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報告書
17-③
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『将来は何になりたいか?』
私自身はなんと答えたか、遠い過去で思い出せない。当たり障り内容な答えで、“薬草の研究者”あたりだろうか?故郷の誰も、覚えていないだろうな。
「“冒険者”か」
聴いた相手であるツガイの子は、“外の世界を知りたい”と望んだ。元々、そう考えていたが、色々あったからな。
あの子供の将来に、竜人の存在が入っていたと思えない。雪深い教会で育ったそうだが、獣人さえ珍しかったそうだ。
「相当辺鄙な教会だよ?」
「近くにある教会、と言っていて川で遡上する距離にあった。」
「周りに、本当に何もないんだなあ。」
それでも、怪我をした者の療養や子供の一時預け先となっていたらしい。
実際に言った2人は、どんなところでツガイの子供が育ったか報告してくれた。
「偶々貴族が通り過ぎたのも不思議なくらい、何もないよね?」
「何も無ければ、妖精の悪戯で辿り着けない地だと思う。」
「“護られた土地”だったようだ。怪我をした貴族が訪れたのは、不運なのか。」
菓子と茶を飲んで、ツガイの子供が育った場所に想いを馳せる。
「俺と出会えたんだ、幸運だった!」
少し遠くから、竜人が言葉を挟んだ。彼の部屋なので、不思議ではないのだが。
“大型に魔物が突然現れて、倒れているところを助けられる?”までは幸運だが、“竜人に囲い込まれ、逃げられない”は、どうなのだろうな。
まあその答えは、私が出すものでもないし今はまだ分からない。
「栄養不足気味だったんダカラ、ここで休めて良かったのヨ!」
確かに、教会から半ば強制的に北の砦に行かされている。その判断は悪かったとは思わないが、過酷な状況だったのは確かだな。
逞しく、落ち着いた行動ができるのは鍛えられた結果か。
「竜人のツガイは、守られて秘されているくらいに厳重だ」
冒険者ギルド内で、“竜人の玉”とも呼ぶ。秘された警戒対象であり保護対象だ。
「周りが危険?」
「他も危険~」
「反対の声も大きいだろうな」
目標を決められた子供の未来。壁もあるが、平坦にする事ではない。
「ん?オレも強制参加?」
「降りたいなら、まあ考えるけど?」
「実質できないやつ~
この護衛のおもねらないところが気に入っているんだろう。踏み入りすぎない距離感は、単独任務が多かった時に培ったか?
「ま、どうにかなるでしょ?」
「どうにかしそうだ。」
(ふふっ、楽しいな)
個性的な者が集めた、それは実力があり竜人が暴走した時の防波堤だった。それでも、噛み合ったように和やかだな。
皆の、自由を祝った。
私自身はなんと答えたか、遠い過去で思い出せない。当たり障り内容な答えで、“薬草の研究者”あたりだろうか?故郷の誰も、覚えていないだろうな。
「“冒険者”か」
聴いた相手であるツガイの子は、“外の世界を知りたい”と望んだ。元々、そう考えていたが、色々あったからな。
あの子供の将来に、竜人の存在が入っていたと思えない。雪深い教会で育ったそうだが、獣人さえ珍しかったそうだ。
「相当辺鄙な教会だよ?」
「近くにある教会、と言っていて川で遡上する距離にあった。」
「周りに、本当に何もないんだなあ。」
それでも、怪我をした者の療養や子供の一時預け先となっていたらしい。
実際に言った2人は、どんなところでツガイの子供が育ったか報告してくれた。
「偶々貴族が通り過ぎたのも不思議なくらい、何もないよね?」
「何も無ければ、妖精の悪戯で辿り着けない地だと思う。」
「“護られた土地”だったようだ。怪我をした貴族が訪れたのは、不運なのか。」
菓子と茶を飲んで、ツガイの子供が育った場所に想いを馳せる。
「俺と出会えたんだ、幸運だった!」
少し遠くから、竜人が言葉を挟んだ。彼の部屋なので、不思議ではないのだが。
“大型に魔物が突然現れて、倒れているところを助けられる?”までは幸運だが、“竜人に囲い込まれ、逃げられない”は、どうなのだろうな。
まあその答えは、私が出すものでもないし今はまだ分からない。
「栄養不足気味だったんダカラ、ここで休めて良かったのヨ!」
確かに、教会から半ば強制的に北の砦に行かされている。その判断は悪かったとは思わないが、過酷な状況だったのは確かだな。
逞しく、落ち着いた行動ができるのは鍛えられた結果か。
「竜人のツガイは、守られて秘されているくらいに厳重だ」
冒険者ギルド内で、“竜人の玉”とも呼ぶ。秘された警戒対象であり保護対象だ。
「周りが危険?」
「他も危険~」
「反対の声も大きいだろうな」
目標を決められた子供の未来。壁もあるが、平坦にする事ではない。
「ん?オレも強制参加?」
「降りたいなら、まあ考えるけど?」
「実質できないやつ~
この護衛のおもねらないところが気に入っているんだろう。踏み入りすぎない距離感は、単独任務が多かった時に培ったか?
「ま、どうにかなるでしょ?」
「どうにかしそうだ。」
(ふふっ、楽しいな)
個性的な者が集めた、それは実力があり竜人が暴走した時の防波堤だった。それでも、噛み合ったように和やかだな。
皆の、自由を祝った。
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