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新章

2-③

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目覚めて外を見る。私の部屋になった場所から木々が見えた。
「旅行先の宿で起きたみたい」

木々が風で揺れ、まだ把握していない場所の多い。車の音も生活音も聞こえてこない。
快適な眠りではあったらしい。のびっと体を起こして、出掛ける準備をした。
聞き流されるニュースは、繰り返す同じニュースを止めて部屋を出る。

食堂の朝食はビュッフェがあるらしいが、買って出かける事にする。

メッセージを確認したら、友人からランチに誘われていた。それにオッケーと返答して、集合場所へは送迎車と地下鉄で行く。

私に送迎車で友人に会う予定はない。どこのお嬢様よ?っとツッコまれる事、請け合いだもの。

慣れない送迎をタクシーのように使って、日常へ戻る。ビル街とスーツの人々。
小旅行から会社へ復帰を果たすみたいに。

(これからの事なんて、まだ夢心地。)

しっかり考えていない。これから愚痴でならべられる結婚の事と、健康に気をつけるとか年齢の事。そんな予想を立てて、最寄駅で車から降りる。

(新刊の本が出ているかな)
本屋が気になるものの、あまりのんびりすると約束の時間を遅刻しそうだ。そう思ったけど、到着時間は15分前。

自前の端末で、漫画を見ながら待つ。

「お待たせー」
「久しぶり。」

待つのはいつものことだ。今日は遅れる連絡が入らなかっただけ早い。

「今?アニメのキャラがカッコよくて!」

彼女の輝きが力強くて、眩しい。聞き役に徹するのがいつもの関係値。

お気に入りだという店に案内され、座った。
「異動先どう?」
「まだよくわからないけど、待遇は良さそう。」

「いいなー!けど私ゲームはそんなハマらないし。」

ゲーム関係だと思われている。説明でもそうなっていた。異世界に行くなんて、ジョーク冗談の域だ。

並べられた皿、果物さらだとキッシュ。紅茶がティーポットでついた。おしゃれだし、美味しい。

「マカロン、買っておこうかな」
並べられたお菓子に意識がいっているところに、声をかけられる。

「そういえば、引っ越し先ってどんななの?」
「備え付け家具があるし、宅配も受け取ってもらえたりする。」
「えーいいなあ。ゲームに没頭するための設備って有名でしょ?研究室があるって」

友人は情報通だ。それでも、あそこのファンタジーな話は知らない様子。情報が統制されているんだろうな。秘密保持、漏洩はなしの契約をしている。バレたら飛ばされるとか?

「山奥の研究所で行われている実験、人が消えるとか。」
「ホラーね?」
思い出してもおどろおどろしさのない、特になんてことのない建物だ。

「夏の終わりだと、流行りそう。肝試しスポットとかないの?」
「警備とかしっかりしているし。そもそも廃墟じゃないんだから。セキュリティで入れないでしょ。」

そんな冗談を交えながら、ショッピングへ移る。街での買い物につきあい、つられて服を買った。そうこう過ごしていたら、飲み会の店へ。
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