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報告書

16-③

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可愛い子供のままでいる事は求めないが。守りを固め、警備の穴を開ける時は、敵を屠る時。

できれば、あの子に悟られずに守りたい。その思いが透けたのか商人に、ひと言あった。。

「過保護も、頑なもダメよ」
「その加減が難しい。存分に甘やかしたい気持ちになるんだが。」

「我儘に育つってのはなさそうな性格だケド、成長のためにはどうカシラ?」

そう話ていたが、方向転換する事で同意した。

「甘えるのに、馴れてないのヨ」

あまり不足すると、困る事になるらしい。“子供らしく”とは言わないが、あの子の成長には必要な事だとみる。

「ふむ。どうするのが良いか?」
「それぞれが、役割を分担するのが理想ネ」

竜人は甘やかす。とにかく至上の相手だ、囲い込む!その操縦法を学んでほしい。最後に頼れるのはツガイだけだ。

護衛が守り、研究者が知識を、貴族との付き合い方を教える。

「ワタシが、相談相手になるのカシラ」
「私も相談は受けたいが、もっと甘やかしたくもあるな。」

あまり表情が動かないが、素直で可愛い。向上心もあるし、勉学にも前向きだ。私の知識も役に立つだろうか。

「そういうの、ジジ馬鹿っていうのヨ」
「見た目はお兄さんって感じだけどねー」

呆れた商人のひと言に、獣人の護衛が加わる。

『この中で誰が一番歳上に見えるか?』と竜人の部屋に居た全員と食事をしながら話して、“研究者の落ち着きが一番歳上”だと決まった。とりあえず、反論はない。

アクレイオスは、のほほんとしていて年齢が不詳とされた。
それは褒められているのか?エルフとしてはそういうものとなるのか。

なかなか答えが出ないが、食事が終わったら酒を呑みながら取り留めもない話をする。この時間がリフレッシュに良い。


私はこの囲いから解かれて、あの子が自由に翔ける日を楽しみにしている。しかし同時に、意外とこの関係性が続きそうな予感もした。

それは私の願望か?

”そうなるよう動べきだ“と勘が訴えてきているのかもしれない。
「さて、どうしようかなあ」

何が?というこちらを見た顔に、微笑みで流してしまう。

やろうと思えば可能だ。私もそれくらいの能力、特に魔法は詳しい。研究者並みに精霊との関わりもあった。

それ以上に、薬の知識もある。多くの魔導書と、まだ知りたい、研究したい事がある。

(ああ、これはもう離れる気がないのだろうなあ。)

しばらくは抑える衝動は、仕事に向けるとして。私は暖かな芽吹きの季節に、どうしているかを夢想する。

きっと、子供相手に紅茶を飲みながら講釈しているのだろう。それはきっと、楽しいひと時だと確信できた。
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