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報告書

18-③

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“大きな事を成し遂げた者は冗長する。”
“甘い判断をしたと見れば、より奪い取れると吹っかけてくる。”

「潰されると思わないのだなあ」
「手伝ったんだから、ご褒美ちょうだいね?」

強請られると弱い。

「何が良いかなあ」

余裕と遊び心さえある。それだけ忙しかったからか、イレギュラーが多かった分、惰性になってしまったか?

「別に、問題ないんでしょ?」
「もちろん、仕事はこなしてきているぞ!」


入り浸りに近い状態からが大丈夫なら、問題はない。

「人が居た方が喜ぶ」
「2人っきりがロマンチックになるのは、まだ先ネ」


“十分、経験させてやれ”と助言をしていた。家族愛や、恋人関係を求めるのはまだ早いらしい。教会のシスター、狩人の知識をもたらした男。怪我の療養中に話し相手となった男達。兵士の中で過ごした期間もあったか。

「必要なのは、父親代わりか?」
「アクレイオスなら、年齢的には祖父だろうね?」

「よし。お菓子をやろう!」
「わーい」

そのポジションも良さそうだ!何より、可愛がれるのは堪らなくイイ!

「甘やかすのが多いのはどうなのカシラ?」
「まあ、遠慮しがちだし、押せ押せのが受け取るんじゃないかな~」

質素な生活を送っていたため、物や人に囲まれた生活に慣れてきたところだ。好奇心旺盛であるものの、シンプルで機能性を求める。

「物を欲しがらないのも、慣れが必要かあ。知識の吸収に余念がないとなると
意外と良いメンバーが揃っているのかもしれんな?」

「貴方も入ってるワネ?」

「できるなら、そうありたいなあ」

居心地の良い時間も終わりを迎える。雪解けを告げる風が吹いた。私の役目は、住民を送り出し、王都に帰る事。

交代の騎士・兵士がここに赴任する。もうその頃には足を取られる雪もなくなっているのだろうか。

(情緒的になっているなあ。)


始まりがあれば、終わりもある。惜しいと思うものも、止まらず進んでいく。

「子供の成長など特になあ」
「まだ頭は撫でられる年齢だと思うよ?」

助言めいた言葉をもらう。その願望が叶えば、どんな生活になるだろうと夢想しながら酒を楽しんだ。

竜人のツガイは、一芸に秀でた者が多いとも聞くが?基本的に隠されているため、どれほどかも分からない。


あのツガイの子供の名前は、“記録に残さない”。

今後、この文章書きが見つかり誰かあの子を探っている者に渡ったら。もしも、だが、悪き者があの子に辿りつかないように。


私が、あの子の可能性を閉ざす事のないように。

「大人の務めだ」

こうして私は長い雪の季節を終え、雪溶けた城を後にした。期間限定の城主の終わりだった。
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