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現実の波

15-③

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「お手入れ方法は、中世な感じかー」

スタンとは“女性へ贈るプレゼントの定番”や流行を聞いてみた。その話を友人研究者にしている。雑談はストレス解消にも良いし、ひらめきをもたらす。

「花束は定番であるし、ドレスや装飾品。違いはダンジョン産のが希少って事くらい。一点ものが貴族の主流だから、新しいデザインで売れる事もある。」

「あー、中世感あるぅ。コルセットぎゅうぎゅうなの?」
「んー、地域性でバラバラ?毛皮のドレスとかすごく重そうだけど興味ある。」

少しの間の後。彼女が気がついたように、カイナに言った。

「デザイン、データはいける?」

化粧品というそのままは無理だが、デザインを送ることはできる。光明が見えた。

「3Dプリンターみたいに、できないかな?」
機械にデータを送って、セットした素材を使う設計図を基に模倣品コピーが出来上がる。
向こうの素材で作る。構造、デザインを出現させられるならそれは限りなく似た物が作り出せるかもしれない。

理論的には。

「全く同じではないけど、カスタマイズされたものが向こうに送り出せる。」

思いつきをクラーク宛てに連絡したら、急遽時間を空けて会えることになった。ただし、私だけ。アイディアのメモだけ持たされました。

『お偉いさんは肩凝るからヤーダ』って、それで研究者の仕事に逃げる性格が羨ましい気もする。
(私は言われたら、従っちゃうからなー)

私1人だけでも良いオッケーしてくれるのも度量が深い。そんな時間は取らないとは思うが、時期もあって忙しくない訳ない。

ささっと話せるように、どう説明するか頭の中で練習しておいた。移動先は応接室。紅茶を出してもらって、クラークを待つ。

こうしていると、ここに来た時の事を思い出すな。部屋は違うが、似た状況だ。
時間が経つのが早いなあ。ここに異動になってまだ1年経っていない。

外の緑は目を休めるためによく見る。外が暗くなっていて時間に気づく日も多い。外の景色を見ずに過ごす日もあった。
(充実してるなあ)

知り合いがゼロの環境から急速に変化した。すごく精力的に動けてるなあ。

普段よりフォーマルな格好をしたクラークが現れた。お茶を飲む間だけ時間をもらえるらしい。
持ってきた1枚のメモを見せ、口頭で説明した。

「詳細を詰めなければならないが、良いですね。」

あちらの素材を使えるなら、私が言えることはひとつ。


「デザイン自体も売れますか?」

クラークの思考が巡る。

「模倣はどうなるか、意匠の保護の概念があるかわかりませんが。国々への打診は神殿を介して行えます。…すごい経済効果が見込めますね。」

その可能性が動き出していた。
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