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I 育った町で冒険者

16歳の冒険者

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16になって、6年の冒険者生活は日常になっていた。

朝起きて身仕度をして
からだをほぐしながら違和感がないか確認する。

宿の食堂で朝食をとってギルドに向かう
1日のはじまり。

6年コツコツやってこれば、
調査や採取が評価されてきて
冒険者として認められてきた。

どうなるか明日はわからない職業だが、
暮らし向きは上々だ。

武器のメンテナンスをして懐とクエストと相談しつつ装備品の向上を目指している。
先立つ物も重要だが、命を守る装備も必要だ。

ソロ活動が主だが他に、チームに臨時で入れてもらうこともあった。
森での案内と採取、に役立てる。
たまに、町の用向きお手伝いクエストと呼ばれる類を受けたり
手堅く活動しているつもりだ。


隣の町まで護衛任務に混じって行ったことはあるが
長期の旅には体力、金銭面が不安だ。1人旅を無理にする必要はない、まだ。

16歳ともなれば、お年頃というやつだ。
大人びていると言われていたが、ここでの成人の歳にやっとなった。

去年(15歳)に孤児院から出てはいたが、毎月顔を出すようにシスターに言われていた。
遠出する時の報告もチビたちの相手も、大きい子たちに任せられるので

最近はご無沙汰だ。
今度行った時に、小言を言われるだろうと覚悟はしている。
薬草茶をお土産にして、顔を出しに行こうか。

もろもろのことを考えながら、知り合いを見かけ挨拶して
ギルドに着いた。

この町にも馴染んだなあ。
生まれはここではないし、出生も一般的ではないらしい。

まあ、そんなことは冒険者なら、気にされないけど。

掲示板をざっと見てから
いつもの採取カウンターへ
ギルドカードを見せて、情報を聞く。

カードには、

Dランクのクラス(職業)「シーフ」
手先の器用さと察知能力など魔法の力を鍛えて、採取を中心に活動する。
ソロでの活動は森に行く。すでに庭のように何があるかわかる通い慣れた場所。
強い魔物が出るため、遠くには単独で行かない。

チームに臨時で入る時は、斥候を任される。
サーチ(魔法で調査できるレベル、知識で偏る能力)をかけたり、先行して調査をする。

そして、カードの角にギルドで認定された色、ブラックの色が丸くついている。
個人指名の調査を一定数受け、信頼の証としてつけられている。

そして所属ギルドの名前
これを貰ったのは、Eランクになったとき。
それまではタグと呼ばれる認識票の金属板を貰う
登録証として使えるが、カードとは違って貯金機能がない。


今日の予定は、
配達の仕事をして、昼頃にまたギルドに戻る。
調べ物をして明日にソロで採取に行く。この時期に生える薬草狙いだ。

予備調査にギルドの図書室へ行った。
以前オババに聞いたことも復習して…………

ーと、結構時間がたっていた。
受付のいつも話をするリリーに誘われて外で昼食にした。
食堂がいつもより賑わっていたので、避けたのだ。

サンドイッチを食べながら、話をした。

討伐専門の合同チームが凱旋したらしい。食堂の人たちはそれ目当て。

名のあるスター冒険者だ
そのメンバーの格好良さをリリーが語っていた。

「あなたも年頃でしょ?いいなと思う人いないの?」
「…とくに」
恋愛事情というのはよく話題に上るが、もっぱら聞き役だ。
関心がないというより、

初体験というものはしておいたほうが良いと思っている。
旅に出る女の危なさや狙われるものが何かくらいわかる。

そういう世界だということも。
だからか、肉欲的には興味を持つが、恋人という関係性は求めていない。

という結論に。

「・・めてる」
とは彼女のひと言。

「いや、ここは考えを変えてみよう。一夜のフォーリンラブ!熱い夜をお求めでしょ!?
なら、大人の男に据え膳出しなさいよ!」

後腐れない、かっこいい人
今回来たメンバーがお誂え向き、とおススメの人まで話が続いた。


そんなうまく話がなるとは思えないけど。

ーーー

急遽、パーティ会場になっている宿への手伝いを頼まれた。
泊まっている宿屋に人手が欲しいと頼まれたらしい。

今月の宿代を免除してくれるとのことで、頼まれた。

人も多いが、給仕の数もまあいるだから…

真面目にやれと言ってやりたい。
騒いで人の波を避けて、無事に飲み物と食べ物を渡す。酔っ払い・変態に注意。

給仕にもタイミングや視界の広さが必要だ。

今回、まとめての支払いなので、料理をほどほど、酒を出せばその分儲けられる。
食事が無駄にならない程度に、酒とつまみを渡して空いた皿は回収しやすいようにする

酔っ払いをいなしつつ、動き回った。給料分働く。
視線を感じたのでそちらに進んだ。
「お料理いかがですか?」と角の英雄に声をかける
飲みっぱなしだったのでどうだろう


「ああ、もらおう」

手持ちの軽いつまみを渡す。

「よろしければ、メイン料理をお持ちしますが?」
やっと給仕っぽいこと言った。

「シチューをくれ」
と言われたのではいと答えて取りに行く

温め直したシチューとパンをお持ちした。

では。と去ろうとしたところで

!「待って」
と腕をつかまれた。

触られても嫌な感じがない。初めてかもしれない。

「っと。突然すまない少し話をしないか?」と誘われたので
頷いた。

結局、
お持ち帰りされてみることにした。



宴会場を抜け出し、宿へ向かったのだった。
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