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ゲーム異世界

8ー①

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とてもムーディだ。2人で食事のお客が多く、私達は注目されずに席につく。全然、目立たない。
私が異世界人だと気づく要素も無さそう。ゲーム上で見た髪の色、個性的なドレスとアイテムの組み合わせが目を楽しませる。

さすがにキョロキョロせず、おすすめのワインを頼んだ。この体は飲めるのか、多分1、2杯なら大丈夫だろう。
メニューが下げられたところで、声を少し落として囁かれる。

「君の存在は狙われる」

突然のスタンの言葉だけど、危機感は皆無だ。試していないが、安全性の部分は資料を読んでいる。
討伐のメンバーより、私の行動範囲は安全で加護も強いそうだ。

「命?」

実感する状況は、ないと良いんだけど?
「知識、存在、神に優遇された存在として。」

「恩恵に預かれるって事?ほんとに?だって私の知識なんてデザイン趣味の服飾だよ?」
「多くの人に取り入れられていくのは力になる。ここではそうなんだ」

真面目な雰囲気だが、私はSNSでフォロワーが増えると企業からお誘いがあるのをイメージした。
その沈黙をどうとったのか、スタンは真剣に言葉を重ねる。

「守らせてくれ、そのために案内人になった。」

まだ、易々と了承するには相手を知らなさ過ぎる。この世界のことも。言葉にしたら契約とかそんな展開は御免だ。安易に頷かない方が良いだろう。

「守りは万全だが俺もいるって意識されたい、ってのを知っといて欲しかったんだ。なにせ、
明日には帰ってしまうだろう?」

そう軽くまとめ、ディナーを食した。彼も、今受け入れられるとは思っていないようで打診の段階で終わらせるようだ。まあ、案内人だって旨味を求めるだろう。それが異世界人との接点だってだけ。

その後は真剣な会話とは別に料理を楽しみ、終われば部屋まで送ってくれてすんなり別れた。
明日は朝早く市場に行くと、約束をして。


ベッドにダイブする1泊2日も半分過ぎる。
「ウインドウを出して、日記と行動履歴を書き込まないと。」

宿題のようなもの。企業なら活動報告書か。メモのように書いた後ゲーム端末の機能と一緒で、服を変えてみる。
「お嬢さんな感じがする?」明日の服を選んでいると、早々に寝ないと起きれなくなると気づいた。

それでも端末をもう少し見る。神殿のお偉い人の話が文章化されていたり、街の成り立ちもあった。テーマパークに来たら、スタンダードなコースを行きたい派だ。ウインドウショッピング、外食と服飾。

(市場も楽しみ)

「寝られるかな?」

ベッドで朝まで、カプセルで寝てるのに今も寝るなのか、意識の移動とか?その辺の技術的なことはとりあえず置いておいて。
この地域の情報を思い出す。

ネグリジェに着替えて寝る。ジャポニズムな感じの派手目なデザイン。光沢があり、この豪華な部屋なら負けない気がした。さらりと肌に触れる感触も遠くなっていく。


豪華な部屋で慣れない感じに、眠った。
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