの刃物沙汰などは。

ふらりとセリの頭が揺れた。
身体がふらついている

無茶させたのだろう、あの男!
怒りを散らせ、ギルド長として対応を終えた。


「セリ、少し休んでいけ
部屋は空いている。」

ギルドの宿泊や治療のベッドがある。

セリの状態で常宿に帰るのは難しいだろう。

「ありがとうございます。」
ふらつきそうな弱々しい足取りでセリが出て行った。

さあ、ギルド長の役目は終わった。
「ちょっと出てくる。」と職員に言い残し


個人の用事をしに行った。

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