57 / 67
報告書
19-②
しおりを挟む
「精霊の聖域とその管理、侵入者できる者がいないのにか?」
精霊のお相手をするという職務内容に、つい聴き返した。精霊の許可した者しか入れない“聖域”、“棲み家”と呼ぶ精霊様が普段居る場所とは違う。
鉄壁、そして入っても盗る物が無い。
「感覚的には“安全な別荘”だろうか?」
王からの報酬、城の任期を無事終えたものの、次が困る?
“役職につけておきたい”という思惑。
貴族達はざわめく、精霊様と交流を持てる地位はどれくらい自身に優位になるか?
(エルフは森に帰ると思われている、と)
この長い耳は、人の会話を容易く拾えると広まっていないのだろうか?まだ、故郷に帰るつもりはないんだがなあ。
そんな個人的な話をする仲でもない。やっかみも少しは起こるが、捌くのにも慣れてきた。
(これも、森に居たら味わえない刺激か。)
貴族、その派閥の興味は1箇所に集約される。
“次の王位継承に精霊様が、関わっているのではないか?”
私を重要視する、見当違いの疑惑だ。彼の方は政治に関わっていない。だが、王位はある存在に認められて次が決まる。
<緑と風の精霊様>のことでは、ない。
私はそう確信しているし、王位継承の話には関わらないと言っている。
表明しても、騒がしのが想像できる。これが王都に長く居たくない理由だ。大体、以下の通り。
「王とは長い仲なのでしょう、知的な話がお好きなようで」
「獣人の王では無いですからな」
(その言葉以外に、非難する要素が無いと言っているようなものなのだがな。)
「私には、政治は分かりませんな!」
煙に巻けば、煙たい顔をする。これもまた懐かしむべきか?<極北の城>から出てきて久しぶりと感じれば、いや時間の無駄だな。
「王に重宝される?まあ、それほどの成果は上げているぞ。」
貴族達も必死だ。それに、特別な職は私の研究の功績の方だと思いたいんだが。
「人が多い」
この感覚も久しく感じてなかった。諸々の書類を出して、仕事は終わった。後任も予定通り通常の極北の城での任務を回せるだろう。
今回のイレギュラーは私の赴任から始まっていた。王の采配は、国を守るためにあった。突然に来たあの子も竜人もその範囲内だ。
予想外は竜人のツガイの子供、だな。だが大きな意味があった。まるで運命に導かれるように。そんな風を感じたが、追求することでも無い。
「少し出歩いて、既知を尋ねて挨拶する時間が取れるな。」
新しい役職といえど、やる事は少ない。
今までの管理体系に、お飾りのトップができた。精霊様の要望を聴ける機会が増えるくらいだ。そう変わらない
「たいそうな名前だが、ずっと部屋に詰める必要もない。」
長い付き合いの<緑と風の精霊様>に、就任のご挨拶の後お茶をご一緒した。極北の城の話をして、和やかに初仕事は終わった。
精霊のお相手をするという職務内容に、つい聴き返した。精霊の許可した者しか入れない“聖域”、“棲み家”と呼ぶ精霊様が普段居る場所とは違う。
鉄壁、そして入っても盗る物が無い。
「感覚的には“安全な別荘”だろうか?」
王からの報酬、城の任期を無事終えたものの、次が困る?
“役職につけておきたい”という思惑。
貴族達はざわめく、精霊様と交流を持てる地位はどれくらい自身に優位になるか?
(エルフは森に帰ると思われている、と)
この長い耳は、人の会話を容易く拾えると広まっていないのだろうか?まだ、故郷に帰るつもりはないんだがなあ。
そんな個人的な話をする仲でもない。やっかみも少しは起こるが、捌くのにも慣れてきた。
(これも、森に居たら味わえない刺激か。)
貴族、その派閥の興味は1箇所に集約される。
“次の王位継承に精霊様が、関わっているのではないか?”
私を重要視する、見当違いの疑惑だ。彼の方は政治に関わっていない。だが、王位はある存在に認められて次が決まる。
<緑と風の精霊様>のことでは、ない。
私はそう確信しているし、王位継承の話には関わらないと言っている。
表明しても、騒がしのが想像できる。これが王都に長く居たくない理由だ。大体、以下の通り。
「王とは長い仲なのでしょう、知的な話がお好きなようで」
「獣人の王では無いですからな」
(その言葉以外に、非難する要素が無いと言っているようなものなのだがな。)
「私には、政治は分かりませんな!」
煙に巻けば、煙たい顔をする。これもまた懐かしむべきか?<極北の城>から出てきて久しぶりと感じれば、いや時間の無駄だな。
「王に重宝される?まあ、それほどの成果は上げているぞ。」
貴族達も必死だ。それに、特別な職は私の研究の功績の方だと思いたいんだが。
「人が多い」
この感覚も久しく感じてなかった。諸々の書類を出して、仕事は終わった。後任も予定通り通常の極北の城での任務を回せるだろう。
今回のイレギュラーは私の赴任から始まっていた。王の采配は、国を守るためにあった。突然に来たあの子も竜人もその範囲内だ。
予想外は竜人のツガイの子供、だな。だが大きな意味があった。まるで運命に導かれるように。そんな風を感じたが、追求することでも無い。
「少し出歩いて、既知を尋ねて挨拶する時間が取れるな。」
新しい役職といえど、やる事は少ない。
今までの管理体系に、お飾りのトップができた。精霊様の要望を聴ける機会が増えるくらいだ。そう変わらない
「たいそうな名前だが、ずっと部屋に詰める必要もない。」
長い付き合いの<緑と風の精霊様>に、就任のご挨拶の後お茶をご一緒した。極北の城の話をして、和やかに初仕事は終わった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
31
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる