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現実の波

16-③

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ースタン視点ー


カイナとの出会いは、王城での依頼を受けた時。異邦人の動向の監視に、王城に居た時。

俺は神殿と縁が深い。それを強みに変えて、冒険者で自由にしつつも仕事も受けた。

俺を餌に立場を手に入れようと、女から男子供まで近づいてきた

興味がなかった。

俺の家系は、人への興味が薄い傾向にあるらしい。
仕事が生きがいとなる者が多い。それと同時に、一目惚れで伴侶を決める事も多いんだとか。

そんなに興味を惹かれるものか?

そう思ってた。一目で彼女だと思った時に。

うちは代々一目惚れで結婚までいく。狙いに狙って周りからせめて拒否されないよう尽す。
仕事から立場、己の見せ方まで完璧に気に入ってもらえるよう徹底した。

カイナのことも調べた。半分仕事だ。
異邦人には珍しく、冒険者の仕事だけではない仕事をしている女性。

姿は見ないが、評判なデザイン。貴族のオシャレ着や珍しい物が手に入ると噂にのぼる。

『面白みのないデザインではつまらない』と聴き込んだが、機能性と
印象操作に使えればあとは気にならない。俺にはよくわからない。服は、持ちが良い方が良いかって考えるくらいだ。

何かに没頭する気持ちは、わからない。

俺へ秋波を向ける女も興味はない。鍛錬は趣味だろと言われたが必要だからする。勉強や付き合いもそうだ。

けど、彼女をみた時。俺の目が訴えた
『見逃すな、逃すなと。』

異邦人との橋渡し役を買って出た。俺の立場なら申し分ない。

商売する間柄、その関係は築けている。慎重で技術に進んだ、魔法も加護もない世界というのは想像できないが
彼女と喋れるなら怪しい物だって使う。


久しぶりに父上にお願いしてみた。
「オマエと交渉は骨が折れるよ。私は神殿のトップに入る長なんだけどねえ?」

「知っている。だから、俺もお願いしているんだ。『彼女の役に立ってくれ』おまけで俺がつくよ」

「ハハ、それは豪勢なおまけだな?」

戯れと本心。身内との気軽さの中で、敵に回すと面倒だと分からせているのは憎いな。お互い様という血縁を感じた。

さあ、彼女を迎えに行こう。花束を買いに行こうと、俺は揚々と出掛けていった。
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